PINKY WINTERS

Rain Sometimes


 元 Hi-Fi Set の山本潤子が新しいコーラスグループを結成して、とても爽やかなアルバムを届けてくれました。 それが、今回紹介するApril〜エイプリルの<10cc of Tears>です。フォーク、ジャズ、ソウル、 そしてクラシックという様々なジャンルで活躍している4人が集まって結成されたApril。山本潤子が中心となって、 バラバラな個性を一つにまとめ上げ、とても爽やかで、心地よく聴く事のできるアルバムになりました。

 ここで、簡単にメンバーの紹介をしてみましょう。ジャケット写真左から、ショーン星野は、小学生の時に、 毎日新聞社主催の音楽コンクール、ピアノ部門に出場し、大学時代にはジャンルを超えた活動を展開、 1990年頃より弾き語りを始めて現在も活躍中です。そのスタイルには、ジャズ畑のジョン・ ピッツァレリの影響を見る事ができます。左から二人目の松谷麗王(名前はレオと読みます)は、1991年に渡米して、 93年に帰国すると、亀淵由香が主催するゴスペルグループ<Voice of JAPAN>に参加して、現在に至っています。 一番右端の花木佐千子は、桐朋学園の声楽科を卒業した後、劇団<四季>に入り、ミュージカル<エヴィータ>でデビュー、 クラシック、シャンソン、カンツォーネと、幅広く活躍中です。そして、右から二人目は、もう紹介するまでもないと思いますが、 山本潤子です。彼女は1969年に<赤い鳥>に参加、’74年には<Hi-Fi Set>を結成、数々のヒット曲を送り出して、 ’94年にソロデビュー。以降、いろいろなユニットを結成して2003年にヴォーカルグループ<April>を結成し、 今回のアルバム発売となるわけです。それでは紹介していきましょう。

 いきなり爽やかムード満点の#1。懐かしいメロディーのつけ方だなと思っていたら、村井邦彦の作曲だったんです。 作詞の山上路夫とのコンビは1970年代を想い出させます。 梅雨の晴れ間にベランダに出したテーブルで紅茶を飲んでいる雰囲気でしょうか。おそらく、ベートーヴェンの<月光> をモチーフにアレンジされた#2は、グレン・ミラー作曲のスタンダード。オーソドックスなコーラススタイルに安心感が持てます。 2コーラス目に出てくる花木佐千子のソロは、どこか、森山良子を彷彿させます。 1970年代後半から80年代に大ブレイクしたフュージョン音楽を連想させる#3。途中のアコーディオンは、 あの頃ならきっとハーモニカだったんじゃないかな、なんて想像するのも楽しいですね。ラストもお洒落です。 サザンオールスターズの曲に英語の歌詞を付けて、ジャズ・ヴォーカリストの金子晴美が唄った時には驚いた#4。 その後、レイ・チャールズまでが唄った日本のエヴァー・グリーン・ソングです。ゴスペル調のラストも聴き所です。 教会音楽風の#5。ユーミンの作品ですが、山本潤子の声は、本当にユーミンの曲にピッタリです。 Hi-Fi Set 時代を彷彿させる#6。とてもバランスが良く、ソロ、コーラス、そして楽器が一体となった素敵なナンバーですね。 マンハッタン・トランスファーっぽい#7。とても楽しい曲です。軽いボサノヴァ調の#8。 コーラスのアレンジがちょっぴり哀愁を誘います。フェードアウトがもう少し長ければな、と思いました。もうお馴染、 ユーミンの作品#9。アンデスの景色が見えてきそうです。アルバム最後の#10。眠りに誘われてしまうかの様です。 また、間奏がジャズっぽくて、とてもセンスがいいと思いませんか?コーラスもとても細かく付けられていて素晴らしいですね。

 如何でしたか?とても爽やかで素敵だったでしょ?ペンギンでも時々かけているアニタ・カー・シンガーズの様に、 大人にも耐えられるコーラスグループの誕生です。これを聴きながらのティーパーティーなんかも良さそうですよ。 アルバムの番号は、VICL-61153 でヴィクターより出ています。J-POP のコーナーに行ってみて下さい。