PINKY WINTERS

Rain Sometimes


 毎日じめじめしている天気が続くこの季節、部屋に篭っている時間が長くなりますね。そんな時、 あなただったら何をするのでしょうか?部屋の掃除、ぼ〜っとTVを見つづけている、いえいえ、 ただ寝ている。う〜む、いろいろあると思うのですが、そんな時にゆっくり音楽に耳を傾けてみては如何ですか? 今回紹介するピンキー・ウィンターズのニューアルバム、<レイン・サムタイムス>は、 あなたにホッとするひと時を与えてくれるに違いありません。

 紹介する前に、ピンキー・ウィンターズを知らない方の為に、彼女を少し紹介しておきましょう。
 1931年生まれの彼女は御歳72歳。今回紹介するアルバムの録音が2001年ですから、 丁度70歳の時の録音です。彼女の名前を知らない人は結構いるのではないかと思いますが、 それは彼女が寡作の人だったからに他なりません。1954年にアルバム<PINKY>と<LONELY ONE> を出してから結婚生活に入ってしまい、1979年に再始動するまでリタイア同然の生活を送っていたのです。 しかし、再始動するも、レコーディングにはさらに6年の歳月が必要でした。そして、1985年、 <LET'S BE BUDDIES>を発表、日本でも過去のアルバムの再発、 未発表曲を集めたアルバムが発売になって再注目されるようになりました。その後もマイペースで数枚のアルバムを発表し、 今回のアルバムとなるわけです。今回は、ピアノとアレンジにリチャード・ロドニー・ベネットを迎え、 とても素敵なアルバムとなっています。彼女は、実力があるのに作品が少ない為に過小評価されてきた一人と言えるでしょう。 それでは紹介していきましょう。

 ジョニー・マーサーとハロルド・アーレンのコンビによる1944年の映画からの#1。 このアルバムのオープニングにとても相応しい曲だと思います。90年も前の歌だとは信じられない位素敵な#2。 自分の恋人にも言ってみたい、そう思った人も多いのではありませんか?ここでの彼女はヴァースから唄っています。 コール・ポーターの#3。ピアノと同様、指を鳴らして軽くスウィングしたくなりますね。大人の恋が見え隠れする#4。 とてもいい雰囲気です。ドリス・デイとは一味もふた味も違う大人の魅力漂う#5。 後で聴き比べてみたら如何ですか?アルバムのタイトルにもなっている#7。 バーのカウンターで一人グラスを傾けて歌を聴いている、そんな情景が浮かんでくる、とってもお洒落なアレンジです。 ピアノと一体のスウィング感がいい#8。単純な詩もメロディーでこんな素敵な唄になってしまう#9。 こちらは簡単な言葉が素敵な詩を構成している#10。感情が伝わってきますね。 このアルバムでピアノを担当しているリチャード・ロドニー・ベネット自身の作曲した#11。 お洒落なダンス音楽とでも言うのでしょうか。と言っても、今のではなく、昔のダンス音楽ですけれど。なにか、 しっとりしますね。間奏に<I'm biginning to see the light>の一節を入れるなんて。泣けてきちゃいますね。 そんなバラッド#13。そして、このアルバム最後の#14は、フランク・シナトラでお馴染みの曲。言葉がはっきりと伝わって、 しっとり感がさらに増してきます。

 如何でしたか?雨の降る外を眺めながら、コーヒーや紅茶を飲んでいる。そんな時にこのアルバムがかかっていたら、 どうでしょうか。ホッとする事間違いなしだと思います。アルバムの番号は、CLLR101 で、CELLAR DOOR RECORDSから出ています。 ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。