LAURA NYRO

ANGEL IN THE DARK


1960年代半ばから音楽活動を続けて約30年。1997年に彼女の 音楽活動はその死と共に終止譜を打ちました。50歳を迎えようとした丁 度その年に、彼女は旅立ちました。一言で彼女の音楽は語る事が出来ない ほど多種多様に渡っていただけに、残念で仕方なかった人は私の他にも沢 山いらっしゃるのではないでしょうか。今回紹介する《エンジェル・イン ・ザ・ダーク》は彼女が死の直前まで取り掛かっていた2枚のアルバム( それは彼女のオリジナル・アルバムとカヴァー・アルバムだったのですが )を合わせた物です。ですから曲と曲の繋がりといった点では多少の違和 感があるかもしれません。しかし、彼女の素晴らしさが本当に分ってもら えるラスト・アルバムとなっています。それでは紹介していきましょう。

この1曲目で彼女の世界に入り込んでしまう人がほとんどであろう事は容 易に想像できます。それだけ素晴らしい#1。タイトルが抜群に魅力的な #2。詩も素敵です。シュレルズの大ヒット曲で、作者のキャロル・キン グや、ロバータ・フラックも唄っている#3。また違った表現をしている ところは流石です。独特のアプローチをするスタンダード曲の#4。一転 して軽くリズミックに進む#5。A.O.Rの時代を彷彿させてニヤッ としてしまいますね。音楽に対する彼女の気持を素直に伝える#6には胸 を熱くさせられます。バカラック〜デイヴィッドの隠れた名曲#7はトー ンを落としてじっくりと聴かせます。
エヴァリー・ブラザーズの大ヒット#8。ローラの弾き語りですが、彼 女のピアノのタッチから何かを感じるのは決して私だけではないでしょう 。涙物ですね。かつてイギリスにおいてクラブ・ジャズシーンでブレイク したワーキング・ウィークを思い出させる#9。今クラブでかかっても受 ける事間違いありません。スモーキー・ロビンソンとミラクルズの大ヒッ ト曲#10。#12はデルフォニクスのヒット曲。どちらも懐かしいと思 う方が多いのではないでしょうか。さて、このR&Bのクラシ ックに挟まれた#11はご存じガーシュイン作の大スタンダードです。彼 女流の料理の仕方は如何でしょうか?#7とは違って、こちらは大ヒット したバカラック〜デイヴィッドの#13。環境問題を鋭く突いた#14。 彼女の優しさを感じとる事が出来ます。その優しさは#15にも表れてい ます。そしてフェードしていく#1のサビの部分の繰り返し#16で一応 アルバムは終わります。しかし、この後シークレット・トラックが約2分 後に現れます。彼女の弾き語りで贈るマーサ&ザ・ヴァンデラスのヒット 曲〃Come and Get These Memories" で、本当に最後の曲が終わり ます。

如何でしたか?この季節、秋の夜長にピッタリのアルバムだったとは思い ませんか?ローラ・ニーロは幼い頃からコルトレーンやマイルス、サラ・ ヴォーンやナンシー・ウィルソンを良く聴いていたといいます。また子守 唄代りにR&Bを聴かされていたともいいます。そんな彼女の音楽的 なルーツを紐解いていくと、彼女のワン・アンド・オンリーな音楽センス の一端が少し解った様な気がします。さて、アルバムの番号ですが、OMCX-1067 (国内盤)で、OMAGATOKIレーベルよりでています。POP&ROCK のコーナーに行ってみて下さい。