2013年02月23日


恐竜(動物)

 スヴェン・ヘディンがさまよえる湖を探していた時代に比べれば、中国における学術調査への扉もずいぶん開かれているようで当の中国人自身に精力的な研究者が現れていることもあって貴重や遺跡や遺物が少しずつ日の目を見るようになっていると思いたい。そうした中でも明らかに恩恵を受けているのが恐竜化石の発掘研究で、なにしろ荒野が存在しなければ化石というものはなかなか発掘しにくいのだがアメリカやオーストラリアでなければ荒野といえば中国だろう。
 そんなわけで恐竜研究は近年わずか10年ほどの間に飛躍的な躍進を遂げていて、それが中国調査の賜物であることは疑う余地がない。中国での発見が北米や欧州その他の研究を推進する材料にもなって、それこそ今の大人が子供であった当時の図鑑をひろげてみれば1億年ほど昔に地上を闊歩していた生き物たちの世界が大きく姿を変えていることに驚かされるのではないだろうか。

 ひとむかし前の恐竜たちは怪獣映画のぬいぐるみよろしく二本の足と長い尾で立っていた。今ではダチョウのように二本の足だけでバランスを取っていて、もちろんダチョウのように速く走ることができる。ダコタで発見されたミイラ化石のように鱗に覆われた皮膚をもつものもいれば、中国では羽毛をもつ化石も多く見つかっていて、いわゆる始祖鳥のように翼があるから羽毛があるのではなく羽毛をもつ恐竜の中に翼をもつものが存在していたことも分かっている。
 つまり羽毛というのはもともと空を飛ぶためではなく、保温かディスプレイのために使われていたことが想像できるが保温用であればそれは彼らが恒温動物だった可能性につながる。魚やトカゲのような変温動物であれば高い体温を維持する必要がないからだ。そして恒温動物であれば親がタマゴを守ると同時に体温であたためることもできる。発見されている恐竜の巣の中には地熱で孵化させたとは思いづらい皿状のものが見つかっている。

 羽毛があって二本の足で走りまわる恒温動物でタマゴを産んであたためるとなれば、これはもうクチバシがないだけで飛ばないトリと何が違うんだというしかない。更に化石の断面をスキャニングすることで骨格や呼吸器官の鳥類との類似性も指摘され、恐竜とはトカゲの仲間ではなく原始的なトリの先祖だったというわけだ。
 後に氷河期が訪れても彼らは滅ぶことがなく環境に適応して今にいたるまで生き続けている。未だに地上をはいまわるしか能がない多くの生き物を後目にして、翼を手に入れた彼らはその居住権を空にすらも広げている。1億年の昔に恐竜が地上を支配していたように、今は小鳥たちが世界を支配しているのだから人間はクジラやイルカのような下等な生き物なんか放っておいて、暴力をふるい銃をかざしてでも小鳥たちを守るべきなのである。

 騎士以外の発言は認めない。
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