BLOSSOM DEARIE

BLOSSOM'S PLANET


 2年前位からニューヨークにあるDanny's Skylight Room というキャバレーでは、 ある歌手が週末の土日になると異常なほどの熱狂をもって迎えられています。その歌手こそ、 今回ここに紹介するブロッサム・ディアリーなのです。

 彼女を知らない人のために、少し彼女を紹介してみましょう。
 1926年にニューヨーク州で生まれた彼女は、高校を卒業後、 ザ・ブルー・フレームズというコーラスグループに所属しその音楽生活をスタートさせます。 その後、フランスのバークレイレコードのオーナーに招かれて渡仏し、 伝説のグループ<ブルー・スターズ>を結成します。このグループは、 スウィングル・シンガーズの前身であり、メンバーは、彼女とアニー・ロス、 それにボブ・ドローというから驚きます。アルバムを録音して、その後ニューヨークに戻り、 ヴァーブから6枚のアルバムを発表。1973年には、音楽制作会社を設立し、 自分自身のレーベル<ダフォディル>から20枚以上のアルバムを発表し続けているのです。 今回紹介する<ブロッサムズ・プロジェクト>は、その彼女の最新アルバムで、 彼女の何時までたっても変わらないチヤーミングな声が、私たちの心を癒してくれます。 それでは紹介していきましょう。

 ミディアムテンポでスタートする#1は、ジャック・シガールとの共作ですが、 昔よりテンポを遅くした事で、とてもロマンティックな曲になっています。 #2はハーモニカで有名なトゥーツ・シールマンズの曲。ボサ・ノヴァ調のアレンジがいいですね。 とても美しい#3。ストリングスが美しさを一層引き上げています。去年まで、 ブロードウェイやウエストエンドを賑わせていた、イレイン・ストリッチの十八番#4。 勿論ソンドハイムの曲で、こちらも軽いボサ・ノヴァ調のアレンジがとても合います。 高層ビルのバーから一人窓の外を眺めているような気分にさせる#5。イヴァン・リンスの代表曲です。 何時聞いても、ポール・ウィリアムズの詩がとてもいいです。#6もイヴァンの曲。 ちょっと淋しげに唄うブロッサムが最高です。スティングの曲#7。勿論フランス語で唄っています。 ちょっとTVドラマにでも使えそうな曲だと思いませんか?草原を吹き抜ける風の様な雰囲気がある#8。 ミシェル・ルグランとの共作です。息がふ〜っと抜けますね。体が自然と動き出してしまう#9。 そして、アルバムの最後#10は、ストリングスの美しい響きで始まります。 なんて美しいアレンジなんでしょう。アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲ですが、 本当に心が洗われます。

 如何でしたか?とても75歳を超えている声だとは思えないですね。 そして全体に大変素敵なアレンジが施されていて、とても癒されます。CD番号は、 DBCW2008(輸入盤日本語解説付き)、BMD VOL.XVIII(輸入盤)で、 Daffodil Records より出ています。ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。