HAPの作品

『終点』

一場 <板付き>なし  暗転の中、初めに、キノシタが入って来る。
しばらくしてから、カワグチ、ナカジマ、ササオカ、オオタが入って来る。
(みんながパイプを回し始めたら、照明と一場の音を、ゆっくりとフエイドイン}
キノシタ、ナカジマ、ササオカ、ソフアーに座って何か話している。 (薬服用のため支離滅裂な会話)
カワグチは後ろでゆれている。 みんなと少し離れたところにオオタ。彼は他の者と交わらず独自の世界に没頭。
{照明、ゆっくりとフエイドアウト。音もゆっくりと落とし、少し残す}
*このシーンでは役者は声を立てない。動きのみの表現。

 

二場<板付き>キノシタ、カワグチ、ナカジマ、ササオカ、オオタ  

翌日、オオタ以外みんな寝ている。暗転の中、オオタの台詞が聞こえてくる。
オオタ   次は終点・・次は終点・・お忘れ物のないように・・ 次は〜(言い続ける)
{オオタの台詞の途中から、照明フエイドイン} カワグチ、ゆっくりと起きる。
{カワグチが起きるあたりで、二場の音につなぐ}
カワグチ (オオタにきずいて)おー、起きてたの?
オオタ  (カワグチの方を見る) 
カワグチ  まじかよ・・・ (みんなを見て)おーい、起きろー、起きろー、起きろよ、お昼ですよー                
ササオカ (起きる)なんか頭いたーい
      ササオカ、後ろに行って座り込む。
      カワグチ、飲み物を取りに行く。
カワグチ (ナカジマに)おまえ今日バイトじゃねーの?    
ナカジマ (寝たまま)んー カワグチ  バイトは?
ナカジマ  ん?(体を起こす)あっそーだ (また寝る)やーめた        
カワグチ  おいっ
ナカジマ  気持ちいー          
キノシタ (体を起こす)あー、のこってるよ、まだ  
カワグチ (ナカジマに向かって)おまえ、まじで行かないの? 
ナカジマ  気持ちいーから行ーかない 
カワグチ  やっべー
キノシタ  なに?
カワグチ  またバイト行かねーって
キノシタ  まあいいじゃん
カワグチ  いやでもまたクビになるぜ
ナカジマ  またって言うな
キノシタ  大丈夫だろ、俺じゃねーし
      ササオカ、飲み物を取りに行く。
ササオカ  調子わるーい
キノシタ  あっ、ウーロン茶入れて 
ナカジマ  俺も
ササオカ  はーい
ナカジマ  コーラーある?
ササオカ  えーっとね・・・・ない 
ナカジマ  じゃあ俺もいっしょ
キノシタ (オオタを指差す)オオタのも分も入れてやって
ササオカ  はーい(オオタの分も入れて持ってくる)
キノシタ  サンキュー
ナカジマ  おっ、わりー ササオカ、オオタの前にコップを置いてから、ソフアーに座る。
キノシタ  あっ、今日何曜日?
ナカジマ  月曜ー
キノシタ  月曜?
カワグチ  火曜じゃねーの
キノシタ  どっち?
カワグチ  火曜だよ
キノシタ  マジで火曜?(時計を見る)やっべー
ササオカ  どっか行くの?
キノシタ  つれと約束だ
ナカジマ  だめだぞー、約束破ちゃー
カワグチ  おまえが言うな
ササオカ  あれ、今日、誰か来るんじゃなかったっけ?
キノシタ  えっ・・・あっそーか、待ち合わせじゃなくてうちにくんだ、・・って何でお前知ってんの?
ササオカ  昨日言ってたよ
キノシタ  よく覚えてんなー カワグチ  そりゃ、こいつ、DJだし (キノシタ、ナカジマ、軽笑)
ササオカ  関係ないじゃん
ナカジマ  DJって
ササオカ  何でそういう言い方すんだよ?
ナカジマ  別に、ただ最近DJって多いよなー
カワグチ  でもおもしろいって思わせるようなDJ少ないんだよね。(ササオカに)もちろん、お前も含めてな
キノシタ  って言うか、店の問題じゃない?
ナカジマ (ササオカに)まあ、どっちみちこいつはださいね (キノシタ、カワグチ、軽笑)
カワグチ  ださいださい 
ササオカ  俺はださくないよ
カワグチ  お前、テクノしか聞かないもん 
ササオカ  でもテクノかっこいいよ
カワグチ  バカ、誰がかっこ悪いって言ったよ、俺が言いたいのはな〜
ナカジマ  お前はホントに、バカだな、バカ
ササオカ  バカバカ言うなよ
カワグチ  いろんな音楽聞けって言ってんだよクラブでかけんのは、仕事だから仕方ないけどさ、お前家でもそればっかじゃん
ササオカ  でもさ、新しいのどんどん出るし他の買ってる余裕ないよ
カワグチ  なにそれ、お前仕事のために音楽聞いてんの
ナカジマ  やめちまえー (カワグチ、キノシタ、軽笑) 
ササオカ  俺はやめないよ      
キノシタ  やっぱさ、なにが飛び出すかわかんない、っていうようなのがいいんだよ
ササオカ  でも、今ってジャンル分けできれいに分類されてるでしょ、だからよっぽどの人じゃないと、好き勝手に選曲出来ないって           キノシタ  だからおもしろくないんじゃん
カワグチ  まあ、一つのジャンルって言うんならそれはそれでいいけどさ、みんなもそれ聞きに来てるし・・・って言ってもそんな聞いてねーか      ササオカ  えっ?聞いてないの?
カワグチ  聞いてねーよ
ササオカ  聞けよー
カワグチ  この間お前が回してた時だって、ナンパ大会になってたじゃん
キノシタ  そうそう(ナカジマに)こいつもな
ナカジマ  そりゃ、音に楽しめなかったらそれしかないでしょ
キノシタ  お前はいつもだよ
ナカジマ  あっ、よく言うよ、お前だってこないだ
キノシタ  暇つぶしだよ 
ナカジマ  一緒だよ
カワグチ  まあまあまあ、女はどうでもいいけどさ、やっぱり普通は、音聞きに行くわけでしょ?でも、今ってなんかそうじゃなくて、そこにいくこと事態       が・・・なんて言うの・・・なういって感じ?    (笑)
みんな   なういって・・ (みんなが笑っている中、タカハシが入ってくる。)

ナカジマ  なんだよそれ        
タカハシ  こんにちわー
カワグチ  やっぱりこれってやばい   

キノシタ  よー ナカジマ やばいよ          
タカハシ  サタケ君は?                        
キノシタ  まだ                        
タカハシ  ふーん タカハシ (みんなに)あっ、こんにちは みんな (適当にあいさつ)
タカハシ  なに話してたの?
キノシタ  ん?なんだっけ ナカジマ  こいつがね、ダサイって話 (カワグチ、キノシタ、軽笑)
ササオカ  俺はださくないって
タカハシ (ササオカに)あっ、この間行きましたよ
ササオカ  本当
タカハシ  すっごい入ってたね
ササオカ  どうだった?
タカハシ  ・・・人多すぎて・・・途中で帰っちゃった
ササオカ (苦笑)あら、そー (カワグチ、ナカジマ、キノシタ、軽笑)
ササオカ  名前なんだっけ
タカハシ  タカハシです
ササオカ  下の名前は?
タカハシ  ミキ
ササオカ  ミキちゃんて、テクノ好きなの?
タカハシ  ・・・いや別に ササオカ  ・・・ (カワグチ、ナカジマ、キノシタ、軽笑)

ナカジマ  お前、しゃべんな。ミキちゃん困ってんじゃん (タカハシに)ごめんね、こいつバカだから
ササオカ  なんだよ。(タカハシに)で、今何やってんの?
タカハシ  MONKの近くのマルビルって知ってる?
ササオカ  うん タカハシ  あそこの地下に服屋があんの
ササオカ  ああ知ってる知ってる、女の子用のだよね。そこで働いてんだ?
タカハシ  うん ササオカ  ふーん、いいね
カワグチ  何がいいんだよ ササオカ  えっ・・・いや
ナカジマ  お前ホントしゃべんなっつーの 
カワグチ  いやマジで    
      ササオカの話の途中に、サタケ入ってくる。
ササオカ  でも服屋ってさー〜     

サタケ   こんにちわー 
キノシタ  よー 

ナカジマ  誰?若いねー
キノシタ  えっ、こいつらと初めてだっけ? みんな  (うなずく)
キノシタ  こいつサタケ、高校の時の後輩  
ササオカ  へー                    
カワグチ  学生? サタケ   一応社会人です
カワグチ  何やってんの? サタケ   写真の仕事
カワグチ  えっ、カメラマン?
ナカジマ  なに撮んの?
サタケ   いや、そんないいもんじゃないですよ、ただの雑用       で、みんなは何してんの?
カワグチ  俺はキノシタと同じ学校
ナカジマ  俺はフリーターなんだけど、(ササオカを指して)こいつが今をときめく人なりー
サタケ   えっ何? 
ササオカ  僕?僕はね、めちゃいけてるDJ
ナカジマ  ふざけんなー
カワグチ  お前、全然いけてねーよ
サタケ  (思い出したように)ああ、この人がササオカ君?
キノシタ (うなずく)
カワグチ  なんだよ、知ってたの?      
サタケ   フライヤーで見た事ありますよ
カワグチ (ナカジマに)こいつ今、結構有名なんだよな   
ナカジマ  おかしいよな絶対、センス悪いのに
ササオカ  俺はセンスいいよ。で、よく行くの?
サタケ   どこですか?
ササオカ  えっ、クラブ
サタケ   僕、ああいうとこあんまり好きじゃないんですよ      (オオタを指して)あの人は?
ササオカ  あいつは別にいいよ
サタケ   何で?
ササオカ  いいの、いいの、どうせわけわかんないし(ナカジマに)なあ
ナカジマ (サタケに)こいつ?、こいつはね、なんて言うんだろ
ササオカ  何系?
ナカジマ  宇宙人系
ササオカ  だよねー、宇宙人宇宙人
カワグチ  そんな言い方すんなよ
ナカジマ  いいじゃん
サタケ   紹介してくださいよ
ナカジマ  えっ?まじで?
カワグチ  おい、オオタ、オオター、オオタ

オオタ  (みんなの方を見る) 

カワグチ  サタケ君が、何してる人ですかって

オオタ   僕は・・・ただ・・・生きてるだけ (ナカジマ、ササオカ軽く笑う)

サタケ   えっ?
ササオカ  んー、生きてる生きてるー
ナカジマ  何言ってんだお前、(サタケに)いつもこうなんだよ
サタケ    えー、すごい人ですか?        
ナカジマ (あきれて)はあ? 
キノシタ  俺も最初そう思って、ここに連れてきたんだけどさ、ホント、何考えてんのかわかんねーんだよ、でも俺らとは、何か、全然違う、っていうのは確      かだね
ナカジマ  お前ら考えすぎだって
ササオカ  そうだよ、ちょっと普通じゃないだけじゃん
カワグチ (ナカジマとササオカに)お前らにはわかんないんだよ
ナカジマ  あっ、お前は何がわかってんだよ
カワグチ  そりゃあ、なんて言うか、お前らには持っていないものを、あいつは持ってるって言うか・・・
ナカジマ  なんだよそれ
キノシタ  だから、お前らにはわかんないんだって
ナカジマ  じゃあ説明して見ろよ
ササオカ  そうだよ、説明してよ   
オオタ  (立つ)
キノシタ (オオタに気づいて)お、オオタ帰るの?
オオタ  (キノシタの方を見てうなずく。そのまま帰る)

カワグチ  じゃ俺もそろそろ帰るわ
キノシタ  おお
ナカジマ  なんだよ、逃げんなよ、説明しろよ
カワグチ  じゃあ
ササオカ  じゃあねー
ナカジマ  おい、説明してけよ
カワグチ  その話は今度ってことで、じゃあ みんな (適当にバイバイ) カワグチ、帰る。
ナカジマ  じゃあ俺も今からバイト行こっかなー
ササオカ  今からじゃ、めちゃくちゃ遅刻でしょ
ナカジマ  俺ぐらいのレベルになったらありなんだよ
ササオカ  どれぐらいのレベルだよ?
ナカジマ  うるせーよ       あっ、お前今日バイクだよな、乗せてけ
ササオカ  いや
ナカジマ  何だと?
ササオカ  絶対いや、馬鹿にしまくったもん
ナカジマ  気にしてんの、冗談だよ       乗せてください
ササオカ  しょうがないなー
ナカジマ  調子のんな
ササオカ  何だよ 
ナカジマ  おい、あの新しく出来たレコードショップ行こうぜ
ササオカ  おー、あっ、テクノの新譜買わなきゃ
ナカジマ  またかよ
キノシタ  じゃあ ナカジマ  おお
ササオカ  またねー キノシタ  おお、またな    二人帰る。

サタケ  (タカハシに)みんなのこと知ってたの?
タカハシ  うん、顔だけね、MONKで何度か会ってるから
サタケ   オオタって人も?
タカハシ  話した事はない
サタケ  (キノシタに)あの人、普段何してんの?
キノシタ (オオタの真似をして)ただ、生きてる
サタケ  (軽く笑いながら)いやそうじゃなくってさ、マジで
キノシタ  本当わかんないんだよ
サタケ   どういう知り合い?
キノシタ  知り合いって言うか、俺のとなりに座ってたカワグチってやつと朝まで飲んだ帰りにさ、通り道のとこの公園で、1人で滑り台に乗ってるやつがいたんだよ 
サタケ   それがあの人?
キノシタ (うなずく)朝4時頃だぜ、しかも何回も何回も
サタケ  (笑)あやしー
キノシタ  で、酔った勢いで、ここに連れて来たの
サタケ   そりゃまずいでしょ
キノシタ  だって、おもしろそうじゃん
サタケ   そうだね 
キノシタ  お前、ああいうの興味あるだろ?
サタケ  (うなずく)
キノシタ  そういうとこ俺と一緒だよな  (タカハシに)お前どう思う?
タカハシ (首をかしげる)
キノシタ  俺も実際、なんにもわかってないんだけどさ、なんかあいつといると、いいんだよね (タカハシに)そういうとこはない?
タカハシ (首をかしげる)
サタケ   それ、わかるような気がするなー
キノシタ  そうだろ  あっ、今何時?
タカハシ  えっと・・2時ちょっと過ぎ
キノシタ  そろそろ行こっか (タカハシ、サタケうなずく)
サタケ   写真撮りたいなー
タカハシ  オオタさん?
サタケ   うん タカハシ  今度頼んでみれば
サタケ  (キノシタに)撮らせてくれるかな?
キノシタ  わっかんねーな で、今日どこ行くんだっけ?
サタケ (あきれて)あー、僕の知り合いが個展やるって言ったら、行きたいって言ったでしょ
キノシタ  あっ、そうだ、ごめんごめん  三人、出かける。 {3人出ていくのに合わせて、照明フエイドアウト}

 
三場  <板付き>キノシタ、サタケ

{板付きを確認してから音、カットイン。少ししてから照明フエイ ドイン}

 翌日、サタケは仕事帰りに、ここに来ている。

キノシタ  お前の友達すごいなー
サタケ   でしょ
キノシタ  俺、絵とかってさ、全然わかんないんだけど、昨日のは、何かよかったよ
サタケ   僕も、あいつのはなんか好きなんだよなー
キノシタ  ああいうの、書ける人っていいよな
サタケ  (うなずく)
キノシタ  でも、個展とかってさ、絵より、絵の説明してる紙に人が群がってんじゃん
サタケ  (うなずく)あれっておかしいよね、あいつもそれが1番きついって
キノシタ  やっぱりそう思ってんだ
      しっかし、とりあえず昨日のはよかったな、ミキもかなり喜んでたよ
サタケ   そう、ミキちゃんもああいうの好きなんだ
キノシタ  かなり好きみたい、全然知らなかったよ
サタケ   ふーん、絵が好きな女の子っていいよね
キノシタ (うなずく)ちょっと見直したよ
      まあ、ちょっとだけな 

サタケ   ねえ、どう思ってんの?
キノシタ  何が?
サタケ   ミキちゃんの事 
キノシタ  ミキの事?
サタケ   だからー、付き合ってるとか
キノシタ  付き合うって、どういう事?
サタケ   どういう事って、付き合うは付き合うでしょ
キノシタ   お前と俺だって付き合ってんじゃん、それと一緒だよ
サタケ   だからそういうんじゃなくて〜

キノシタ  どういうのだよ。みんななんか、彼女みたいなのを特別扱いするけどさ、俺そういうのわかんないんだよ。男の友達か、女の友達かって違いだけだろ
サタケ   おかしいよ、それ。人好きになった事ないでしょ?
キノシタ  は?俺のまわり、好きな人ばっかりだよ
サタケ    そういう好きじゃなくて・・
キノシタ  何が言いてーの?俺にそれ以上の好きってないよ。それに好きっていうのだって結局自分にとって都合がいいか悪いかだろ
サタケ   うわー、寒いこと言うなー
キノシタ  寒いけど、そうじゃねーの?
サタケ    そうかなー、損得じゃなくてさ、なんか、そういうの超えた〜
キノシタ  何?愛?(軽く笑いながら)愛って、お前〜
サタケ  (不機嫌そうな顔)     
      じゃあさ、ミキちゃんは、なんなの?
キノシタ  なんなの、って言われてもなー・・・なんだろ?
サタケ   でもまわりから見たら、付き合ってるって感じだよ
キノシタ  そお?
サタケ  (うなずく)
キノシタ  じゃあ、それでいいや
サタケ   それでいいやって、いい加減だなー
キノシタ  別に、まわりからどう見えたって関係ないじゃん
サタケ   そう言われると・・・まあ・・・
          ミキちゃん以外の子とも、寝たりするよね
キノシタ  なんだよ突然
サタケ   よくないよ
キノシタ  説教かよ
サタケ   そうじゃないけどさ、ミキちゃん、キノシタ君に惚れてるみたいだし、やっぱり、かわいそうだよ
キノシタ  かわいそうって、なんでそんな事お前が言うんだよ
サタケ   ・・・
キノシタ  でもあいつに、俺はそういうやつだって言ってるよ
サタケ   ・・・(ぼそっと言う)それって本当の愛じゃないよ
キノシタ (あきれたような感じで)また愛かよ
サタケ   結局キノシタ君は、まだ、そういう人と出会ったことがないだけでしょ
キノシタ  お前あんのかよ
サタケ   あるよ
キノシタ  本当かよ、それって友達とどう違うの?
サタケ   えっ?・・・言葉じゃちょっと説明できない
キノシタ (軽く笑いながら)わっかんねーな・・・まあ、仮にさ、愛って言うのがあるとして、それを普通に考えると・・・見返りを求めない、って事になるよな?
サタケ   見返りを求めない?
キノシタ  だからさ、みんな、お互いが好きになって、そこから得られる充実感とかで・・それが愛とかって錯覚してる訳じゃん
サタケ  (首をかしげる)
キノシタ   まあ、俺はそう思うんだよ。でも相手に裏切られたら、その思いって続かないだろ。どっかで絶対、見返りを求めてんだよね。それは愛じゃねーだろ
サタケ  (キノシタに言いくるめられたような感じ)・・・
キノシタ  そう考えるとさ、本当の愛なんて、あり得ると思う?
サタケ   んー・・・結婚して、子供とか出来たら、そういう思いって出てくんじゃない?
キノシタ  ・・・
サタケ    でもそういう思いって、もってる人は・・・もってると思うけどな・・・
キノシタ   ・・・やっぱ、わかんねーな・・もうやめよう、この話。くだらねーよ
(2人、苦笑)
サタケ      じゃあー、僕、そろそろ帰るよ
キノシタ  おう、途中まで一緒に行く

 二人、出かける。

{誰もいなくなったところで、音つなぐ}
 
 
 
 

 しばらくしてから、タカハシ、スギモト、ミヤケが入って来る。

タカハシ  こんばんわー、あれ?いないみたい

 タカハシ、スギモト、中に入る。

ミヤケ     ちょっと、勝手に入っていいの?
タカハシ  いいのいいの、気にしないで
ミヤケ  (本当に入っていいの?って感じで)じゃあ、おじゃましまーす

 ミヤケも中に入る。

スギモト  つけっぱなしじゃん
タカハシ  コンビニでも行ってんじゃない     
スギモト  コンビニねー。あっ、そうそう、ミキって、最近キノシタ君とどうなってんの?
タカハシ  さあ  
スギモト (笑)
ミヤケ   さあって
タカハシ  あの人って、人をさめた見方するから
ミヤケ   でもそのへん、はっきりさせた方がいいんじゃない?
タカハシ  いいよ、別に、今のままで
ミヤケ     今のままねー、浮気とかするんでしょ?
タカハシ  しょうがないんじゃない
ミヤケ   それでいいの?
スギモト  いいじゃんいいじゃん、こっちも好きなこと出来るんだし
ミヤケ  (スギモトに)ちょっとー
タカハシ  でも、そういう事聞いたら、「彼女ってどっから彼女なんだよ」って言うの
ミヤケ   何それ?
スギモト  でも、それは結構言えてるよねー
ミヤケ   何が言えてるのよ?

スギモト  言えてるじゃん、じゃあユミはどっからが彼女と思ってんの?
ミヤケ   それは・・・お互いが惹かれあって・・・で、認めあって・・・それで結ばれるのよ
スギモト (ちゃかして)ドラマの見すぎじゃない?
ミヤケ   じゃあ、トシコはどう思ってんのよ
スギモト  そんな事私にわかるわけないじゃん、私は、自分がいいと思った人と一緒にいるだけよ
ミヤケ   それがナカジマ君?
スギモト (うなずく)あの人はいいよ、一緒にいると樂だしね。でも最近ちょっと飽きてきた、バカだから
(笑)
ミヤケ   ナカジマ君も浮気する人だよね
スギモト (うなずく)
ミヤケ   何でそうなのかな、やっぱり男は誠実な人よ。
        キノシタ君とかナカジマ君はそういうとこが足りないのよね
スギモト  ユミには関係ないじゃん
ミヤケ   それはそうだけど・・・どうして男って、あんなにだらしないのかなー?
スギモト  そんなもんでしょ
ミヤケ   かっこばっかりつけてさ
スギモト  そんなもんだって、ユミは男にいろいろ求めすぎてんのよ
ミヤケ    そうかなー

スギモト (タカハシに)そうそうミキ、この前、キノシタ君と個展行ってたでしょ、あの時に一緒にいた人って誰?
タカハシ  あの人の高校ん時の後輩で、サタケって人
スギモト  あの人いい感じじゃない?
タカハシ (少し考えて)んー、いい人だよ
ミヤケ   ふーん
タカハシ  すごく優しいし
ミヤケ   そうなんだ
タカハシ  最近あの人がすっごい気になるの
スギモト  マジ?キノシタ君よりも?
タカハシ  比較は出来ないけど、どっちもいいとこあるしね
スギモト (おもしろがって)やちゃえやちゃえ
ミヤケ     ちょっとー。でも・・・サタケ君だっけ?
タカハシ (うなずく)
ミヤケ   キノシタ君よりは、かなりまじめそうだよね
タカハシ (うなずく)
スギモト  まじめな人?私苦手ー
ミヤケ   いいじゃない、まじめな人って
スギモト  そお?疲れそうじゃん
タカハシ  私もあんな感じの人で気になるのって初めて
スギモト  めずらしいよね、ミキってだいたいキノシタ君みたいな人好きになんのに
ミヤケ   どういうとこに惹かれたの?
タカハシ    サタケ君って、私にいろんな事聞いてくるし、私が話すことも、すごく熱心に聞いてくれるの
スギモト  うわっ、めんどくさそー
ミヤケ      キノシタ君はそういうとこなさそうね、冷たそうだし
スギモト  でもミキは、キノシタ君の、そういうとこ、気にいってたじゃん
タカハシ  そうなんだけど、キノシタ君みたいな人とずっと一緒にいると、逆に、サタケ君みたいな人もいいなーって
スギモト  そうかー、じゃあ決まりね、サタケ君に乗り換え
ミヤケ   私もその方がいいと思う
スギモト  えっ?ユミがそんな事言うって、めずらしいじゃん
ミヤケ   私はミキの事を思って言ってんのよ、トシコみたいにおもしろがってんじゃないの
スギモト  はいはい

 スギモトの携帯が鳴る。

スギモト (携帯を取る)はい、もしもし。 サユリ?  今どこ?わかった。じゃあ今からそっち向かうね    はーい
           (携帯を切る)サユリ、仕事終わったって、行こ
タカハシ (うなずく)
スギモト (タカハシに)もう、ここには来ることはないかもね
タカハシ  ナカジマ君にはこの事言わないでよ
スギモト  はーい

 3人、帰る。

{3人帰るのに合わせて、照明フエイドアウト}
 
 

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