ttl01.gif (4962 バイト)

 

 

玉川上水は、近くの井の頭線・高井戸駅の先を流れている。
久我山〜井の頭公園の玉川上水は散策ルートで、新緑の頃によく歩いている。


 
 多摩川・羽村の堰からはじまる玉川上水を、羽村の水門から歩いてみたいと、以前から思っていた。
 村松昭さんのユニークな俯瞰図「玉川上水散策絵図」なども用意していた。

 そして、昨年末から今月にかけて 玉川上水とその分水を3回に分けて歩き、その様子をツイッターで呟いた。
 この紀行は そのツイートを まとめたものだ。

 

 

kaki-line.gif (1595 バイト)



tama_map_org_mini.jpg (201130 バイト)

 

kaki-line.gif (1595 バイト)

 

2012年12月26日(水)

 

多摩川の「羽村の堰」へ行った。
多摩川をこの一点で堰き止め、余った流れを脇の玉川上水へ流し込む場所だ。

121226hamura01_mini.jpg (36893 バイト) 右手の石垣裏が

玉川上水の取水源。



羽村の堰の上流から水門を見る。

121226hamura021_mini.jpg (27561 バイト) 121226hamura03_mini.jpg (31790 バイト)
 玉川上水への取水源の第1水門(写真左)   玉川上水が始まる。
 

 

121226hamura04_mini.jpg (16184 バイト) 羽村の堰下の河原には、どんど焼きの準備がもう出来ていた。
来年1月14日の成人の日に燃やすそうだ。

 

(堰下橋から河原を眺める)

 



取水口直ぐ下の 第2水門から流れ出る玉川上水。

121226hamura05_mini.jpg (38131 バイト) 121226hamura06_mini.jpg (33817 バイト)
      勢いもおさまり、のどかに流れていく


玉川上水を羽村の堰から約2キロ下った所に、長年気にかけていた多摩の蔵元がある。
この蔵のことは、通っている歯医者の中川先生から教わった。
先生は福生の蔵元の自宅まで往診に通っていた。


そこの大吟醸は美味い”、と。
蔵元は多摩地域の大地主で 戦前は立川駅から福生の自宅まで、他人の土地を通らずに行けたそうだ”、と。
今は減って5千坪程になったが、まだ敷地内には玉川上水から引いた小川が流れている”、と。

これを聞いて、一度訪ねてみたい、と気にかけていた。

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

 

この蔵元は、「清酒 嘉泉」の「田村酒造」。
玉川上水の宮本橋を渡ると、左手に黒塀が続いており、その先に入口がある。
冬のことで蔵見学は出来なかったが、事務所で酒を買った際に頼んで、敷地内を見させてもらった。

 

121226tamura01_mini.jpg (21412 バイト) 121226tamura02_mini.jpg (26772 バイト)
       入口に向かって       入口の門

121226tamura03_mini.jpg (27949 バイト) 121226tamura04_mini.jpg (17669 バイト)
              酒造りの最中で、湯気が上がっていた

 

 

 

121226tamura05_mini.jpg (34189 バイト) 田村家当主の邸宅の玄関。

構えが重厚だ。

 

 

先生が小川といったのは、玉川上水から引いた「田村分水」のことだった。

121226tamura06_mini.jpg (31212 バイト) 121226tamura07_mini.jpg (33153 バイト)
  手前の下から流れ出て      庭の端を流れていく

 

田村分水は酒蔵の裏から外に流れ出していた。

121226tamura08_mini.jpg (28134 バイト) 外の流れ

 


田村酒造の敷地に沿って玉川上水は流れており、そこに通船時代の河岸跡が残っている。
橋があり、田村家の通用門がある。

121226tamura09_mini.jpg (29642 バイト) 121226tamura10_mini.jpg (32558 バイト)
   左:田村酒造  中央:玉川上水     田村家の通用門

 

 

121226tamura11_mini.jpg (27755 バイト) 田村分水の取水口

想像していたのとは違って、
ハンドルで操作する狭い開口部だった。

 

 

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

 

東京の地酒というと 奥多摩の「澤乃井」が有名だが、多摩の「嘉泉」はあまり知られていない。

121226tamura12_mini.jpg (33632 バイト) 121226tamura13_mini.jpg (17671 バイト)
  田村酒造の酒  吟醸辛口の「ぎんから」と、白麹を使用した純米酒

 

村松昭さんの 「玉川上水散策絵図」 は役立った。
田村分水の流れも出ていた。

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

 

その後、調べたら「田村分水」は江戸時代に造られた多くの分水のなかで、唯一の個人分水だった。
あと一つ個人分水がある。明治になって、砂川家の「源五右衛門分水」が認められている。


玉川上水は江戸の上水道として 1653年に掘削された。
その後 玉川上水の分水によって 武蔵野台地の開拓が進んだ。
武蔵野台地開拓の 最初の分水は「野火止用水」で、老中で川越藩主の松平信綱が引いた。

私の住んでいる杉並は 神田川、善福寺川などが流れ、西田、東田などの田んぼもあった。
立川などの武蔵野台地では「まいまいず井戸」しか記憶になく、分水による開拓は知らなかった。
玉川上水の分水は 玉川上水辞典 に詳しい。

 

 


kaki-line.gif (1595 バイト)

 

2013年01月07日(月)

 

源五右衛門分水」を見に行った。
明治になり、名主の砂川家が水車用に認められ 引いた個人分水だ。
村松昭さんの玉川上水散策絵図を持って出かけた。


多摩モノレールの「玉川上水駅」を降り、流れに沿って上流へ歩き始めた。

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)


雑木林の小道を歩いたが、途中、畑を背に小さな直売施設を見つけた。
ほうれん草、ネギ、ニンジン、ショウガ、キャベツ、ブロッコリー、大根が並んでいる。

        直売施設                お札   


驚いたのは直売施設の柱に貼ってあったお札。
「大口真神」のお札で、オイヌさまの絵が描かれている。

『オオカミの護符』 小倉美恵子(新潮社)では、彼女の実家の土蔵に貼られていたこの一枚の護符から、その謎を解く探索が始まる。
武蔵の国のオオカミ信仰で、各地の農民がそれぞれ講をつくって詣でてる。

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

 


途中、「砂川水衛所跡」を経た。
そして、玉川上水の「源五右衛門分水」の取水口に達した。
130107sunagawa01_mini.JPG (35967 バイト) 130107sunagawa02_mini.JPG (34813 バイト)
      砂川水衛所跡   左のハンドルが源五右衛門分水の取水口


源五右衛門分水は、取水口から暗渠で見影橋公園の端を流れ、 砂川家の屋敷に入っていて 外からは見えなかった。
そして、屋敷内で砂川分水に合流している。


見影橋公園は、分水により開拓された この付近では稀有な水田があった跡。

130107sunagawa03_mini.JPG (30504 バイト) 130107sunagawa04_mini.JPG (29090 バイト)
 見影橋公園:その先に見えてるのが砂川家  右手は一面の畑   砂川家の生垣 その先は五日市街道に出る


 

源五右衛門分水が合流する 「砂川分水」は少し上流で取水され、現在は五日市街道に沿って暗渠で流れている。
そして、砂川家の屋敷の手前で開渠となる。


、その後 屋敷内へ入って流れている。 下の右写真

130107sunagawa05_mini.JPG (36374 バイト) 130107sunagawa06_mini.JPG (39270 バイト)
   右手の車が走ってる道路は五日市街道      街道沿いの生垣の内側を流れてる

 


130107sunagawa07_mini.JPG (33368 バイト)  砂川家入口

 砂川家は五日市街道に面しており
 街道から屋敷へと続く入口がある。

           

 

入口を進むと門があり、門の前を砂川分水が流れている。

 

130107sunagawa08_mini.JPG (35559 バイト) 130107sunagawa09_mini.JPG (33731 バイト)
   門の前に分水を渡る橋が二つある     中央が砂川分水(上流方向) 右手:門

 

 

砂川分水は、砂川家を出てしばらく行くと また暗渠になって見えなくなった。

 

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

  

130107sunagawa10_mini.JPG (29291 バイト) 立川のこのあたりは畑が多く伝統野菜「東京うど」の産地だった。

東京うど(独活)は地下ムロで育てるので 山うど とは違って白い。  

 


kaki-line.gif (1595 バイト)

 

2013年01月12日(土)

 

今日は歯医者の中川先生と、田村酒造の酒談義をしてしまった。
先生は、先代の半十郎さんの往診に屋敷に通っていた。

で、”試飲しましたか?” と聞かれて えっ? 
医院のスタッフや友達の歯医者さん達と、蔵見学をして 試飲コーナーで色々 飲んだそうだ。

屋敷は、庭師だけでなく 空師 を呼んで手入れしてる、と。
大ケヤキの手入れは庭師には無理で、専門の職人さんの空師の役割だと。空師という言葉は知らなかった。

 

2013年01月13日(日)

 

今日は松渓中学の新年会。
隣にいたタツオに「嘉泉」の話をしたら、田村家かと思われる福生の料亭の設計をした、とで驚いてしまった。
そこは 玉川上水の分水を敷地内に引いており、日本庭園がある 3000坪の敷地で、本館と離れの設計をした、と。

敷地の広さと、いつも「嘉泉」を土産に貰っていたので 田村家か縁者だろう、と推測した。
田村酒造から玉川上水を1.7キロ下った場所で、取水口から引いた分水は 庭園に入るまでは昔のままの石積で保存した、と。
タツオが3年前のリニューアルを手がけたのは料亭「幸楽園」

 

kaki-line.gif (1595 バイト)

 

2013年03月06日(水)

 

今日は 飲み友達のショウザブロウと一緒に 玉川上水と「熊川分水」 を廻った。

JR拝島駅から歩いて 「清酒 多満自慢」 の 「石川酒造」へ。



小道の両側は蔵元の敷地で、建物の他に神社もあり、巨大なケヤキが多数あった。
敷地は4000坪。

 

130306kumakawa01_mini.JPG (20356 バイト) 130306kumakawa02_mini.JPG (21721 バイト)
       右手の敷地内が見学個所             入り口の反対側

 

 道に沿った白壁の建物の間に 入り口 がある。

 

ここは清酒・多満自慢の蔵だけでなく、地ビールが飲めるレストランや、地酒が飲める和食レストランなどもあった。



130306kumakawa03_mini.JPG (20110 バイト)
敷地内には 熊川分水 が流れている。


 
   玉川上水熊川分水の碑     

 

蔵の敷地内は、隅々まで清掃されており 気持ちよかった。

 

130306kumakawa04_mini.JPG (20031 バイト) 130306kumakawa05_mini.JPG (21263 バイト)
      敷地内 (奥の大ケヤキは夫婦欅)      当主の屋敷入口の屋敷門

 


 敷地の奥には、出来立ての地ビールと旬の料理を味わえる「福生のビール小屋」が
 屋内レストランの他に 屋外のテーブル席ある。


裏門から出てみたが、黒塀と白い蔵づくりの建物が延々と 150mほども続いている。

130306kumakawa06_mini.JPG (20645 バイト) 130306kumakawa07_mini.JPG (20034 バイト)
   裏門から出たところ         入口は先の建物と建物の間



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



敷地内にある売店 「酒世羅」 の試飲コーナーで3点ほど試飲した。
数種類の古酒もあった。




ここで色々と悩んだ末に、多満自慢の 「純米無濾過」 を買い求めた。
大吟醸のようなスッキリ系と違って、熟成した味わいが楽しめる複雑系で、私の好みだ。
「無濾過」を謳った酒は ほとんど無いので これは珍しい。


bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

 

 

次に、熊川分水の流れに沿って、上流にある取水口へと向かった。
のんびりと小道を歩いていると、あちこちで梅が咲いていた。

130306kumakawa08_mini.JPG (23507 バイト) 130306kumakawa09_mini.JPG (19480 バイト)
    熊川神社の脇を流れている

 

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

 

熊川分水の取水口にあるのは 料亭・幸楽園。
3000坪の敷地内には 「浜膳」と「幸楽園」という二つの建物があり、両者は檜造りの渡り廊下で結ばれている。

 

130306kourakuen01_mini.JPG (46241 バイト)  玉川上水

 橋の左手に見えるのが
 熊川分水の取水口

 

 

幸楽園の敷地内には熊川分水が流れている。

 

130306kourakuen02_mini.JPG (32352 バイト) 130306kourakuen03_mini.JPG (36228 バイト)
        浜膳の入口     渡り廊下の下を流れる熊川分水
 

浜膳で、巨大な生簀を囲むカウンターでランチしたが驚いた。
コの字型のカウンターは、目の前の生簀で 釣りが出来るのだ。


ここでは、石川酒造の地ビール「多摩の恵」を頼んだ。
田村酒造の地酒 「嘉泉」もある。
料理は当然ながら平日ランチの「サービス御膳」。


130306kourakuen04_mini.JPG (30636 バイト)
   大きなタモ網が置いてある        東京地ビール 多摩の恵

 

bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)bar_happa.gif (1768 バイト)

最後に、ここまで来たからにはと、近くの牛浜駅から1駅先の福生駅まで電車で移動し、
ショウザブロウを田村酒造まで案内した。
こちらは5000坪程の敷地で、彼も驚いていた。

130306tamura01_mini.JPG (30661 バイト) 130306tamura02_mini.JPG (30346 バイト)
      右手奥に田村家の大ケヤキがある


 

石川酒造と田村酒造は、共に 玉川上水の分水が敷地内に流れ、多摩川の河岸段丘のすぐ上に位置している。
蔵元見学の後に、双方の多摩川を臨んだ。

130306tamura03_mini.JPG (35836 バイト)  
 ←田村酒造の裏手にあたる多摩川。 

 

 



 

石川酒造の石川家は、江戸初期から熊川村の名主で、多摩川の鮎を将軍家に献上する御用(御鮎世話役)を勤めていた。

屋敷下の多摩川で鮎を獲る様子を描いた絵が、石川酒造の資料館にあった。
ここの酒は大好きな鮎に合いそうだ(笑)



今回も村松昭さんの 「玉川上水散策絵図」 は役立った。

今日の多摩の蔵元めぐり図: 拝島駅〜石川酒造〜幸楽園〜牛浜駅=福生駅〜田村酒造〜福生駅

 



backtotop.gif (3095 バイト)  013月16 宇田川 東(@awagadu)   追加修正: 2014年4月21日

 

 

リンク 田村酒造場 清酒・嘉泉
石川酒造 清酒・多満自慢、 東京地ビール・多摩の恵
料亭 幸楽園 いけすレストラ・ 浜膳 料亭・幸楽園
アトリエ77 玉川上水散策絵図など 村松昭さんの俯瞰絵図
玉川上水事典 玉川上水とその分水など