2009年01月14日


アホロートル(動物)

 アホロートルという生き物をご存知だろうか。サンショウウオの一種で、両生類に分類されているからカエルやイモリの仲間である。サンショウウオは英語でサラマンダーというのでメキシコ原産のこの生き物、英名ではアホロートルなのに和名ではメキシコサラマンダーという口から火でも吹きそうな名前を与えられている。現地アステカの神話では、太陽神の生け贄にされそうになったので水の中に逃げ込んだのだということだ。
 このアホロートル、一見すると大きさ20から30cmほどのピンクじみた色白のサンショウウオといった姿をして、首のまわりに大きなエラがひらひらとついている。知っている人は知っているがこのエラは両生類の子供、つまりオタマジャクシが持っているものでアホロートルは大人になっても姿を変えずに水の中で暮らし続ける両生類なのだ。

 日本では1980年代にこの生き物が大々的に売り出されたこともあって、そのときのイメージが強いのだが実際にはいくつか知られていない、あるいは誤解されている特徴がある。例えばピンクじみた色白の姿はアホロートルのアルビノ種にあたり、黒とか黄色のアホロートルだってちゃんと存在する。エラのある姿で知られているが、育ちかたによってはカエルのようにエラがなくなって陸地に上がるアホロートルもいる。
 類縁のオオサンショウウオがハンザキの別名で知られるように、半分に裂いてもまだ生きているという強い再生能力をこのアホロートルも持っていて、頭を削られて元にもどったという例もあるそうだ。他にもカエルに似て頭が悪い生き物なので、目の前で動くものはとりあえずなんでも食べてしまうという習性を持っている。オタマジャクシをいっぱい飼っているといつの間にか数が減っているというアレだ。現地のメキシコでは食用に乱獲されて今では絶滅危惧種として保護されているそうだが、この生き物を乱獲するほど食べたというのはさすがメキシコ人らしい豪快な話だと思う。

 ところで子供心に不思議で仕方がなかったのだが、アホロートルが日本で売り出されたときはこの名前ではなく「ウーパールーパー」という奇態な名前で紹介されていた。なぜアホロートルではいけないのだろうかと、当時はけっこう真剣に悩んだものだ。
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