CARPENTERS

as time goes by


早いもので、カレンが拒食症の合併症で亡くなってから19年が経とう としています。しかし、彼女の歌声は、その兄、リチャードによって未発 表の録音が編集されて、まるで新録の様に甦り、私たちの前に現れるので す。今回紹介するこのアルバムもTVショーやデモ・テープ等から編 集したとは思えないほどの出来上がりで、私たちを癒してくれます。ここ で、カーペンターズを知らない世代の方達の為に少し彼等を紹介しておき ましょう。
リチャードとカレンのカペンター兄妹がデビューしたのは1969年秋 の事。デビュー曲(ジョン・レノン/ポール・マッカートニー作の 「涙の乗車券」)こそパットしませんでしたが、続く2曲目、「遥かなる 影」(バート・バカラック/ハル・デイビット作)が全米No.1 になるとその後は順風満帆、あっと言う間に世界のヒットチャートをかけ 巡り、隠れた名曲を私たちに教えてくれると共に、その優しい歌声で私た ちを癒してくれたのです。特に日本では、ライブ・アルバムが製作される 位ほどの大人気で、2回目の来日公演では抽選方式でチケットを手に入れ なければ公演を観ること自体出来ない有り様でした。そして、1970年 代最大のヒット・メーカーだったカーペンターズも妹カレンの死で彼等の 活動に終止符を打つわけです。しかし、その後も兄リチャードの働きで、 未発表の音源をアルバム化、こうして私たちの目の前に新譜として現れる のです。それでは紹介していきましょう。

カレンとリチャードのアカペラ多重録音でスタートする#1は、彼等の最 後のTV特別番組「ミュージック・ミュージック・ミュージック」か らのもの。後半の盛り上がりは、これから始まる「カーペンターズ・ショ ー」という感じですね。#2は彼等の最初のTVスペシャルから、彼 等の代表曲のメドレー。オリジナル・アルバムとは違った歌唱に気付きま したか?でも、名曲ですね。レノン/マッカートニーの作#3はカ レンが17歳の時に録音したデモ・テープにリチャードが後からアレンジ し直して作ったもの。大変貴重な録音です。まだプロらしくないカレンの 唄い方は如何でしょうか。#4は最後のTVショーからのものですが 、ここでドラムを叩いているのは、妹のカレンなんです。とってもショー アップされているナンバーですね。モータウンのスタンダード・ナンバー から#5。「目が回る程忙しい指」という意味の#6。その題名の通り、 色々なキーボードを操るリチャードのテクニックに脱帽です。エセル・マ ーマン主演のミュージカル「コール・ミー・マダム」の中の代表曲#7。 二人の楽しい掛け合いがほのぼのとさせてくれますね。全ての歌手のお手 本とでも言うべきジャズ歌手、エラ・フィッツジェッルドとのデュエット をネルソン・リドルのオーケストラをバックに聴かせるとても贅沢なメド レー#8。エラもカレンもジャンルに拘らない本当の唄い手だった事が分 ります。
ジョン・ウィリアムズ作曲のSFX映画のテーマ曲2つをメドレーで 聴かせる#9。アレンジを担当したピーター・ナイトの凄さはお聴きにな れば分りますよね。この夏、TBS系のテレビドラマの挿入歌となっ ていた#10。ちょっと彼等の代表曲「ふたりの誓い〜For all we know 」に似ていますが、とても落ち着く曲で、どのアルバムにも入っていなか ったのが信じられない位です。今年の5月に亡くなった大物歌手、ペリー ・コモのクリスマスショーでの録音#11。リチャードが唄っている部分 も本当はコモが唄っていたらしいのですが、技術的な問題で取り出せなか ったコモのパートをリチャードが後から録音したというトラックです。が 、まるで3人が掛け合いで唄っている様です。とても楽しいクリスマスシ ョーだったと想像する事が出来ますね。40代後半の人達には懐かしいマ マス&ザ・パパスのヒット曲#12。スロー〜アップにとテンポを変えて 唄うカレンのなんて素敵な歌声でしょうか。#10と同じTVドラマ の、こちらは主題歌になった#13。あれ?って思った方は相当の映画通 です。そう、「マペット・ムービー」で名前は忘れましたが、カエルが唄 っていた曲です。彼等が1976年に撮った最初のTVスペシャルか らのトラック#14。本当にヒット曲のオンパレードです。今聴いていて も褪せることのないエヴァーグリーン・ソングばかりですね。一応ここで アルバムは終わりますが、ちょっと待って下さいね。何やら隠しトラック があるようです。少し間を空けてから聞こえるそのトラック#15は、7 1年にイギリスのBBCのTVスペシャル用に録られた物です。
最後にこんな明るい曲を持ってきたリチャード。安心してくださいね。私 たちはあなた方を決して忘れる事はないでしょう。そして、これから初め て聴く若い世代の人達の脳裏にも、永遠と残っていく事でしょう。

如何でしたか?クリスマスのプレゼントとしてばかりでなく、このシー ズンにピッタリなアルバムですね。アルバム番号は、UICY 1060 (国内盤)で、ユニバーサル(A&Mレーベル)から出ています。ポ ップスやロックのコーナーに行ってみて下さい。