BETTY BUCKLEY

BETTY BUCKLEY'S BROADWAY



このコーナーでは皆さんにあまり馴染みのない名前が沢山登場している とおもいますが、今回紹介するこの人も日本ではほとんどその名は知られ ていません。しかしこの人、ベティー・バックリーはアメリカ、ブロード ウェイの誇る大スターなのです。その彼女のブロードウェイでの軌跡とも 言うべきアルバムを紹介しましょう。

ヴァイオリンの調べがとても優雅な#1は、おそらく彼女の名前が記され ている最初のオリジナル・キャスト盤、<1776>から。このミュージ カルは1969年のトニー賞の最優秀作品に選ばれています。内容は、ア メリカの独立宣言を扱ったもので、1998年にもリバイバル上演されて います。#2はおそらく世界で一番長い題名のミュージカルだろうと思わ れる、邦題では短めな「旅立て女たち」というオフ ブロードウェ イ1978〜79年のヒット作から。日本では雪村いづみ主演で、原宿で 上演されてましたっけ。ちなみにアルバムのインデックスに書いてあるこ のミュージカルのタイトルは間違いで、<I'm Putting My 〜>とな っているのは、正しくは<I'm Getting My〜>です。#3は彼女の 名前が広く知れ渡る事となったミュージカル、<キャッツ>からの名曲。 この舞台で、彼女は娼婦猫のグリザベラを演じ、トニー賞まで獲得したの でした。ここではオリジナル アルバムからではなく、ロンドンで のライブからのトラックが収められています。#4と#5はこれもトニー 賞受賞作品<エドウィン・ドウルードの謎>からのオリジナル盤から。こ こで彼女はジュリー アンドリュース顔負けの男装を披露していま す。とても面白い仕掛けのある推理劇で、1部が終わると観客が犯人を投 票して、2部ではその投票にもとずいて決った犯人役に合わせて始まると いった、正に役者泣かせの舞台でした。また、このミュージカルを作詞、 作曲したのは、<Him>等で有名なルパート・ホルムスである事を付 け加えておきましょう。#6と#7は今では知らない人もいなくなったア ンドリュー・ロイド・ウェバーが1986年に作った<ソング & ダンス>から。
さて、ブロードウェイはとても厳しい所だというのはもうご存じの事と 思いますが、次の#8はとうとう上演されることなく終わってしまった、 彼女主演予定の舞台<キャリー>から。えっ!?と思われた方、その通り 。同名映画のミュージカル版だったのですが。何とも哀れとしか言いよう がありません。聴いていても哀れみを感じてしまいます。が、貴重な録音 ですよね。#9は<三文オペラ>から、そして、#10はエセル・マーマ ンで大ヒットした<ジプシー>からの曲ですが、この2曲は1996年に 行なったカーネギー ホールでのリサイタルからのライブです。ま るで、それぞれのキャストを演じている様に聞こえませんか?凄い実力の 持ち主なのがお解り頂けると思います。観客の反応も物凄いですよね。
さて、アルバム最後の4曲は90年代で最もセンセーションを起こした ミュージカル、 <サンセット大通り>からです。彼女はブロード ウェイにグレン・クローズの後、2番手で登場しましたが、本当に見事な ノーマを演じていました。こうして聴いていても、あのステージが思い浮 かびます。

如何でしたか?ニューヨークに行かなくても行った気分が味わえたでし ょうか?それとも、このアルバムを聴いてすぐに航空会社に予約を入れた のでしょうか。そんな気持にさせてくれるアルバムでした。

アルバムナンバーは、sterling のS1018ー2 です。