Henri Salvador

jazze!


まさか今更来日するなんて誰もが思っていなかった アンリ・サルヴァドールが、この9月28・29に渋谷にある 東急文化村シアター・コクーンで公演を行ったのです。 1917年の生まれだから、現在85歳。この歳で初来日をする 歌手が今までいたでしょうか?その来日に合わせて発売された 素敵なアルバム、<ジャズ!>を紹介しましょう。

さて、アンリ・サルヴァドールといっても、シャンソン 好きな方でも日本ではあまり知らない方が多いのです。 しかし本国フランスでは再びアンリ・サルヴァドールの ブームが起こって、先ごろ発売された新録<サルヴァドールからの手紙>は 何と70万枚も売りあげたのです。そんな彼を少し紹介 しましょう。
ギアナの首府カイエンヌで生まれた彼は、幼い頃から ジャズに傾倒し、兄や友達と<ネギュス・トリオ>を結成し、 軍隊に入隊するまで活動、除隊後にレイ・ヴァンチユラに誘われて 南米に同行、リオ・デ・ジャネイロのカジノ<ウルカ>での 即興が受けて大ブレイクしたのです。フランスに帰国してから 1947年に<クロパン・クロパン>が大ヒット。秋には <ボビノ>に初出演、49年にはACCディスク大賞を獲得するまでに なりました。その後、数々のヒット曲を送り出した彼は 56年、ボリス・ヴィアンとミシェル・ルグランと共に <ロックン・ロール・モップ>を大ヒットさせ、その後、 バークレイに移籍して前出のボリス・ヴィアンと数々の ヒットを生み出しました。ボリス・ヴィアンの早すぎる死後 彼は小さなレコード会社<リゴロ〜面白い人>を設立、 76年まで多くのヒットを出しますが、最愛の妻の死で しばらく音沙汰無しになりますが、二番目の妻の後押しもあって 復活。82年活動を再開、86年にはパレ・デ・コングレで リサイタルを開くまでになったのです。その後暫くの空白を経て 再び復活。フランス最高のプロデューサー、バンジャマン・ビオレー 製作の<サルヴァドールからの手紙>で再びブレイクしているのです。 それではアルバム<ジャズ!>紹介していきましょう。

40代後半以上の人ひは本当に懐かしい#1。日本では ザ・ピーナッツが歌っていましたね。ピアノが雰囲気を出す #2。アズナブールの作品#3。とてもお洒落でジャジーです。 そう言えば、このコーナーでも、かつてアズナブールの <ジャズナブール>というアルバムを紹介した事がありましたね。 3分間の映画を観ている様な#4。MJQの様な編成で 詩の内容にしては心地よく聴く事が出来ますね。こちらも 心地よい#5。まさにビッグ・バンド・ジャズです。 曲も詩も希望にあふれる#6。<はじまりは戯れから>という タイトルに見覚えがある方も多いでしょう。そんな事を唄った#7。 シャンソンの気だるい魅力がある#8。お洒落なくせに 笑ってしまう#9。これが彼の真骨頂です。スウィングしまくる #10。これもアンリ・サルヴァドールを良く現している#11。 ストリングスが美しい#12。ボリス・ビアンの詩が素敵な#13。 ピアノラウンジに居る時のように気が休まります。ワルツを 踊りたくなってしまう#14。誰にでもある青春の恋の想い出。 そんな淡い気持ちを唄う#15。クインシー・ジョーンズの 編曲が光る#16。アルバムの最後を飾るのは、ちょっと センチな#17。最後の終わり方が憎いです。

如何でしたか?多才な彼の一部分でも垣間見る事が 出来たでしょうか?アルバムの番号ですが、国内盤が、 UCCM4011で、輸入盤が549 742ー2で、ユニヴァーサルより 出ています。シャンソンか、ジャズヴォーカルのコーナーへ 行ってみてください。なお、輸入盤には、国内盤では 版権の関係で収録出来なかった<COUNT BASIE>という 素晴らしい曲も入っていますので、そちらも聴きたい方は 輸入盤をお薦めします。