デリーの空気はきれいになったか?

 

デリーの大気汚染           大気汚染で霞むインド門

 デリーではCNG化がすすんで空気がきれいになったとの「話」があります。数年前と比べて冬でも霧の日が少なくなったとの「感想」もあります。信じたい気持ちは山々ですが、一方で経済指標としての人口、鉱工業生産、自動車保有台数などが増加していることを考えると、一部車両のCNG 化だけで大気汚染問題が解決するとは思えません。

現実に果たしてデリーの空気はきれいになっているのでしょうか?
いくつかのデータがあります。ひとつは公的機関であるCentral Pollution Control Board, Delhiの公表データです。これは日々インターネット上のホームページ(http://envfor.nic.in/cpcb/) 上で更新されています。たとえば、2002年元旦のデータを見ると、呼吸器疾患との関連性が指摘されている浮遊粉塵RSPM (Respirable Suspended Particulate Matter) の値は898μg/m3とインドの基準値(100μg/m3)の9倍近くの値を示しています。

また在インド独大使館医務官がドイツ製の精度の高い機器を用いてRSPM(PM-10) を経時的に測定したデータによれば、交通量の増減と同期してデリー市内でも地域によっては1000〜3500μg/m3まで値が上昇しています。
大気汚染データの科学的統計的評価は簡単ではありませんが、今現在もインド政府が定めた基準値を大幅に超えているのは事実です。
ミネラルウォーターなどで置換可能な水と違って空気は持って歩けません。空気清浄機を設置したり、日々公表されるのデータを参考に外出時間を変更したりするなどの自衛策がせいぜいでしょうか。


top pageに戻る