denzal sinclaire

i found love


春の陽射しを強く感じられる今日この頃。そんな日の昼下がりにコーヒ ーを飲みながら暫し休憩。そんな時にお薦め出来るデンザル・シンクレア のアルバム《アイ・ファウンド・ラヴ》。まずは、彼について少し紹介し ましょう。
ジャケットを見ても分る様に30代半ばの彼は、カナダはトロント生ま れ、現在ヴァンクーバーに住んでいます。彼は1990年代半ばにデンジ ル・ピノックと言う名義で2枚のアルムを録音、カナダのジャズ界では、 男性ヴォーカルの部門で4度ポール・ウィナーになっています。しかし、 メジャー・デビューとなる今回まで、あまりその名を知られてはいません でした。これは同じくカナダ出身のホーリー・コールや、ダイアナ・クラ ールと似ている情況です。数年前に日本でも来日したミュージカル《アン フォーゲタブル》はカナダでも上演されましたが、その時、ナット・キン グ・コールの役を演じたのが、誰あろう彼、デンザル・シンクレアだった のです。それからも分る様に、ナット・キング・コール系の歌手だと言え ましょう。そして、これから間違いなく男性ジャズヴォーカル界を引っ張 っていく存在になる事は確実です。それでは紹介していきましょう。

フランク・シナトラのヒットや、シャーリー・バッシーのアンコール時 の音楽として有名な#1は、まるで弦楽四重奏を聴いているかの様ですね 。まさに昼下がりにピッタリです。ビートルズの#2。キャンベル・ライ ガのソプラノ・サックスが飛んでいる鳥を良く現していますね。バカラッ ク〜デイヴィットの名曲#3。ここで彼はピアノの腕前も披露しています 。デンザル自身のオリジナル曲#4。作曲にも彼の才能が光りますね。こ の曲を聴いていると馬と一緒にトボトボ歩いている様な情景が目に浮かん できます。オーネット・コールマンの《loney woman》かと思った らなんと、ビートルズの代表曲である#5。でも、後に流れる曲はオーネ ットのそれ以外の何者でもありません。凄い!の一言です。このアルバム をジャズとしてとらえた時の最大の聴き物ではないでしょうか。ロバータ ・フラックが30年以上前に放ったエヴァーグリーン・ソングの#6。ゆ ったりとした時の流れがありますね。3曲目となるビートルズ・ナンバー の#7。とても軽くてしなやかな感じが良いですね。
このアルバム・プロデューサーでもあるギタリストのビル・クーンとデ ンザルとの共作#8。弾き語りの人に好んで取り上げられそうです。アカ ペラで始まる#9は1800年代後半に作られた賛美歌。伴奏が入ってく ると賛美歌ではなく、立派なジャズになっています。元はシャンソンの# 10をフランス語で唄うデンザル。ここでは、ナットト・キング・コール というより、イヴ・モンタンでしょうか。発音も綺麗ですね。まあ、カナ ダですから不思議な事ではありませんが。再びデンザルのオリジナル曲# 11の登場です。先にも言った様に、彼には作曲の才能も相当なものがあ る事を私たちに示してくれます。作家としても要注目!です。#12は日 本国内盤だけのボーナス・トラック。スージー・キム作詞、サックスの清 水靖晃作曲です。このアルバムにオリジナルとして入っていてもおかしく ない位に素敵な作品です。

如何でしたか?昼下がり、こんな音楽と共に過ごしてみたくなりません か。何かとってもリラックスしてきましたね。是非お買い求め下さいね。 アルバムの番号は、UCCM1032(国内盤)でユニバーサル・ミュ ージックから出ています。ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下 さい。