(エントリー前の光景。正面の岬は筆ん崎。) 


 

沖縄・粟国島(あぐにじま)へ潜りに行くことにした。
6月初旬であれば、ギンガメアジの群が見られることが決め手となった。

粟国島は那覇の北西 約60キロの海上に位置し、周囲 約12キロ。面積7.6平方キロ。
人口  913人 (H15.7)の島である。ハブはいない。
特に見るべきものはない(と、思っていた)平凡な離島である。

昔は粟(アワ)が良く採れて島の名称になったようであるが、現在はもちキビが多く栽培され特産品にもなっている。

出発まじかになって台風4号が発生し、沖縄直撃のコースをたどり始めた。
しかし、もうとり返しがつかない。
さあどうなる、という状況下で出発した。

 

6月5日(日)  初日

 羽田から那覇へ。乗り換えて粟国島へ。
フライトは定員9名のセスナ機で乗客は4名だった。低空での有視界飛行である。
空港でダイビングサービスの大城さんが迎えに来る。台風がやってきており、明日は潜るのは難しいかも、とのこと。

粟国港と手前は運ん崎の遊歩道の一部(干潮)

粟国港に面した浜集落

 

 

粟国島を、扇を半分開いて置いた形にたとえてみる。

扇の要の位置にあたるのが展望台のある高地・マハナ岬である。
地形的には、高地のはずれに断層があり、その崖下の高台に大きな集落がある。
そこから徐々に下っていき、扇の先は港を経由して砂浜となり海に入る。

集落は三つある。
高地の下の高台にある西、東と、港の前に広がる浜集落である。
東集落が一番大きく、西・東集落で人口の三分の二を占める。
役場、学校、信号機、駐在などは高台と浜との中間に位置している。

 
 

 

6月6日(月)   二日目   晴れ  大潮


さあどうなるか、と思ったが、朝の1本は出れる。との連絡が入る。
9:30に小さな漁船で出航。 漁船の船長、ガイドの大城さんに私の三人である。


筆ん崎へ向かう。
特異な形状の岬 ”筆ん崎”は白色凝灰岩で出来た白い断崖である。高さは90メートル。
海上から望むと、陽の光を受けてまばゆい。
その岬の先にあるのが有名なダイビング・ポイントである”筆ん崎の瀬”である。

 筆ん崎へ向かう。

 断崖の上に展望台の屋根が見える。

もう少し廻り込むとポイントに到着する。

 

アンカーブイに船を係留し、大城さんと二人でバックロールでエントリーする。場所はニ瀬の浅場である。
透明度が素晴らしい。
水中での海の青さがなんともいえない。

潜降して根の上へ。
大城さんが上を指すのを見ると、ギンガメアジが水面下で群遊している。
水中の岩の根にギンガメが群れている。

目の前を、ギンガメアジの集団が、横目で私を睨みながら通り過ぎて行く。
うねりに逆らい、流されないように足をふんばって、ギンガメをカメラで追う。

 

   
   

 

ギンガメアジの大噴火

 

 今回は、静止画だけでは物足りない。と、デジカメの一台を動画モードで用意しました。
 静止画用と動画用に二つの小さなデジカメをBCの左右のポケットに入れてエントリー。使い分けながら撮影しました。

←左の画像をクリックすると動画(1分39秒)が再生されます。
  動画は YouTube に保存されてます。 
  (デジカメ SANYO-SX560 & DIVハウジング)

昨年の砂辺に次いで、水中動画は2回目です。
前回はひたすら下を撮っていたのですが、今回は群れの中心を
狙わねばなりません。
経験不足で、カメラの上下移動がうまくは行ってませんでした(笑)

しかし、被写体が素晴らしいのでそれを補ってあまりあります。

YouTube へは awagadu名 (←右から読む)でアップしてます。

 

 
 

ギンガメアジは、体長40〜50センチ。ぎょろっとした大きな眼と銀色に輝く体色が特徴である。
 今回の集団は500〜600匹という。
 700〜800匹と云われても頷くし、1000匹と云われてもそうかと思う。
 大きな群を作って浅瀬の周辺を回遊している。

 もっと後の時期になると、ここの深場にある広場でトルネードをつくる。
 これも壮観である。


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 ギンガメアジで興奮した後は、根の周りを廻る。
 根にはアカネハナゴイが舞っており、黄色いカスミチョウチョウウオや紫色のハナゴイが奇麗である。
 イソマグロなどの回遊魚は見当たらなかった。

 

ギンガメが去ったあとに、根の周りを巡りました。

←左の画像をクリックすると動画(1分14秒)が再生。
  動画は YouTube に保存されてます。

 

 

 

もう午後は船は出ない。

久しぶりに筆ん崎のある島の先端の台地 ー マハナ岬に行く。
台地の上は風が激しいため草地になっている。 展望台がありそこからの眺めは絶景である。

台地の先端に近づく。展望台がある。 展望台から先端を望む。 先端の要の場所から海を臨む。
朝に潜った筆ん崎の瀬 (白波が立っている) 地表に張付いた野バラの一種 先端から港方向を望む。

 

 

 マハナ岬から下って戻る。

写真の左手はマハナ岬から続く高地である。
中央には高地の端の断崖の上部が見えている。

その下に西集落がありその先の東集落に続く。

写真ではフクギの森が広がっているように
見えるが、そこが集落である。
(手前の白い建物の奥方向)

 

 

 

 

粟国島には、フクギの屋敷防風林や赤瓦の民家がまだ残っている。

フクギに囲まれた民家は美しい。
映画”ナビィの恋”は粟国島で撮影され、「ナビィの家」は西の集落内で撮られた。

集落内を散策したが、集落の範囲は結構広い。 フクギに囲まれた民家は似ているので散策では迷ってしまう。
ナビィの家になった民家を捜した。それらしき民家を前にして考え込んでいたら、斜め向かいの家に、子供連れの若いお母さんが小型車で戻ってきて確認出来た。今は空家になっていた。
大濱商店のモデルとなった集会場の建物はそのまま残っていた。 この建物は目立つので散策の目印になった。

映画では大濱商店になっていた

石垣の民家

交差点広場

フクギの防風林に囲まれた民家

ナビィの家になった民家。ブーゲンビアリアはもうない。

集落内の通り

 
琉球石灰岩の岩を積みあげ、フクギに囲まれた家々には空屋や空き地も目立った。

月桃があちこちで花開いている。

トゥージという水壷が多い。

 

 

6月7日(火)  三日目  快晴

台風4号が北大東島に接近中。
漁師さんは船を陸に上げてしまった。 ダイビングはもう不可能。   

しょうがない。粟国島を縦横に歩きまわることにした。

テラ(洞寺)へ行く。西集落から台地上へ上がっていく。
高地は良く整備された畑地になっていて、遠くに風力発電のプロペラが勢いよく回っているのが眺められる。
雑穀のもちキビが主力のようでもある。道筋にはソウシジュの群落がおい茂っており通りかかると良い香りが漂っている。

台地上は空が広い。もちキビ畑。 ソウシジュ(相思樹) ソウシジュの黄色い花


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畑地を過ぎて海が見える場所に到着。 ビックリ。


 眼前には目の届く限り一面の原野が広がっており、青い海と水平線に収斂している。雄大な景観である。
 原野は所々にソテツが生い茂っており独特の景観をなしている。
  右手遥かに、粟国の塩を作っている沖縄海塩研究所の建物が原野のなかに見えるだけである。

 

 

ここに”むんじゅる節”の像と休憩所が作られている。
一面の荒れ地の先には青い海が見える。

粟国島は琉球舞踊の”むんじゅる”の発祥の地とは知らなかった。

むんじゅるは、紅型衣装の古典女踊りと異なり、雑踊りといわれる、明治以降に普及した庶民の踊りである。
むんじゅる平笠という麦わらで作った日笠を手に、素足で踊る庶民踊りである。

この踊りで印象に残っているのは、嘉数紀美子さん、島袋安子さん、与那則子さん、奥原めぐみさんらである。

「ナビィの恋」を見直していたら、お祭りの演芸で福之助が女装し加わって踊っていたのが”むんじゅる”だった。

 

 

テラ(洞寺)は鍾乳洞である。生い茂った密林を下っていくと、大きく口を広げた岩窟があるう。クワズイモの大きな葉が茂る脇を階段で入っていく。

台上の草地から降りて行く。 入口 階段から振り返ると..

 

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テラ(洞寺)を出て、むんじゅるの休憩所に戻ってから海岸線に降りる。

渺渺とした大海原と広い空。
海岸線に沿ってソテツが黒々と茂る原野。延々と遥かに続く。
原始的な風景である。

原野のソテツ 海岸線

 

 

 粟国の塩を作っている沖縄海塩研究所に到着。島の裏側の原野のなか、海岸にポツンとある。

 施設を見学する。飛び込みだったが親切に案内してくれた。

大きな二〜三階建程の潮風が吹きぬける独特の構造のコンクリ製の建物がある。
中は一面に竹の小枝がぶら下がっている。
上から海水を流し、小枝を伝わって流落ちる間に潮風により蒸発を促す。落ちた海水を循環させ塩分濃度を高める。
1週間以上かけて、塩分の濃縮したかん水を作る。これが第一段階。

これを使って第二段階で塩が出きあがるが、製法は二つある。
一つはそのまま何も手を加えないで、天日で塩を作る天日塩。
二つめは、釜に入れて薪で煮つめて作る釜炊き塩である。焦げないようにかきまぜながら2日近くかけ、ゆっくりと煮詰める。
ここでは両者で塩を作っている。
案内の方の話では、人の手を入れた昔ながらの製法のほうが、にがり(ミネラル分)が良く残り健康にいい良質の塩が出来るとのこと。

「塩づくりは国の専売」という時代に、健康に良い塩が欲しい、と、民間で取り組んできたここの創業者の苦労は大変だったようである。

専売の塩は、全国均一を目指し、イオン交換法により純度の高い塩化ナトリウムとして作られてきた。その時代に、海水のミネラルをそのまま含んだ塩を苦労して作り、成功したのが粟國の塩 (商標)」である。

塩の専売制度が廃止され、この粟国の塩が成功したため、その後多くの塩工場が出来たそうである。なかには、イメージだけを売り、作り方には首を傾げる商品もあるとのことである。

ここでは、にがり(ミネラル成分)も販売していた。
人の体液(特に羊水)の成分は海水の成分に近いそうだ。ミネラルは生命を維持するのに欠かせない成分で、それを多く含んだ粟国の塩は健康に良いとのことである。

塩は毎日摂取するものなので自然の成分に近い塩を取ることが必要である。

 

 

午後は、扇型の島の終端にあたる長浜のビーチに行く。
真っ白な砂浜が延々と続き、遠浅のリーフが淡い緑色からコバルトブルーまで変化に富む。
晴れわたった空。沖縄の景観である。

モンパノキの木陰で昼寝を楽しむ。
仰向けになって見上げるモンパノキは素敵である。軟らかな葉っぱの色の優しさは、心を和ませる。

 

 

さて、今回粟国島へ行き、変わったな、と嬉しく思ったのは、運ん崎に出来た岩礁遊歩道である。
プチホテル伊佐の前から、小さな入り江の岩礁の上に延々と約1キロに渡り築かれている。
最近完成したそうである。岩礁が尽きて砂浜に至るまでである。途中に休息所も3つ設置されていた。

この遊歩道はとても気に入った。 毎朝 近くの民宿から散歩に通った。
この場所は、 ナビィとサンラーが出発した撮影場所でもある。


この遊歩道を散策していると、岩に根を張っているみずみずしい草木がまじかに見られる。
クサトベラ、アダン、モンパノキ、ソテツ、ガジュマル、その他 亜熱帯の草木の緑が、白っぽい琉球石灰岩と対比してとても美しい。
自然観察路を兼ねているのだろう、珊瑚礁の岩礁庭園というのがふさわしい。

 

       中央のソテツを中心にした隆起石灰岩の岩礁庭園

                   岩礁の上のミズカンピの木、イワダイゲキの草

     左はクサトベラ。 右の隆起石灰岩上の草はイワダイゲキ

     色々な草木が美しい。
     クサトベラ、グンバイヒルガオ、ハマウド、イワダイゲキなど

       テンノウメ(天の梅)。 テンノウバイ(天皇梅)とも称される。
       

         上段はアダン。その下ははクサトベラとミズガンピ。
         下段中央の赤く変色した草はイワダイゲキ。手前はガジュマル

 ここは、私の、粟国でのお薦めである。
 
こういった遊歩道は日本には他に類を見ないものと思われる。

 


 

6月8日(水)  四日目  晴れ

午前中に予定していた1本も当然不可能である。 
空は真っ青で、波も見た目にはさほどには思えない。
台風の影響で”フェリーあぐに”の欠航の可能性を心配したが、フェリーは来航し、午後に粟国を去ることが出来た。

粟国でのダイビングは5本を予定していたが、台風のため結局1本に終わってしまった。
これまで粟国では10本近く潜っているが、今回のたった一本は贅沢な印象に残る一本であった。

潜れなかった分だけ島を歩き廻わり、粟国の変化に富んだ魅力を発見出来た。
海中と筆ん崎の台地以外には、特に見るべきものはないと思っていたが、全くそうではない島であった。


                        デジカメ SANYO-SX560 、SONY サイバーショット U10 & DIVハウジング



平成17年6月17日    宇田川 東

 

 リンク ダイビングハウス 粟国