Will Downing

emotions


 2004年の幕開けに相応しいアルバムをお届けしましょう。 このページのNo.5でも紹介した事のあるウィル・ダウニングの<エモーションズ>です。No.5でも紹介している様に、 <大人の夜>を感じる事のできる数少ないシンガー、ウィル・ダウニング。今回も、<アーバン・ナイトをあなたに!> といった副題が付きそうな、そんなアルバムに仕上がりました。
 ここで、彼を知らない人の為に、彼を少し紹介しておきましょう。
 今年で丁度40歳を迎える彼は、ニューヨークはブルックリンの出身。 1970年代にはセッションシンガーとしてそのキャリアをスタートさせています。 彼がバックグラウンドヴォーカルとして参加したシンガーは、ビリー・オーシャン、ジェ二ファー・ホリデイ、 ステファニー・ミルズといった大物ばかりでしたが、80年代の半ば過ぎに、 ニューヨークに居たDJでありプロデューサーのアーサー・ベイカーの紹介でフォース&ブロードウェイ・レコードと契約する事に成功し、 ついに88年、<Will Downing> でデビューします。このアルバムはイギリスで中ヒットを記録しますが、 アメリカでは鳴かず飛ばずでした。が、91年に発表した<A Dream Fulfilled>がアメリカでゴールドアルバムを獲得し、 彼のスタイルがここで完成をみます。その後、マーキュリー、モータウンと移籍し、 今回GRP第二弾としてだされた通算11枚目のアルバムがこの<エモーションズ>です。それでは紹介していきましょう。

 クリス・デイヴィスのキーボードのイントロが流れた瞬間に、彼の世界に引き込まれてしまう#1。 昔のDISCOで格好良く踊っていた人を思い出させそうな曲ですね。ちょっとスティーヴィー・ワンダーを彷彿させるアレンジの#2。 高層階から眺める都会の夜が見えてきます。30年以上前の名曲が甦った#3。アレサ・フランクリンの代表曲のひとつです。 弘田三枝子が良く取り上げてましたっけ。タイトルの様に恋に落ちてしまいそうな#4。耳元で囁かれたら、あなた、 どうします?正に、大人の夜に相応しい曲です。これも懐かしい#5。大人の夜が更に更けていきますね。もうゾクゾクきちゃいます。 軽めのビートで気分転換の#6。ロニー・ギャレットのベースがズシズシ体に響きます。 極上のフュージョン・ヴォーカルに仕上がった#7、#8。フィリップ・ハミルトンのギターも泣いている#9。 どんどん大人の夜も更けていって、あっという間にアルバム最後の曲になってしまいました。 なんと#10は、ジャネット・ジャクソンのカヴァーです。 勿論、ジャネットとは全く違ったアプローチでアルバムの最後を締めくくっています。 二コラス・ペイトンのトランペットが大人の夜への演出として最高ですね。

 如何でしたか?<大人の夜>に浸れたでしょうか?ダニー・ハサウェイ、ルーサー・ヴァンドロス、 マイケル・ワイコフ、ナット・キング・コール、アニタ・ベイカー、そしてサラ・ヴォーンにまで影響を受けた、 彼のヴォーカルを堪能出来たのではないかと思います。アルバムの番号ですが、輸入盤がGRPレーベルより、 B000529ー02 で、国内盤がユニヴァーサル・ミュージックより、UCCR-1037 で出ています。ブラック・ミュージック、 ソウルのコーナーか、ジャズ・ヴォーカルのコーナーに行ってみて下さい。