Original Cast and others

ULTIMATE BROADWAY


今年もブロード・ウェイ昨年度の総決算、トニー賞の発表が6月3日に ニューヨークはラジオ・シティー・ミュージック・ホールで行なわれまし た。今年はストレイト・プレイでは、丁度東京でも公演が終わったばかり の《プルーフ》、ミュージカルでは《プロデューサーズ》の2つが圧勝と いう結果でしたが、特に ミュージカルの美味しい所ばかりを集めた2枚組アルバムがあるので、今 回このコーナーで紹介したいと思います。

それでは、まずDISC1の方から紹介していきましょう。トニー賞 創設前のミュージカル《オクラホマ》からの#1でアルバムはスタートし ます。#2、3は数年前にリバイバル上演された《回転木馬》から今でも 歌い継がれている名曲を。今現在リバイバルで上演、ロングランを続ける 《アニーよ銃をとれ》より、ショービズのテーマ・ソングとでもいうべき #4。勿論唄うは我らがエセル・マーマンです。対するメリー・マーティ ンが主役ネリーを演じた《南太平洋》からの#6は相手役のエツィオ・ピ ンツァが朗々と唄います。今、ロンドンでリバイバル・ロングラン中の《 王様と私》から、癌でこの世を去った2人、初演のアンナ役、ガートルー ド・ローレンスと最後まで王様を演じきったユル・ブリナーの歌声が聞こ える#8、9。映画のオードリー・ヘップバーンがあまりにも有名ですが 、《マイ・フェア・レディ》の舞台での初演はジュリー・アンドリュース だった事を再度確認する#10、11。ジュリーの歌声が何と若いのでし ょうか。《ウエスト・サイド物語り》からは体育館とバルコニーでのシー ンから#13、4。そう言えば、何年か前のTV《ツウィン・ピーク ス》に映画でトニーとリフを演った2人が出ていましたが、歳をとった2 人の姿に驚いてしまったのは、私だけではないでしょう。エセル・マーマ ンの大ヒット作《ジプシー》から彼女そのままの#16。映画ではジュリ ー・アンドリュースでしたが、舞台ではこの人、メリー・マーティンでし た。《サウンド・オブ・ミュージック》からの主題曲#17。ジュリーと はまたひと味違った味わいですね。今尚ロングランを続けているオフ・ブ ロードウェイの最大ヒット作《ファンタスティックス》からは、これも名 曲として唄い続けていかれるであろう#18。映画で演じたバーブラ・ス トライサンドは散々な批評を浴びせられましたが、舞台の方は絶賛された キャロル・チャニングの《ハロー・ドーリー》からは、その主題歌#21。DISC 1の最後は、帝劇で今月一杯上演されている《屋根の上のバイオリン弾き 》からコミカルでありながら哀愁漂う#22。初演時のゼロ・モステルが 唄っています。

さて、DISC2にいきましょう。40年近くもトップ・スターの地 位を確立しているバーブラ・ストライサンドは、まさにこのミュージカル 《ファニーガール》のこの曲#1でその座を確固たる物にしたといっても 過言であないでしょう。日本では松本幸四郎主演でまだまだ続演されるで あろう《ラ・マンチャの男》からは心に浸み入る名曲#2。何時聴いても 素晴らしい曲ですね。今月来日公演中の《キャバレー》は、皆さんに是非 観て頂きたいのですが、その中から、ここでは映画版で主役のサリーを演 じたライザ・ミネリの歌声で#5を。ロック・ミュージカルの原点ともな った《ヘアー》からは#6をオリジナル・キャストで。去年日本で2つの ミュージカルが上演され再び注目を集めているブロード・ウェイの大御所 、スティーブン・ソンドハイムの《リトル・ナイト・ミュージック》から はジュディー・コリンズで大ヒットした#7。いろいろな人がカヴァーし ている20世紀の名曲です。リバイバル上演が話題になっている《シカゴ 》からの#8は映画にもなったナンバーです。決して劇団ぺ〇ぺ〇のフィ ナーレではありませんよ。去年9月に閉幕した《キャツ》に抜かれるまで 、ブロード・ウェイのロングラン記録を持っていた《コーラスライン》か らの#9です。#10は《アニー》からのヒット曲。唄っているのは初演 でアニーを演じたアンドレア・マッカードル。彼女は今来日公演中の《キ ャバレー》で主役のサリー・ボウルズを演じています。時の経つのは本当 に早いものですね。マドンナ主演の映画でもご存じの方が多いと思います が、《エビータ》のブロード・ウェイ初演はこの人、パティー・ルポンだ ったのです。彼女の唄う#11。マドンナと聴き比べてみては如何でしょ うか。何時聴いてもそのド迫力に負けてしまいそうなジェニファー・ホリ デイの#12は《ドリーム・ガールズ》からのナンバーです。彼女はまさ にこのミュージカルのこの1曲でシンデレラとなりました。どうですか? この迫力。素晴らしいの一言に尽きますね。世界中で大ヒットした《キャ ッツ》。数あるナンバーの中ではやはりこの#13でしょうか。ここでは ロンドンの初演でグリザベラを演じたウエストエンド・ミュージカル界の 大スター、エレン・ページが唄います。ここでちょっと余談を一つ。本当 はこのグリザベラの役、アカデミー賞受賞者で、今年もノミネートされて いたイギリス演劇界の重鎮、デイム、ジュディ・ディンチが演る予定だっ たんです。が、上演前に彼女が怪我をして降板。変りに《エビータ》の初 演でエビータを演じたエレン・ページにその役が回ってきたっていう訳な のです。
さて、本題に戻って、#14は心暖まる《ラ・カージュ・オ・フォール 》からのナンバー。アレサ・フランクリンがライブで贈る#15は《レ・ ミゼラブル》からのナンバー。日本でも島田歌穂が唄ってとても有名にな りましたが、アレサが唄うとこうも感じが変っちゃうのですね。ミュージ カルの中で、この様に唄われたらどうなんでしょうか?恐い気もしますが 、観てみたい気もしませんか?今でも快進撃を続ける《オペラ座の怪人》 からの#16。3年もロングランしたのに資金回収出来ないままクローズ してしまった《サンセット・ブールバード》。その中から、久しぶりのス タジオに入ったシーンでノーマが唄う#17を。グレン・クローズで話題 になりましたが、ここでは先のエレン・ページでお届けしましょう。そし て、この2枚組アルバムの最後、#18は《レント》からのナンバーです 。私個人としては然程好きなミュージカルではなかったのですが、一般的 には相当の支持を受けてトニー賞まで獲得しましたね。去年の来日公演を ご覧になった方も多いと思います。

如何でしたか?ブロード・ウェイに行ってみたくなったんじゃありませ んか?機会がありましたら是非行かれる事をお薦めします。何と言ったっ て、この感激を生に肌で感じる事が出来るのですから。それにしても名曲 揃いでした。CDの番号は07822ー18999ー2 でARISTA (アリスタ)から出ています。輸入盤のみですので注意して下さい。ミュ ージカルのコーナーに行って探してくださいね。