TOKU

TOKU


 今やCMでも話題沸騰のTOKU。今回は、そのTOKUの最新アルバム、<TOKU>を紹介しましょう。
 日本の男性ジャズ・ヴォーカルと言うと、直ぐに思い浮かべるのが小林桂でしょう。しかし、 最近その小林桂に追いつき、また、追い越しそうな人物が現れてきました。それが、今回紹介するTOKU〜トク〜なんです。 私の個人的な意見を言うと、容姿では若干劣るものの、歌の雰囲気や、楽器(フリューゲルホーン)も演奏できると言う点で、 近い内に小林桂を追い抜く事は間違いないと思っています。さて、そのTOKUですが、2000年のデビューですから、 早くも3年が経ちました。その間、ミニアルバムを含めて4枚のアルバムを発表し、最近ではCMに登場、 ジュリー・アンドリュース主演の名作、<サウンド・オブ・ミュージック>から<ド・レ・ミの歌> を新鮮なアレンジで披露してくれました。皆さんもきっと聴いた事がおありじゃないかと思います。そのTOKUが、 ベスト・オブ・ベストとも言うべきアルバムを届けてくれました。それが、今回紹介する<TOKU>なのです。 先程も触れた様に、彼は歌だけではなく、フリューゲルホーンも演奏しますが、このアルバムでは、 ヴォーカル物とインストゥルメンタル物を交互に収録して、彼の魅力を余す所なく披露しています。 それでは紹介していきましょう。

 最近ベスト盤が出て、再び売れているスティーヴィー・ワンダーがアルバム<インナー・ヴィジョンズ> の中で歌っていた#1。新しさは、さほど感じませんが、この一曲で、トク・ワールドを垣間見た気がします。 チャック・マンジョーネの世界に通じる#2。ぼんやりした朝の空気を感じますね。つい2年程前にエルビス・ コステロが大ヒットさせた#3。ロン・カーター、グラディー・テイト、そしてケニー・ バロンといったジャズ界の素晴らしいメンバー達と録音した、とても贅沢なナンバーです。元々この曲は、 1980年代初めにフランスが誇る歌手、シャルル・アズナヴールがイギリスでNo.1にした曲。当時から、 曲の美しさは群を抜いていました。チェット・ベイカーも演奏していた#4。ご機嫌です。 火曜サスペンス劇場のエンディングテーマの様な#5。とても素敵なナンバーですけど、なんとこの曲、 筒見京平の作曲だったんです。TOKU自身の作品#6。彼のお父さんの名前をタイトルにしています。 このアルバム中では、ベストと言っても良いくらいに、演奏が充実しています。それもその筈。 ステファン・スコット、バスター・ウィリアムズ、グラディー・テイト。なんて、贅沢なんでしょう! チャップリンの#7は、これまた贅沢なメンバーを揃えての録音です。書いていると切りが無いので、皆さん、 お買い上げになってからチェックしてみて下さいね。国府弘子のオリジナル#8。一時大ブームを巻き起こした、 ウィンダムヒル・レーベルが提供しそうな曲で、とても癒されます。ここでのピアノは、勿論、作曲者本人の国府弘子です。 そして#9は、CMでもお馴染です。あまりにも有名過ぎたからでしょうか、アレンジに努力の跡が見られると思いませんか? #2が朝の空気なら、この#10は、差し詰め夕方の空気でしょうか。作曲の能力もイイ線いってると思います。 アルバムの最後#11は、シャデイのナンバーから。鼻にかかったTOKUの声は、この曲にピッタリ! それに、タイトルが良いですね。私にも誰か〜KISS OF LIFE〜をくれないかな?

 如何でしたか?とても素敵なアルバムでしたね。これからが益々楽しみです。アルバムの番号は、SICP321で、 SONY RECORDSより出ています。日本のジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。