2008年12月12日


エジソン(偉人)

 本名トーマス・アルバ・エジソン。学校の教科書では発明王として有名な人であるが、彼のもう一つの異名が訴訟王であることはどうも教科書には載っていない。子供の頃から好奇心が旺盛で、どうして物は燃えるのだろうと思った挙句に自分の家を燃やしてみたこともあるというが、そんなエピソードも教科書には載っていないだろうか。

 そんなエジソンの有名な発明品の一つに電気椅子がある。自分が改良した白熱電球を売るために電力会社を設立して直流電流を家庭に送るための送電所をつくったのだが、同時期に天才ニコラ・テスラが発明、設立していた交流電流による送電所を打倒するべくニューヨーク市に売り込んだのがエジソン謹製交流電気椅子という代物だ。これを発明するためにたくさんの動物を感電死させる実験を繰り返した、99%の努力の賜物である。
 さてみなさん、ニコラ・テスラが薦める交流発電なるものは処刑用の危険な技術なのですよというエジソンのネガティブキャンペーンは残念ながらその後、彼の送電所が起こしたものすごい火事によって頓挫してしまう。自宅の次は町を燃やした、エジソンらしい豪快なエピソードだがこれも教科書には載っていないし、もちろん現代の送電所は交流電流を送っている。たぶん町が燃えるよりは感電するほうがマシということなのだろう。

 ところで発明というものはゼロから生み出されるとは限らない。過去に誰かが生み出した発明品を改良するのも立派な発明であって、エジソンは特にそれが上手かった。エジソンの発明品、ではなくエジソンも関わった発明品となればこれはもう膨大な量にのぼる。より現実的で人に役立つものを発明するのがエジソン発明の真骨頂なのだ。

「一日三食パンを食べよう」

 と呼びかけて電力消費量の高いトースターを発明し、電力会社の売上を伸ばそうとしたのもエジソンである。彼の死後に残されていた大量の記録は今でも調査や分析が進められているが、その中でも商売に使えそうなものはことごとくエジソン自身の手で世に広められているというのがもっぱらの評判だ。自分の発明品や他人の発明品を商売に結びつける才能とそのための飽くなき闘志、エジソンに及ぶ現実的な発明家はたぶん過去にも現在にも存在しない。
 便利な発明品による大量生産大量消費の時代をもたらし、対抗者を打倒するためにネガティブキャンペーンや訴訟も辞さない。エジソンこそまさしくアメリカを代表する、実にアメリカらしい発明王ではないだろうか。

 問題は彼の伝記を見て何を学べばいいのだろうかということだ。
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