tuck & patti

As time goes by


1988年、その数年前に出たピアニスト、ジョージ・ウィンストンの大 ヒットアルバム《オータム》で日本に於けるヒーリング・ミュージックの 先駆けとなった、ウィンダム・ヒルというレーベルからひと組のデュオが 登場します。ギターとヴォーカルからなるこの夫婦のデュオは夫、タック ・アンドレスによる確かなテクニックに裏付けされた伴奏と、妻、パトリ シア・キャスカート・アンドレスのちょっと低めの暖かな声によって、ま たたくまに多くのファンを獲得していきます。日本にも度々来日しては、 その素晴らしいステージングと共に、ギターとヴォーカルのクリニックを 行なうなど、活動は広範囲に渡っています。
今回紹介するこのアルバム《アズ・タイム・ゴーズ・バイ》は、今まで の彼等の発表してきたアルバムの中から選りすぐった曲の数々を紹介した 、いわゆるベスト盤 とでも言うべきアルバムです。それでは紹介 していきましょう。

いきなりタックの超絶技巧のギターでスタートする#1は最近またまた 脚光を浴び始めたボブ・ドローの作品。もう身体が動いてしまいます。打 って変ってゆったりと進む#2はご存じ、ガーシュインの名曲。小春日和 りの陽射しの中で、居眠りしたらどんなに気持が良い事でしょうか。アル ・ジャロウ並のスキャットから始まる#3。スウィングしてますね。タッ クのギター・ソロで贈る#4。アルバムのタイトルでもある#5は優しく 、囁く様に聞こえますね。自由奔放に唄う#6。タックのギターも冴え て、このデュオの魅力がとても出ています。ジョン・ヘンドリックスの詩 が付いていた時には「ジョイ・スプリング」というタイトルだった#7は マイケル・スティルマンの作詞でタイトルが変り、とてもロマンティック になっています。

ウエス・モンゴメリーの様なタックのギター・プレイが聞ける#8。好 きな人にはたまらないですね。去年出したアルバムからパティのオリジナ ルの#9は何年先にも残りそうなスタンダード候補曲だと思います。とて もロマンティックな#10はロジャース&ハートのスタンダード。歌詞で は「優しいギターの伴奏もいらない」なんて唄っていますが、タックのギ ター伴奏がよりこの曲をロマンティックにしていますね。ホレス・シルバ ーの#11は正に「押しの一手」という感じです。ちょっとヴォリューム を上げて聞きたくなる#12はとても素敵なタックのソロ・ギターです。 とろけそうな演奏ですね。気が付いた時には膝を叩いて首を振っている# 13。#14はまたまたタックのギター・ソロでルイス・ボンファの名曲 。彼の担当した映画《黒いオルフェ》の中にはこの曲を初めとして沢山の 名曲が詰まっていましたね。さあアルバムも最後の#15になってしまい ました。最後はレノン〜マッカートニーのビートルズ・ナンバーです。パ ティの優しい歌声に包まれながら眠りにつきたくなります。

如何だったでしょうか。深まりつつある秋には正にうってつけの一枚でし ょう。部屋に飾りたくなる様なジャケットもとっても素敵ですよね。是非 お買い求めになってこの秋をロマンティックに過ごしてみてはいかがでし ょうか?
CDの番号は、01934ー11609ー2(輸入盤)でウィンダム・ヒル ・レコードより出ています。ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて 下さい。