2008年11月12日


 グリーン・ツーリズムの魅力のひとつに、農山漁村での地元の人達との交流と体験があります

 田植え体験、稲刈り体験といった普遍的なものから、その土地ならではという特産の体験もあります。
 今回紹介するのは、日本中広しといえど、ここしかない、という高知でのカツオのタタキ体験です。


高知県の色々なところで食べたカツオのタタキは、どこも美味しく、さすが本場、といつも感心させられます。
東京の居酒屋で出てくるあの薄いタタキや、スーパーのタタキは、あれは何だったんだ、と思わせるほど、高知県に来て
食べたカツオのタタキは、厚くボリューム感にあふれ、とても美味しいものです。

しかし、高知には、カツオを知り尽くした人達が食べる、その地域独特のタタキがあることを教えてもらいました。
そこではタタキを体験しながら食べられるということで、幸運にもその機会に恵まれました。 
カツオの本場 黒潮町佐賀の 塩タタキ の体験です。


 カツオのタタキづくり体験施設 「黒潮一番館」は、黒潮町佐賀の佐賀漁港にあります。


 土佐佐賀は、カツオの一本釣りで日本一の町です。 

 生食用のカツオのほとんどは佐賀の船が捕っている、と云われる程のカツオの町です。
 (カツオの水揚げ高は焼津港がトップですが、焼津は鰹節などの加工用が中心です。)
 

 

 ← 下の矢印が土佐佐賀の位置です。 黒潮の流れに近い位置がわかります。

 


黒潮一番館 マップコード 466568741*71 高知県幡多郡黒潮町佐賀374−9  TEL:0880−55−3680

  

黒潮一番館の正面。(タタキ定食などの食事コーナー)               建物の裏側。 ここがタタキ造りの体験場。


 カツオの藁焼き体験は人気になり、 修学旅行生などを中心に、多くの学生達に体験教育をしているそうです。

  教えてくれるのは佐賀漁協のおとうさん、おかあさん達 ー 漁師さんとそのオカミさんたちです。

 大漁旗の下の広いスペースでグループが体験の最中です。    われわれは左端でタタキを造ることになりました。

 


 
われわれ東京から参加したメンバーは女性を含む6名です。 
手を良く洗い、エプロンを着て体験を開始。

    これが体験で使うカツオです。 大きくて重たいよ〜   まず、おかあさんが 頭と内臓 を取り出します。

 
 われわれは、作業台を囲んで見ています。
 おかあさんは、頭を切り取り、そこから心臓とか肝臓を。
 腹を切り取り、胃袋などを取り出しました。

 カツオの心臓を見るのも初めて、それが頭の裏にあることも初めて知りました。

   ギョ ギョ ギョ

 

 

    ひえ〜〜 
      なんじゃ こりゃ〜

  ビックリした視線!



 おかあさんが、カツオの胃を取り出してそれを裂いたのです。
 そして...

 なんと! なんと!

 カツオの小さな胃袋には、カタクチイワシがいっぱい詰まっていました。
  数匹が皿の中にこぼれ落ちました。

 

 (まるでキングオスカーのオイルサーディンの缶詰を開けた感じ!)




 これらの心臓や肝臓やハランボはあとで焼いて食べました。
 珍味で、美味でした。


  
これで このカツオを見る目つきが完全に変わりました。
  ここのカツオは本当に新鮮だ! と。



  
やる気がアップ。
  食べる気がモリモリ。

 はらんぼ (トロの部位)を切り抜きます。   ひれを切り取ります。  腹から尾びれにかけて切り込みを入れていきます。
 背骨に沿って三枚におろします。   切り分けていきます。 最後におとうさんが血合いを除いてきれいにしてくれます。

 

 そして、広場でワラ焼きです。
 時間が少なかったので、今回は焼いてもらいました。
 普通は体験の人が焼きます。

 ワラの強い火力で さっと焼きます。 

 思っていたよりずっと短い時間でした。

 

 

 


 土佐佐賀の人達は 藁焼き にこだわっています。 
 ここでは、藁焼きでないカツオのタタキは、本物のタタキではない評価みたいです。

 特産の佐賀明神丸のタタキも、「一本釣り藁焼き 鰹たたき」 を謳っています。
 わら焼きにこだわるのは、カツオを美味しく食べてもらいたいとの、カツオを知り尽くした漁師さん達の願いなのでしょう。

  焼き終わったら、すぐに 氷水に入れます。

  そして、すぐにあげます。


  これからタタキの身を切っていくのですが、これが難しい。

 おとうさんが、”力を入れちゃだめ”、と横から注意して、手本を示してくれるのですが、
 結局、私はうまく切り分けられませんでした。
 私の切った身はどこか崩れてました(笑)。

      そうそうそう その調子で!  おとうさん達が何で笑っているのか もう忘れました。とても楽しそうです。

 


  そして 大皿に盛り付けて完成です。

 どうです、 すごく美味しそうでしょう。 

 

 

 みんなからの記念写真の注文に応じて
 代表してのポーズです。

 ごくろうさま。

 

 

 

 そして..

 待ちに待った 試食が始まります。

 獲りたて、焼きたて、造りたて の新鮮なカツオのタタキです。

 一刻も早く味わってみたい、という衝動が身体中からこみ上げて...

 大皿を見る目つきがちがいます。

 後ろの二人の手にしたハシは、今にもタタキに突進しそうです。

 期待と気迫が伝わってきますね(笑)。

 

  テーブルの上の 塩タタキ です。

  薬味のネギ(左)と 塩(上)が置いてあります。

 

 

 塩タタキは、小皿に盛った天然塩を少しつけて食べたり、
 しょうゆにみりんを加えた特性タレにつけて食べました。 

 味は、格別で今まで食べたカツオのタタキのなかで最高でした。


 塩タタキは、新鮮なため、臭みを消すニンニクは使わないし、旨みが消えるとポン酢も使いません。
 傷みやすいカツオを新鮮なうちに捌いてすぐ食べるのは、漁師町ならではの贅沢な食べ方で、都会では味わえないものです。
 地元体験のだいご味です。

 塩タタキには、”地産地消”のことばが良く似合います。



 
ところで、美味しい塩タタキには、
 カツオの美味さを引き出す塩が重要です。 それも佐賀で作った地元の天然塩なのです。

 


 製塩施設  ソルトビ   マップコード:936032581*85  TEL:0880−55−2040

 佐賀漁港から雄大な海岸線を北上します。
 海沿いの崖の上の狭い道を進んでいくと、製塩施設 ソルトビーがあります。 (道路からは写真の施設は見えないので注意。)

 黒潮から天然の塩を作っています。 (運よくおかあさんがいれば) 販売もしています。

  黒潮の海です。  奥がかん水施設。手前が天日干し施設。 上から海水を流し蒸発させ濃縮したかん水をつくります。

 

   このソルトビーの天然塩、にがりが、 佐賀の塩タタキ、豆腐づくりなどに使われています。



< タタキ メモ >

 
漁家民宿「海生丸」  マップコード:466597087*77  TEL:088−55−2329 〒789−1720 高知県幡多郡黒潮町佐賀836

 佐賀の漁師町のなかにある漁家民宿です。 
 狭い町なかで、大きな看板もなく、少しわかりにくいかもしれません。
 もちろん、漁師さんがオーナーです。

 ここに泊ると カツオのタタキづくりを体験させてくれます。 
 海生丸のおかあさんは、今回カツオの捌き方を指導してくれた写真の方です。

 


 注: カツオ漁が休みとなる12月〜2月の間は、タタキ体験は休みです。 タタキ体験には予約が必要です。  

 

< 後 記 >
 塩タタキは、高知市内の料理屋さんや居酒屋さんでも出すところがありますし、食べたこともあります。
それでも、塩タタキは地産地消の食べ物で、カツオが水揚げされた土地で食べるものと思います。

 実は、高知市内の「土佐料理 司本店」(東京での支店名は 祢ぼけ)で、気軽な気持ちで塩タタキを注文したことがあります。
ところが仲居さんは、「塩タタキはうちのメニューにはありません。ご予約いただければご用意いたします。」とのことでした。
塩タタキは獲れたてのカツオがないと出来ないので、漁港ではない「司本店」では予約で特別に準備するようです。
これを聞いて、塩タタキは貴重なんだ!と吃驚しました。 また、このお店は 良心的なお店なんだ、とも感じました。

 この店での私の好物は「ガシラの唐揚」です。 (ガシラはカサゴの土地言葉です)。
小ぶりのカサゴを低温でじっくり時間をかけて揚げたものです。そうして出来上がったカサゴの唐揚げは、頭からバリバリと何匹でも食べられます。それはそれは美味で、ビールや酒の肴に最適です。
手間ひまがかかるのでなかなか出すところはないようです。塩タタキを食べた市内の居酒屋さんもガシラの唐揚はありませんでした。
「司本店」は、土佐料理の看板を背負っている良心的なお店だな、と感じました。

                                       ※このレポートは職場のホームページに掲載したものです。

 


 2009年 1月 2日 (改訂)    宇田川 東