2008年12月05日


雑文(歴史)

 現代の西欧文化はすべからく古代ローマという礎の上に建てられている。今から二千年ほど前に栄えた、この莫迦げたほどに偉大な文明はそれが現代の人類とさして変わることがない、偉人でもなんでもない人々によって作られたからこそまさに偉大であったろう。ローマ人は天才でもなければ神の恩寵も受けず、聖人君子でもない人々だった。

 想像ができるだろうか?電気も蒸気機関もない、コンピュータもない時代に彼らはエレベータを備え付けたドーム型スタジアムを作り、酷暑のアフリカでは冷凍庫が、厳寒のヨーロッパでは床下暖房がある家に暮らしていた。町は上下水道を完備して郵便局も銀行もあり、旅に出れば舗装された街道沿いにあるサービスエリアで休むことができる。港に水揚げされた荷は市場へと運ばれて、日々の労働に汗を流した人々は公衆浴場やグラウンドで汗を流してから家路につく。イタリアを中心としてヨーロッパから北アフリカ、中近東に至る広大な地域に暮らすあらゆる民族がローマ人として扱われて、奴隷の家に生まれながらまじめに働いて皇帝になった者さえいた。

 多くの民族が集まって作られた、そんなローマは人々が持ち寄った技や知識を互いに活かすことを考えた。芸術や文化、建築や法律から商売に至るまで彼らはギリシア人やエトルリア人といった地中海の人々のみならず、ヨーロッパの白人やアフリカの黒人まで肌の色も宗教も関係なく良いものを取り入れることで発展したのだ。広大な地域と多種多様な民族を基にする、古代ローマは現代の西欧文化の祖先となっている。彼らの思想や考え方は少なからずローマの影響を受けているが、残念なことに多くの人々はそのことに気がついていない。多国籍軍に人を送れば喜ばれて、金銭を送れば軽蔑される理由が彼らには決して理解できないだろう。

 それは政治でも哲学でも外交でもなんでもない。単なる歴史である。歴史を知ることはその人々を知ることにつながると考えている。
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