−即応予備自衛官制度の概要−
防衛大綱では、陸上自衛隊の新たな体制として、一部の部隊については即応予備自衛官を主体として編成することとしています。この即応予備自衛官は、従来の予備自衛官と同じように普段はそれぞれの職業に就きつつ、必要とされる練度を確保するため訓練に従事し、いざという場合には招集されて自衛官となります。平成9年度においては、第4師団(福岡)の改編に合わせて導入する予定です。
★即応予備自衛官の活動
従来の予備自衛官は、自衛隊が防衛出動する場合において、後方の警備や後方支援等の任務に当たるのに対し、即応予備自衛官は、常備自衛官とともに第一線部隊の一員として運用されるほか、自衛隊が治安出動、災害派遣、地震防災派遣する場合に、常備自衛官により構成される部隊だけでは対応が不十分な場合などに、部隊として活動することとしています。
★即応予備自衛官の招集
即応予備自衛官は、次の場合に招集されます。
即応予備自衛官は、内閣総理大臣の承認を得て防衛庁長官が防衛招集命令、治安招集命令、災害等招集命令を発したときには、指定の日時に指定の場所に出頭して自衛官となり、あらかじめ指定された部隊において勤務することになります。
即応予備自衛官は、防衛庁長官が訓練招集命令を発したときには、指定の日時に指定の場所に出頭して訓練に従事することになります。
★即応予備自衛官の招集訓練
即応予備自衛官は、年間30日間の訓練(個人としての訓練及び部隊訓練)を行うことになっています。個人としての訓練については、自衛官としての共通課目及び特技に応じる課目を2日程度の連続訓練を基本とし、部隊訓練については、数日間の連続訓練を基本としてそれぞれ年間数回行う予定です。即応予備自衛官の訓練スケジュールについては、事前に企業及び即応予備自衛官本人に、お知らせすることを考えております。
@精神教育 :自衛官として具備すべき使命感及び徳操のかん養を目的とする教育及び訓練
A野外勤務 :野外における個人及び部隊の各種勤務要領に習熟させることを目的とする訓練をいい、警戒、偵察、行進、宿営等の訓練課目の総称
B基本教練 :個人及び部隊の基本動作並びに号令等の諸制式に習熟させることを目的とする訓練
C特技訓練 :個人の職務を遂行するために必要な知識及び技能に習熟させることを目的とする訓練
D班の規模 :普通科を例にすると通常、約 10名
E小隊の規模:普通科を例にすると通常、約 30名
F中隊の規模:普通科を例にすると通常、約180名
★即応予備自衛官の人事制度
即応予備自衛官の身分は、非常勤の自衛隊員(非常勤の特別職国家公務員)です。ただし、防衛招集命令、治安招集命令及び災害等招集命令により招集された場合、出頭した日をもって自衛官となります。
なお、訓練招集中の即応予備自衛官については、自衛隊法第108条の規定により労働基準法等は適用除外となっております。
採 用:自衛官であった者の志願に基づき選考し、平成9年度は、約700名を平成10年3月に採用する予定階級等の指定自衛官となった場合の階級(2尉〜1士)及び勤務する部隊を指定昇 進指定されている階級より上位の階級へ昇進可能任用期間等1任期:3年(継続任用も可能)
★即応予備自衛官の処遇
即応予備自衛官として即応予備自衛官手当月額:16,000円訓練招集に応じると訓練招集手当日額:14,200円(2尉)〜10,400円(1士)1任期良好な成績で勤務すると勤続報奨金1任期:120,000円訓練招集期間中に負傷すると災害補償訓練招集期間中公務に起因する傷病、障害又は死亡の場合の災害補償は自衛官と同様に実施されます。
★即応予備自衛官雇用企業給付金
先に御紹介しましたとおり本年度から陸上自衛隊に導入される即応予備自衛官は防衛招集命令、治安招集命令又は災害等招集命令を受けて、あらかじめ指定された部隊において自衛官として勤務することが義務づけられており、また、平素は、年間30日間の訓練に従事することとされています。
このような義務を負っている即応予備自衛官は、通常はそれぞれの企業等に勤務すると同時に、非常勤の自衛隊員という身分を有する状態に置かれることになります。こうした状態は、即応予備自衛官個人だけではなく、即応予備自衛官を雇用する企業等にとっても負担となると考えております。
このような負担を負う企業等の御理解と御協力がなければ、即応予備自衛官制度を円滑に実施していくことはできないと考えております。このため、防衛庁としては、即応予備自衛官を雇用することに伴う企業等の負担に対しては、それにできるだけ報いるとともに、即応予備自衛官が安んじて訓練招集などに出頭することができるようにするために、即応予備自衛官雇用企業給付金を支給することとしています。
この給付金は、即応予備自衛官を雇用している企業等が、即応予備自衛官が訓練招集命令や災害等招集命令に応ずることができるような休暇制度等を有している場合に、当該企業等に対して、即応予備自衛官1人当たり月額42,700円(年額
512,400円)を支給することとしています。