2009年01月06日


共和政(歴史)

 ブルータスといえば、お前もかと続く。有名なシェイクスピアの戯曲、ジュリアス・シーザーで独裁者シーザーを息子ブルータスが暗殺する場面だが、このブルータスが憧れた人物が同姓のルキウス・ユニウス・ブルータスであり紀元前509年、驕慢王タルクイニウスを打倒して共和政ローマをつくった人である。

 そのブルータスによって王様が打倒されたローマは共和政を宣言し、これで新しい発展と進歩の時代に突入した、という訳には残念ながらいかなかった。タルクイニウスは確かに独裁者ではあったのだが、商業と拡大政策でローマを発展させた王でもあったからだ。
 王様がいなくなったローマでは質実剛健な農民たちがエトルリアの商人たちを追い出してしまうと、王にかわって登場した一年任期の執政官が政策も建築工事もろくにできなかったので酒場は閉店、労働者は廃業して町には多量のホームレスがあふれる事態を起こしてしまう。いつぞやの知事と都市博を思い出さなくもない、大不況時代の到来だ。

 そんな紀元前の大不況に襲われたローマだが、よりにもよって周辺には追い出された商人たちと同族であるエトルリア人の都市がたくさんあったから大変だ。たちまちローマは同盟諸市に離反されてしまうと、中でも声望あるポルセンナという人が率いるキウシ軍に攻められてあっさり陥落、降伏してしまう。
 この悲惨な戦いでローマは奮戦、英雄ムキウスはポルセンナ暗殺の失敗を恥じて自らの手を焼いたというし、ホラティウスはローマの橋を一人で守って敵に抗したというがこんな武勇伝が発明されているのだからよほど一方的な負け戦だったのだろう。かの三国志で劉備が曹操軍を相手に逃げまくった記述に実によく似ている。

 こうしてローマは領土のほとんどを失うとティベリス川沿いの小さな都市国家になりさがってしまった。降伏したローマはキウシほか周辺諸市が参加するラテン連盟に従うことになり、不利な条件での和平条約を結ばされることになる。天地の位置が変わらぬ限り平和は守られねばならぬというのが条約の謳い文句であったが、100年ほど後に共和政ローマは勢力を盛り返すとラテン連盟を主導する立場となって再び周辺諸市を制圧していくのである。

 その理由はいくつかあるが、少なくとも天地の位置は少しも変わっていなかったろう。別に中東に限った話ではなく、和平条約とか停戦合意といったものが現代になっても信用できないのは昔からの伝統のようだ。
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