2009年01月21日


万有引力(科学)

 リンゴをかじると歯ぐきから血が出たことで有名な、アイザック・ニュートンが提唱した万有引力というものがある。実際にはリンゴのエピソードは後年の創作らしいがそれはそれとして、この逸話もリンゴの話は誰もが知っているが万有引力がどういうものかについては意外に知られていないようだ。

 万有引力、英語ではユニバーサル・グラビテーションで日本語では単に重力と呼ばれることもある。だがかのエピソードに戻って木からリンゴが落ちるさまを見たニュートンが、地球に重力があることを発見したといえばこれは間違いだ。もう少し正しい認識をするのであれば、地球がリンゴを引っ張っているのではなく、リンゴも地球を引っ張っているのだというものだがこれは間違えてはいないが不充分だろうか。
 当時、17世紀頃には地球が丸いことも重力があることも知られていたし、太陽のまわりを地球やその他の惑星がまわっていることも知られていた。そしてニュートンはリンゴが木から落ちる力も、太陽のまわりを地球がまわる力も同じ現象、ユニバーサルな方程式で適用できるグラビテーションがその正体であると説いたのだ。質量を持つ物体やエネルギーすべてに働く力、万有に働く引力である。

 このときに提唱された万有引力の法則では「物体の間には質量に比例して、距離の自乗に反比例する引力が働く」となっている。ざっくりいえば重い物同士は強く引き合い、しかも近くにあればもっと強く引き合うのだ。ちなみに重い物は引っ張る力が強くても、引っ張られる物も重いからそのスピードはたいてい変わらない。つまり地球の上で重い物と軽い物を落としても落ちるスピードは変わらない。この発見の何が大きかったかといえば、ニュートン力学とまで呼ばれるようになった、こうした現象が計算式を使って表現できるようになったことだ。先ほどの重い物も軽い物も落ちるスピードは同じというのも計算で証明できる。
 そんなニュートン力学だが今では古典力学と呼ばれている。地球とリンゴが引っ張り合う力、当たり前にも思えるそれが決してあらゆる現象に適用できる訳ではないことが証明されてしまったからだ。例えば重さのない光に引力が働いているように見える現象を、ニュートン力学では説明できなかった。

 これらを説明するために、人類はアルバート・アインシュタインの登場を待つことになる。
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