PATRICIA KAAS

BEST OF 1987ー2001


最近、フランスでもヒット・チャートの多くを英語の曲が占めるように なって、私たちがパリに描く、昔ながらのシャンソンが流れている街とい うイメージはなくなりました。しかし、今日、ここで紹介するパトリシア ・カースは、昔の流れを踏襲しつつ、新しさの中に取り残されないでいる 大変貴重な存在です。しかも彼女の人気は凄まじいものがあります。特に ライヴ・コンサートで彼女の実力が遺憾なく発揮されている事は、来日公 演でも実証済みですね。

彼女について知らない方のために、ここで少し彼女のプロフィールをご 紹介しましょう。
パトリシア・カースはドイツとの国境近くにあるスティリング・ヴェン デルに生まれます。1966年の事でした。幼い時から歌が好きだった彼 女はやがてバンドを組み各地を巡業し、ドイツのザールブュッケンに落ち 着きます。学校に通う傍らナイトクラブに出演し、たまたまそのステージ を観た一人が売り込みに走り、1983年、《嫉妬する女〜Jalouse 》でデビュー。しかし、結果は散々たる物に終わりました。しかし、その 翌年、ディディエ・パルブリヴィアンが作った《マドモアゼル・シャント ・ル・ブルース〜Mademoiselle chante le blues》を唄った彼女は その大ヒットにより、年末にはオランピア劇場のステージに立つほどの大 スターになっていたのです。その後も、昔ながらのシャンソンの雰囲気を 残しつつ、ジャズ、ロック、そしてブルースを上手に取り入れて、益々活 躍しています。それでは紹介していきましょう。

もの悲しげなイントロで始まる#1。21世紀に入ってからの新曲です 。30代半ばに入った彼女の魅力が伝わってきます。ドイツ語を話す家庭 で育った彼女の為に書かれた#2。途中にドイツ語の語りが入っています が、違和感はありません。シンセサイザーの音色が魅力を引き出す#3。 とってもジャジーでロックしている#4。現代にマッチしています。ギタ ーのソロで始まる#5は2000年に発売されたライヴアルバムから。観 客の拍手や歌声からも分るように、この曲は彼女最大のヒット曲です。強 いビートの裏で泣くギターとシンセが哀しげな主人公を現している#6。 闇の中の叫びを感じる#7。俳優、ジェラール・デュパルデューの奥方が 作詞した#8。淡い光りの中にいるような#9。幸せの香り漂う#10。 1993年に発売されたアルバム《je te dis vous》にも入ってま したが、こちらはシングルヴァージョンでお届けします。

軽くブルースしている彼女の唄に強い主張が感じられる#11。静かな 流れの中に不安が渦巻く#12。数年前に亡くなったバルバラの大ヒット 曲#14。バルバラの様な神秘さには少し欠けますが、それでもパトリシ ア・カースの持っている雰囲気は十分に伝わりますね。これは1998年 のライヴアルバムからです。観客の拍手が彼女に対する期待感を現してい ます。ちょっと哲学的なタイトルの#15。懐かしいフォークソングっぽ い#16は東欧の娘を唄ったもの。2000年のライヴアルバムからの# 17は不思議なダイナミックさを感じます。変ったタイトルの#18。そ して日本盤だけのボーナストラック#19。勿論、エディット・ピアフの 代表曲であるのはご存じでしょう。

いかがでしたでしょうか?これからのフランス音楽界を背負って立つ彼女 は、はたして、バルバラやエディット・ピアフを越える存在になる事が出 来るでしょうか?みなさんはどう思いますか?
アルバムの番号は、EICP-36(日本盤〜エピック・レコード)、COL 504356 2 (輸入盤〜コロンビア・レコード)です。ワールド・ミュージッ クのシャンソンのコーナーに行ってみて下さい。