Diane Schuur

midnight


 夏が夏らしくなく、お盆を過ぎてから夏らしくなってきた今年。もう9月だと言うのに、 外は蒸し蒸ししていて外出の気持ちにもならない。そんなあなたにお薦めのアルバムがあります。 それが今回紹介する、ダイアン・シューアの<ミッドナイト>です。
 1984年のデビュー以来、14枚のアルバムを発表している彼女、ダイアン・シューア。15枚目の今回は、 なんと、バリー・マニロウの全面プロデュース、一部共作はあるものの、全曲作曲によるアルバム、<ミッド・ナイト> を届けてくれました。エアコンの効いた部屋で、少し灯りを落として聴いてみては如何でしょうか。アルバムを紹介する前に、 彼女に付いて少し触れておきましょう。

 1953年にシアトル近郊のオーバーンで生まれた彼女は、生まれて間もなく事故で失明してしまいます。しかし、 音楽に興味を示した彼女は、ダイナ・ワシントンやサラ・ヴォーンを聴きあさり、10代の後半には地元で弾き語りを始めます。 1975年にはバンド歌手としてモントレー・ジャズ祭に出演、その後、スタン・ ゲッツに認められてホワイトハウスのパーティーに出演したのがきっかけでGRPレコードと契約。 84年にアルバム<ディードルズ>を出すと、瞬く間にスターダムに伸し上がって、カサンドラ・ウィルソン、 ダイアン・リーブスとともに、80年代の新進女性ジャズヴォーカリストと呼ばれるようになって、現在まで活躍しています。 幼い頃に入っていた教会のコーラス隊の影響からか、その歌唱には、ゴスペルやブルースの影が見え隠れしています。 それでは紹介していきましょう。

 ミュージカルのオープニングの様な#1。このアルバムのタイトルを説明しているとも取れる、とってもご機嫌なナンバーです。 もうジャズのスタンダードとなっているバリー・マニロウ作曲、ジョニー・マーサー作詞の#2。ストリングスの心地よさと、 テナー・サックス、フュルーゲルホーンのソロが真夜中へと誘いますね。このコーナーでも以前に紹介した事のあるカリン・アリソン。 彼女とのデュエット#3。内容を聞いているとドキっとしてしまう人が何人いる事でしょうか?はははは、っと笑ってはいられませんよ。 私の大好きなブライアン・マックナイトとのデュエット#4。ちょっとエッチな気分にさせられます。大人の夜にピッタリです。 アンソニー・ウィルソンのギターが真夜中に導いてくれる#5。こんな情況を経験した人、多いのではないでしょうか? 二人の関係がギクシャクしてきた時に参考になりますよ、きっと。ラテンタッチの伴奏に乗ってご機嫌なダイアン。 前半と後半のトーンの違いにご注目です。さしずめLPの時代だったら#7はA面の最後の曲でしょう。 別れてから解る事って意外に多い物ですよね。とても美しい曲でした。軽いブルース調の#8。何時の間にか体がゆっくり動き出し、 手拍子を叩いていませんか?こちらは軽いボッサの#9。彼女の裏声が魅力的ですね。ショーを観ている様な気になる#10。 #2と同じく、バリー・マニロウがず〜っと昔に発表したアルバム、<パラダイスカフェ午前2時>に入っていた#11。 これもスタンダードになりそうな良い曲ですね。何と言っても、単純な詞がいいです。ダイアンの弾き語りで贈る#12。 人生賛歌とでも言うのでしょうか。本当に人生は歌のようにいいですね。アルバムも最後の#13を迎えてしまいました。 バリー・マニロウとのデュエットで贈るこの曲は、正にアルバム最後に相応しい曲ですね。そして、眠りに付く。そんな感じです。

 如何でしたか?大人のムードがいっぱいでしたね。ワインかブランディがあれば、もう最高!です。アルバムの番号は、 VICJ-61131で、コンコードレーベルでビクターより出ています。ぜひあなたも大人の夜に出会ってみては如何ですか? ジャズヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。