RAMSEY LEWIS & NANCY WILSON

Mean to be


もう16〜7年前でしょうか、当時フュージョン の世界で大変な人気を誇っていたラムゼイ・ルイス と、東京音楽祭に出場し、山下達郎作曲の<ユア・アイズ> で最優秀歌唱賞を獲得して、益々、日本でのファン を増やしていった、ナンシー・ウィルソンとのコラボレーション、<ラムゼイ・ルイス&ナンシー・ウィルソン> (日本でのタイトルは、〜ザ・ツゥー・オブ・アス〜) を聴いたのは。とても素敵なアルバムだった事を今でも 鮮明に覚えています。その二人がまたまた素敵なアルバム を私達に届けてくれました。それが、今回紹介する <ミーン・トゥー・ビー>なのです。
二人を知らない人の為に、少し紹介しておきましょう。 ラムゼイ・ルイスは、アメリカのシカゴに、1935年 に生まれ、幼い頃からピアノを学んで、大学でもピアノ、 音楽学を勉強。その後、シカゴでピアノ・トリオを 結成し、1965年、Argoレーベルに吹き込んだ、 <The in crowd> が大ヒットして、一躍人気ピアニスト になります。その後は、段々ファンキー色を強めていき、フュージョン界でも大活躍。今では、チック・コリア と同様に、モダン・ジャズもフュージョンもこなす 大御所的な存在になっています。
ナンシー・ウィルソンは、1937年、アメリカ のオハイオ州生まれで、1960年<Like in love >という アルバムでデビュー。その大ヒットで、一躍スターダム にのし上がり、40年以上トップの座を維持しつづけています。 ついこの3月にも、ブルーノート東京でライブを開き、 好評を博しました。 前回、この二人のコラボレーションは、フュージョン色の 大変強い物でしたが、時を経て届けられたこのアルバムでは、 アコースティックに徹して、素敵に仕上がっています。 それでは紹介していきましょう。

ピアニストのデイヴ・フーリッシュバーグが作った#1。 オープニングにとても相応しい曲です。このアルバムの 方向性をしっかりと定めていますね。ナンシーも夜 の雰囲気を感じさせて最高です。トリオで贈る#2 では、ラリー・グレイのベース・テクニックが光っています。 ナンシーを迎える#3は、昨年、9月11日のテロ事件に 対する想いが込められています。シンプルな詩の中に どんな感情が込められているか、どうぞ、あなた自身が 感じて下さい。夜のしじまをさ迷っている気分がしてくる #4。タイトルがピッタリですね。続く#5は、時が 静かに流れていく、そんな中に自分を置いてしまいたくなる 様な感じです。ヴァン・モリソンの作品#6は、ナンシーが 先のブルーノート東京でのアンコールで披露していた物。 後半のスキャットが怪しげな雰囲気を醸し出していますね。 タイトル曲の#7。ラムゼイと、このアルバムでの ベースとアレンジの多くを担当している、ラリー・グレイ の作品です。鎮静剤を飲んだ時の様に落ち着きます。 ブレンダ・ラッセルの大ヒット#8。ナンシーは、正に ナンシー流とでも言うべき解釈で唄っています。 ベースの弦を弓で弾くと、何故か不思議な雰囲気が 漂ってきますが、#9は、自分が何処かに行ってしまう様な 感じが、少し怖いかもしれません。そんな感じから ”今”に戻してくれる#10。先回紹介した、パティ・オースティンと、 デイヴ・グルーシン、そして、ハーベイ・メイスン の作品で、パティの歌でもお馴染みですね。軽く唄って いるナンシーがとてもいいです。あなたの初恋は、どんな気持ち だったでしょうか?アルバム最後の#11は、ドラムのリズム の上に、ピアノとベースのユニゾンが流れる導入部から 惹かれてしまいます。素敵な終わり方をしていますね。ラリー・グレイのアレンジが本当に光ります。

如何だったでしょうか?大人の時間を過ごすには正に これだ!という感じではないでしょうか。 アルバムの番号は、72438ー50774ー2ー5で、 Narada Jazz から出ています。(輸入盤) 機会があったら、以前に出たアルバムもCDで発売されていますので、 そちらと一緒に聴いてみるのも面白いかもしれません。 ジャズ・ピアノか、ジャズ・ヴォーカルのコーナー で探せます。