デング熱シーズン到来!備えは万全ですか?
.デリーのデング熱流行シーズンは9月〜12月,まさにこれからです。
.屋内の電気蚊取りの液をチェックしてますか。
.屋外へは長袖・長ズボンを着用し、虫除けスプレー塗布後にでかけましょう。
.冷蔵庫下の霜取り水貯め、竹の生垣、古タイヤ、捨てられたペットボトルにボウフラが発生
デングと天狗の違いにまだ迷われている貴女へ
デング熱は天狗熱ではありません。なんだか赤くなりそうだし、怖そうだからと、最初の「デ」を「テ」と発音してしまいそうな貴女、まだインド生活には慣れていませんね。「デング熱に罹ってインドでは一人前」と鼻高々になる必要はありませんが、流行シーズン前に「テ」を「デ」とはっきり言えるようにしてください。
デング熱は1956年にフィリピンで報告されて以来、現在は東南アジア、南アジア、中南米,アフリカをはじめ冬の平均気温が10℃以上の地域に広がっている病気です。tigar
mosquitoとも呼ばれるネッタイシマカ(Aedes
aegypti)が病原体のデングウイルス(arbovirusの一種)を媒介します。(一部ヒトスジシマカも関与します)
このウイルスを増幅する動物は実はわれわれヒトなのです。(インフルエンザでは豚と鳥ですね。)つまり、デング熱に罹ったヒトを刺した蚊がウイルスに感染し、蚊ーヒトー蚊ーヒトと感染を広げていく形態をとります。地域内、家族内感染が多いのはこのためです。
ネッタイシマカは屋外だけでなく、住居内に生息します。吸血活動はマラリアを媒介するハマダラカとは異なり、太陽が出ている時が主で、その意味では蚊帳は昼寝好き以外にはあまり効果がありません。むしろ、液体電気蚊取りをこのシーズン一日中ONとしておくのが得策です。
デリー市内では1996年10,252名の患者が発生し、432名がこの病気で死亡しました。患者発生数はその後1997年336名(死亡1名)、1998年316名(死亡1名)、1999
年184名(死亡0名)、2000年177名(死亡0 名)と減少傾向にあります。Municipal
Corporation of Delhiの公衆衛生担当官はボウフラの駆除策が効を奏しているとしていますが、、、、、。
一方、2001年の統計は東南アジア諸国ではデング熱患者の発生数が例年を上回っています。インドでも9月以降が本当の流行シーズン。これから十分な注意が必要です。(デリー着陸前の飛行機内の殺虫剤スプレー散布も無意味ではありません。)
ネッタイシマカを図案にしたガボンの切手 (1983)
ガボンではこの蚊はデング熱だけではなく黄熱病も媒介しています。
さて、デング熱の治療は対象療法だけです、またワクチンもまだ開発中。つまり現時点では「蚊に刺されないこと」が最も重要になります。
デング熱の症状:蚊に刺されて約1週間(5〜8日)後、頭痛、目の奥の痛み、筋肉痛(特に背中)、関節痛、倦怠感と共に突然の発熱があります。症状が出てから3〜4日後に赤い斑状の皮疹が見られることもあります。大抵の人はこのまま1週間以内に治癒しますが、倦怠感はかなり長く残ります。3〜5歳の子供で特に再感染の場合にデング出血熱という重症型になることがあります。デングウイルスには1〜4型までありますが、異なる型のウイルスに再感染した場合にこのデング出血熱になるリスクが高くなると言われています。
治療は対象療法につきます。補液や血小板成分輸血が必要な場合もありますので、蚊に刺された後の発熱は単なる風邪と決め付けずに最寄の医療機関に相談しましょう。