2008年3月17日(月)〜18日(火)


 

愛媛県愛南町(西海地区) 中泊   2008年3月17日(月)〜18日(火)



 高知市内の居酒屋で ”長太郎貝” という貝を食べました。 

 帆立貝を小さくしたような形状で色が赤くとても綺麗な貝でした。
 身は小ぶりの貝柱でした。
 

 
  気になって調べたら
、ヒオウギ貝 (檜扇貝、緋扇貝)という名称で、高知県と共に愛媛県の南部で多く養殖されてました。
 そこは 真珠貝の養殖が日本一盛んで、真ガキの養殖も行われてました。
 

 そして...  地場の貝を食べに行く機会がやって来ました。

 場所は、愛媛県の最南端という名を冠している愛南町です。( 旧 内海村、御荘町、西海町)

 高知県の宿毛に隣接し、足摺宇和海国立公園の一部です。

 このあたりは、山地が海に没したリアス式海岸で、 広葉樹林の
 シイ、カシ、タブノキ、ウバメガシ、ツバキなどの樹木
 に覆われています。

 多数の島々に恵まれ、変化に富んだ入り江を有する景観地です。

 

 

愛南町北端の由良半島から、内海(うちうみ)を囲んだ高茂岬のある半島・西海(にしうみ)地区までの海岸線は、真珠貝の養殖の盛んな
ところで、その副産物としてヒオウギ貝も養殖されています。

56号の海岸線を走っていると、ヒオウギ貝と書いた販売店もありました。

御荘(みしょう)から、入り組んだ岬の鼻を幾つも曲がりながら、予約した宿がある中泊に行きました。
ヒオウギガイだけでなく、地元で獲れる様々な貝・エビなども出してくれる民宿です。

 

 

 中泊はとても小さな漁村です。

 
 

 

民宿は浜通りから家々の間の狭い小道を入った先にありました。

 

  奥に「民宿 大下」の看板が見えます。   玄関脇に水槽があり、クエ  タカアシガニ が泳いでます。

 

この民宿・大下は、クエ鍋 と 貝・エビの ホーロク焼き が名物です。
またこの3月頃は、深海から産卵のために タカアシガニ が上がって来て獲れるため、高足ガニ料理 も名物です。
(関東では西伊豆・戸田漁港のタカアシガニが有名ですがこちらでも獲れるようです。)

 

 

 夕食です。
 地元でとれた魚介類がテーブルを飾ります。

今回の夕食です。(二人前)

・最初に食べるのは、活造の舟盛

・次に食べるのは、ホーロク鍋(蒸し焼き)

・最後は、カサゴのから揚げです。

 

 

 

 


 舟盛は活造りで、新鮮そのものです。 地場でなくては味わえない鮮度です。
  船首にはホラ貝とアワビがあります。それらを枕に、丸々したイセエビの刺身が中央に伸びています。、

 船尾には ヒオウギ貝サザエ

 

イセエビの両側の胴体部分には魚の刺身

タイ、イサギの湯引き、モンゴイカ、クエの焼き造り、生ウニ、キハダマグロ、イサギなどが。

 

 

 

 

 船首部分のホラ貝です。フジツボが付着してます。

 ホラ貝の奥に隠れているのは アワビ

   

 ホラ貝が出てきたのには吃驚し、ヤッタと思いました。
 はじめて食べた志摩半島・和具漁港の印象が強く残っていたからです。
 (漁師さんのたまり場の加奈という居酒屋で出されたのですが、あまりに甘く美味く吃驚! 初夏のホラ貝が甘いとのことでした。)

 

 ヒオウギ貝はホタテ貝より味が濃厚で、ホタテ貝より美味でした。 
 身が小さいので、その分 味が凝縮している感じです。
 貝殻が美しいのに味も最高で 食べていて贅沢な気分になります。 

 

 

 

 名物 ホーロク鍋

 

舟盛の隣の皿はホーロク鍋で食する 貝・エビです。
宿の亭主が客の前で蒸し焼きにしてくれます。 水・調味料など一切加えず内部に塩を張った宝楽鍋で蒸します。

左下のヒオウギ貝が鮮やかです。
隣は地元のミショウガキ(御荘がき)
サザエの上の三角錐の貝はタカト
(沖縄の高瀬貝の幼児サイズだが亭主は違う種類とのこと)

車エビの右上はチャンバラ貝
その上はアワビ

左上は足袋エビ(英名はスリッパ・ロブスター)
イセエビに混じって獲れるそうです。

 

 

  宿の大将です。 (若大将も包丁を握ってます) ホーロク鍋は2回に分けて蒸します。これは1回目( タビエビ、アワビは次)

 

蒸しあがった貝とエビ(一人分)

奥から、サザエ、タカト、チャンバラガイ、車エビ
ミショウガキ、ヒオウギ貝 です。

   

 

この後、アワビ と タビエビ が出てきます。

  アワビは、船盛りの刺身より、この蒸し焼きに軍配でした。

 タビエビは食べたことのない人には美味しさが伝えられません。
 宿の亭主は、イセエビより美味しいと説明してくれましたが、
 納得です。

 

 

  (この写真は次の訪問時に撮ったものです)

 

ホーロク鍋のあとは ホゴ(ガシラ)のから揚げです。
ホゴはこのあたりの方言で、ガシラは土佐の方言でカサゴのことです。
大ぶりのカサゴで美味しい身がたっぷりついてました。満足。満足。

 

<今回の料理品目>

エビ: 伊勢えび、車えび、足袋えび の3種類

貝 : ヒオウギ貝、ホラ貝、アワビ、サザエ、カキ、タカト、チャンバラ貝 の7種類

サカナ: ..... たくさん(笑) ..... 

 

 翌朝はサッパリ系の朝食です。

                   イセエビ汁は美味でした。

 

 

  出発前に厨房を覗くと、昼前に来るグループ客用に仕込みが始まってました。  クエ鍋がお目当ての日帰りの団体です。

      色とりどりのヒオウギ貝。紫色は少ないそうです。    クエ鍋 (巨大な尾が目を引く。手前の小皿はキモ)

 

 

 

石垣の里 外泊


ところで、中泊の隣の漁村は 外泊 といいます。海沿いに歩いて数分です。
中泊より更に小さな集落ですが、石垣を組み上げた所に家を造ってあり、石垣の里と呼ばれています。


 以下が、港に掲げてあった案内版の解説です。

 

  愛媛県指定 「文化の里」
  石垣の里 外泊

 愛媛県愛南町西海地区は宇和海に突き出た半島です。
 半島北西部に位置する外泊は、狭い山の斜面にがっしりと石垣に守られた家が建ち並び素朴な風景を魅せてくれます。
 外泊は、隣接する中泊地区の人口が増加した幕末、当時の集落の指導者でもある当主が分家移住を発案し、次男三男を対象に募集したといわれる。
 谷をおさめて川とし、これを基幹に屋敷の造成にとりかかり、全戸が入居したのは明治12年頃だった。
 独特の家並みを形成する周囲に高々と積みめ巡らされた石垣は、外洋からの強風や塩害から、家屋を守るため造られたもので、その景観から「石垣の里」として知られています。

 

   ※外泊は 第3回 美しい日本のむら景観コンテスト (平成6年)で 農林水産大臣賞 (集落部門)を受賞しています。

 

 浜から見た集落全景です。

 よく見ると石垣が廻らされています。

 

 浜からすぐに山の斜面になっています。 眼前の湾は中泊と外泊に包まれてます。写真右手が中泊です。


 集落の中に入って、坂道を見上げながら進むと、石垣が城壁のように迫ってきます。

 

 

 

 

海を見下ろす中腹に、軽食などを出す「だんだん館」があります。
囲炉裏が配されてました。

また、空き地では だんだんひな祭が開かれてました。

 


  この地域は遠く、訪れるのは大変です。
  今回、たまたま用事があったため来ることが出来て幸運でした。

 


2008年3月20日了

  宇田川 東


 

 リ
 ン
 ク
   
 椎名誠がいたく気に入って、「フグと低気圧」(講談社文庫)でとりあげてました。
 愛南漁協  ヒオウギ貝のページ