MICHAEL FEINSTEIN

Romance on Flm,Romance on Broadway



今年もまたクリスマスの季節になりましたが、あなたはどんなクリスマ スを迎えようとしているのでしょうか。今回はとってもロマンチックな夜 を演出してくれるマイケル・ファインステインの<ロマンス・オン・フィ ルム、ロマンス・オン・ブオードウェイ>を紹介したいと思います。
このCDは2枚で構成されています。1枚目が、<ロマンス オン フィルム>という映画の中で使われた音楽を中心に、2枚目 が、<ロマンス オン ブロードウェイ>という、ブロードウ ェイ ミュージカルの中で使われた音楽を中心に、といった具合で す。マイケル・ファインステインはこのコーナーで以前にも紹介していま すが、このアルバムがあまりにも素敵な為に、ここに再度登場してもらい ました。それでは1枚目の<ロマンス・オン・フィルム>から紹介してい きましょう。

ピアノのイントロから優しく語りかけるマイケルの声に早くも痺れてし まう#1は、ヴァースから唄っているハリー・ウォーレンとマック・ゴー ドンのコンビによる名曲。トランペットの切なさが初恋の苦い味を思い出 させる#2。元はと言えばミュージカルの為に作られた曲なのに、「カサ ブランカ」という映画の中で使われた為に、映画音楽として有名になって しまった#3。これもヴァースから唄っています。アラン・ブロードベン トのピアノが雰囲気を盛り上げてくれますね。マイケルの弾き語りで大変 美しい#4。この曲でのマイケルの表現は他の追随を許さない位、本当に 素敵です。余談なんですが、このコーナーがお始まった時の最初に紹介し た曲がこの曲なんです。もうロマンチックになってきたんじゃありません か?
フランク・シナトラの十八番だった#5。マリアン・マックパートラン ドのピアノがとても繊細な感じがしてグッドです。まるでフレッド・アス テアがタップを踏んでいるかのような#6。そのアステアが最も得意とし ていた#7。#8はギーン・ケリーとリタ・ヘイワースのコンビで大ヒッ トした「カヴァー・ガール」から、前出のアラン・ブロードベントのアレ ンジが光ります。ヴィクター・ヤングの代表曲を2曲メドレーにした#9 は、今までロマンチックな気分に浸っていたあなたには少しチクリとした かも知れませんね。フィルム盤最後はわりに新しいヒット曲からです。オ リジナルはパティー・オースチンとジェームス・イングラムのデュエット でしたが、ソロで聴いても良い物ですね。ここまでの録音は今年4月にニ ュー・ヨークのリージェンシー・ホテルで5日間に渡って行なわれたライ ブからのものでした。
さて、それでは2枚目の<ロマンス・オン・ブロードウェイ>を紹介し ていきましょう。作者のアーヴィング・バーリンが最も好きな曲と言って いる#1。恋人への想いが届く様です。ミュージカルの顔とでも言うべき 作品「マイ・フェア・レディ」からの#2。「フィニアンの虹」からの# 3は、なんとなくクリスマスを連想させるアレンジです。今もブロードウ ェイでリヴァイヴァルしている「アニーよ銃をとれ」からの#4。これを 聴いてジャズ・ヴォーカルの名盤<ジョン コルトレーンとジョニー ハートマン>を思い出した方も多いのでは?指を鳴らしてリズムをとっ てしまいそうな#5。マーク・レスターって子役は何処に行ってしまった のだろうかな?なんて考えたのは、この曲、#6のせいです。とてもゆっ たりとしたアレンジになっています。作曲者ジェローム・カーンのテーマ 曲でもあった#7はピアノとのデュオで感情たっぷりと唄っていますね。 ギターとコルネットの切なさが今の自分の心境を物語っているかのような #8。思わず涙が溢れてきそうです。そして、この曲に付けられている詩 が、また追い打ちを掛けます。とても辛い詩です。みなさんは如何でしょ うか。軽くスウィングする#9。#10はあまりにも有名過ぎます。2月 にはまだ遠いけれど、この曲は決して2月14日の為に作られたのではな いのです。元は「ベイブス・イン・アームズ」というミュージカルの挿入 曲。後に映画になった時はジュディー・ガーランドが唄っていました。シ ョービズ史上に残る大スター、エセル・ウォーターが舞台と映画の両方で 唄って喝采を浴びた#11。ショーを観ている様な気がしてきませんか? そして、このアルバムの最後を飾る#12は、マイケルの弾き語り。コー ル・ポーターの作った名曲。別れの辛さを唄ったバラッドですが、それに しても、アルバムの最後にははまり過ぎているとは思いませんか?どうで も良い事なんですが、マイケルが最後にコール・ポーターの曲を持ってき たのに「うふっ」と笑ってしまった、または「ニヤッ」としてしまった方 々は、よほどの事情通ですね。

さて、如何だったでしょう。素敵だったでしょ。そして、とてもロマン チックな気分に浸れた事だと思います。こんなCDをあなたは誰と聴 きますか?

CD番号は CCD2-4901-2 で CONCORD JAZZより出ています。今 の所輸入盤のみですので、ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行って捜して 下さい。