2009年01月20日


ラテン連盟(歴史)

 ラテン連盟に降伏して、ティベリス川沿いの都市国家に成り下がったローマ。王政時代の繁栄ぶりを思えばたいへんな凋落だったが、気の毒なことに連盟の主体であるエトルリア系の諸都市、彼らは互いに協力というものを知らない閉鎖的な人たちで自分たちさえ平和で豊かなら他のことはあまり気にしなかった。

 ところがローマはそうではない。彼らには建国伝説の起源となる英雄アエネアスや創始者ロムルスが神様の子であって、自分たちはその子孫だという誇りがあった。しかもこの「神々の末裔」はちっとも閉鎖的ではなかったから、移民も受け入れるし新しい神様だって迎え入れる。誰でもかんたんに神々に選ばれた人になれる、それがローマをごく自然に拡大させて気がつけばラテン連盟の中でも強国の立場を取り戻していたのだ。
 そして再び大きくなったローマは自分たちをさんざ莫迦にしてきたエトルリア諸市に戦いを挑む。何しろ彼らと結ばされていた条約は不平等なものだったから、力をつけたローマが唯々諾々としてそんなものに従う理由はないのだ。そんな彼らを率いる一人の人物が現れる。後に第二の建国者と呼ばれることになるマルクス・フリウス・カミルスの登場だ。

 ローマ市民には義務のひとつとして軍団への参加、つまり徴兵制がある。とはいえ連盟諸市との戦いに明け暮れるローマでは、男が何度も戦争に駆り出されては稼ぎ口が減ってしまう。そこでカミルス、それまで無給であった兵士たちに給料を支払うことにしたのだ。神々の末裔としての誇りとローマ市民としての義務感を胸に、しかも給料までもらえるのだからカミルスの軍団は強かった。対する平和的なエトルリア人は戦うのが嫌いだから、よそから兵士を買ってきては戦ってねと言うだけである。これでは勝負にならない。

 自分を守る術を持たないのに他人のことは省みず、不平等な条件で敗者を踏みつけて平然としている。好戦的なローマと平和を好むエトルリアの、どちらがより悪質かを比べてもあまり意味はないが、そういえば第一次大戦後に似たようなことをしていた人々はナチスの台頭を止められなかった。
 戦争が正しいとも軍国が良いとも思わない。だが戦争反対を唱えるならば、せめてエトルリアの轍は踏まないようにしてほしいものだ。
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