Lorez Alexandria

Deep Roots



このところ、かつての名盤がCDで復刻されていますが、今回紹介 する、このロレス・アレキサンドリアの【ディープ・ルーツ】もCD では初お目見えの名盤です。
ロレス・アレキサンドリア(アルバム表記ではロレツになっていますが 、本人がロレスと発音しているので、ここではロレスに統一しました。) は1929年にシカゴにで生まれているので、今年で72歳になりますが 、まだまだ現役で頑張っています。そのロレスが1962年に発表したア ルバムが今回紹介するこの【ディープ・ルーツ】です。ロレスのアルバム というと、彼女を良く知っているジャズ・ヴォーカル ファンは、 1964年インパルスに吹き込んだ、【ザ・グレイト】と【モア・ザ・グ レイト】の2枚を思い浮かべるでしょうが、個人的には、この【ディープ ・ルーツ】が彼女の最高傑作だと私は思っています。それでは紹介してい きましょう。
ナット・キング・コールの名唱で有名な#1。しかし、私はこのロレス の歌唱の方がはるかに上をいくと思っています。まさに、この唄の決定版 と言えるでしょう。途中に入るハワード・マギーのミュートのトランペッ トがいい味を出しています。チョット怪しい雰囲気が何ともいえません。 この曲で、このアルバムは「買い」だとは思いませんか?#2は、ロレス と出身地が同じジョニー・ペイトのナンバー。ここでは、このアルバムの アレンジをしたピアニスト、ジョン・ヤングの伴奏が彼女の唄を盛り上げ ています。間奏でのマギーとジョージ・エスクリッジ(ギター)がご機嫌 な#3。しっとりと聴かせる#4。ここでも、ジョン・ヤングのピアノが 素晴らしいサポートです。ちょっとフェイクして唄う#5。ユーミンが作 った「朝日の中で微笑んで」と何か共通点を感じるのは私だけでしょうか?

さて、LP時代は、ここからがB面です。とてもモダンな#6 。ミディアム・テンポでスウィングする#7。トランペットとの掛け合い も楽しげです。ビリー・ホリデイの名唱が記憶に残る#8は、作詞家、ジ ョニー・マーサーの代表曲。抑制を効かせてロレスは唄います。これがま た説得力があるんですね。アラン・ジェイ・ライナーのミュージカル、「 ブリガドーン」の中でのハイライト曲#9。映画化された時にはジーン・ ケリーが唄っていました。勿論、みなさんご存じの様に、シナトラの十八 番です。そして、このアルバムの最後、#10は再びしっとりとブルージ ーに唄います。ビリー・エクスタインの自作自演で、あまりにも有名な曲 ですが、最後に相応しく、ロレスは語りかける様に唄っていますね。

如何でしたか?春の宵にとても相応しいアルバムでしたね。彼女の様に モダンで、ソフィスティケイトされた歌手は、もっと評価されるべきだと 思うのですが、如何なものでしょうか。そして、このアルバムではジョン ・ヤング、ハワード・マギーをはじめとした、バック・プレイヤーの好演 も忘れてはならないでしょう。本当に素敵なアルバムでした。CDの 番号は UCCC-3010 で、ユニバーサルから出ています。ジャズ・ヴ ォーカルのコーナーに行ってみて下さい。