Claire Chevalier

Saveur Bresil



春風に乗せて今回選んだアルバムはクレール・シュヴァリエの【ボサノ ーヴァにのせて】です。彼女のプロフィールは実は私にも全く分らないの ですが、確実に言える事は、下手だという事と、私たちに心地よいアルバ ムを残してくれた、と言う事でしょうか。
このアルバムでギターに参加しているのは、ブラジルの誇るギタリスト で昨年亡くなったバーデン・パウエルの女性版とでも言うべき、ロジーニ ャ・ジ・ヴァレンサ(彼女もすでに故人)ですが、そのロジーニャの奏で るギターのリズムがクレールの下手くそな唄と妙にマッチして、心地よい 時間を私たちに与えてくれます。それでは「フレンチ・ボッサ」とでも言 うべきこのアルバムを紹介していきましょう。

今年の来日公演がとても素晴らしかったミシェル・ルグランの#1は1 968年の映画【華麗なる賭け】のテーマ・ソングとしてお馴染みです。 軽いサンバのリズムがなんとなく春を感じさせますね。フランスでは「笑 いの王者」として親しまれているアンリ・サルヴァドールの代表曲#2。 とてもお洒落です。ボサ・ノヴァの有名曲【トリステーザ】を前奏として 使った#3は、フランク・シナトラの唄でみなさんにもお馴染みですが、 この原曲は、実はシャンソンだったんです。正にフレンチ・ボッサって感 じでしょ。次の#4もボサ・ノヴァの【おいしい水】のメロディーをうま く使っています。
セルジュ・ゲンズブール作の#5はカリブのリズムが印象的ですが、歌 詞には人種差別へのメッセージが こもっています。よく聴いてみ て下さい。#6は「ダバダバダ・・・」というスキャットであまりにも有 名ですね。唄が無かったら本当に良かったと思ってしまう#7は、編曲が 素敵です。【静かな夜】のメロディーを所どころに挟んだ#8はちょっと 中途半端な感じがしますが、どうでしょう。
「ムッシュ・100万ボルト」の愛称で親しまれているジルベール・ベ コーが友達の死を哀しんで作った#9。ボサ・ノヴァのリズムになると、 歌詞の悲痛さも何処かへ飛んでいってしまいます。それとは一転、ボサ・ ノヴァのリズムと正にピッタリなのが#10。これも#5同様、作ったの はゲンズブールです。シャンソンと言えばこの#11、と、いわれる位多 くのカヴァーがありますが、有名な曲を唄えば唄うほど、クレールの下手 さが目立ってしまいますね。そして、やっと最後の#12に。英語詩が付 いて世界的にもヒットした曲ですが、この伴奏にもボサ・ノヴァの有名曲 【イパネマの娘】が使われています。気が付いたでしょうか?

如何でしたか?何か変な気分ですよね。本当に下手なんですけど、雰囲 気があってB.G.M.として使うのには、「もってこい」ってな感じで すね。みなさんも朝起きてからのB.G.M.や、何か音楽がほしい時に でもどうでしょうか。

このアルバムは(株)メタ カンパニー から出ています。番号はERPCD-8939です。なお、ライナー・ノーツ の曲目紹介記事での曲順が間違っています。お買い上げになった方は訂正 を。4曲目〜6曲目が違っていて、正しくはライナーでの6→4、4→5 、5→6です。お求めはフレンチ・ポップか、ボサ・ノヴァのコーナーに 行って下さい。