2011年11月13日


テントウムシ(動物)

 日本にも数えきれないほど生息している数多の昆虫たちの中で、テントウムシは比較的親しみやすい存在として扱われているひとつと言っていいだろう。英名でレディバグやレディビートルと呼ばれている通り、小柄で鮮やかな色をした甲虫でいわゆるテントウムシ柄のアクセサリーやデザインを目にする機会も少なくない。たいていは赤字に黒の水玉模様、中には黄色地に黒や白の模様が入っていたり、黒地に赤の水玉がついた種類も存在する。一般的に知られているのはナナホシテントウと呼ばれている、赤字に七つの水玉がある種類だ。

 刺激するとカメムシのように異臭のする汁を出すが、カメムシほどすぐに分泌はしないし臭いもそこまで致命的なものではない。高いところに上ろうとする習性があって、てっぺんに来ると飛んでいくのでたとえば指先に乗せて刺激を与えず捕まえるのも逃がすのもかんたんにできる。種類にもよるがアブラムシやハダニを食べる益虫として扱われているものが多く、無農薬栽培をしている畑にテントウムシを放つこともある。葉の汁を吸うアブラムシや花の色が悪くなるハダニを食べてくれる、生きたカダンという訳だ。
 例外的にニジュウヤホシテントウ、その名もずばり二十八個の水玉がある種類がいて農作物の葉をばりばり食べる害虫として嫌われているのだが、彼らはふつう知られているテントウムシとは違って羽根にツヤがなく模様もぼやけていて如何にもみっともない外見をしている。もちろん彼らにとっては大きなお世話だが、立派なテントウムシであるにも関わらずテントウムシダマシと呼ばれるほどどこかニセモノくさい。個人的にはあの小さな身体で、たくさんある模様が個体ごとにきっちり二十八個揃っている点に感心しなくもない。

 あくまで人間にとって都合のよい条件とはいえこれならテントウムシが親しまれているのも、少なくとも忌み嫌われていないのも納得できようものだがではこの親しみのあるテントウムシ、中でもふつうに知られているであろうナナホシテントウについてどの程度のことが知られているのだろうか。先に書いたとおり異臭のする汁を分泌するとか指先に上らせると飛んでいくとか、このあたりはテントウムシを捕まえたことがある子供ならきちんと観察しておいてほしいところだし、親と同じようにアブラムシを食べる、ちょっと恐ろしげな外見をした幼虫も忘れて欲しくない。
 そこで質問。テントウムシの絵を描いて、七つの黒い水玉の位置を正確に描くことがはたしてできるだろうか。巷で時折見かける、いわゆるテントウムシ柄のアクセサリーやデザインがほぼ例外なくでたらめな位置に模様を描かれている様子を見るに、さて気の毒なのはニジュウヤホシとナナホシのいずれであろうかと考えてしまうこともなくはない。

 こんなものはテントウムシに親しみを抱いている人であれば、知っていて当然だからわざわざ正解は書かないので念のため。
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