2009年01月22日


相対性理論(科学)

 リンゴの木をかじって歯ぐきをむき出したことで有名な、アイザック・ニュートンが提唱した万有引力とは質量を持つ物体やエネルギーの間には、重いほど強くて離れているほど弱い引力が働くというものであった。ところがこの法則、重さがない筈の「光」が太陽の近くで曲がって見えることが説明できなかったのだ。そしてこうした現象を含めてかのアルバート・アインシュタインが提唱したのが一般相対性理論である。

 ところでこの相対性理論についてもあまり知られていない。なるべくかんたんに説明を試みるとアインシュタインはまず「物理法則はすべて同じように成立する(相対性原理)」と「光の速さは一定で変わらない(光速度不変原理)」という二つの柱を持つ特殊相対性理論を考え出した。こうした光に関する現象はそれまでのニュートン力学では説明できなかったのだが、更にこれらを包括して完成されたのが一般相対性理論だ。アインシュタインはここで時空と重力場の存在を唱えている。
 何もない場所に果てしなく浮かんでいる一枚の布を想像してもらいたい。これが時空だ。ここに地球を置いてみるとその重さで布は少しだけ沈む、この時空の歪みが重力なのだ。そして地球とリンゴを置けばそれぞれの歪みによって両者は転がるように引き合うことになる。重い太陽の近くを通る光は、歪んだ時空にそって曲げられてしまう。歪みは波の性質を持っていて、光の速さで伝わっていく。

 この一般相対性理論によって多くの仮説が生み出された。ブラックホールの存在や大質量の近くでは時間がゆっくり進むこともその一つだ。もしも宇宙船がブラックホールの近くで時を過ごしてから戻ってくると、宇宙船の時間はゆっくり進むのに周囲の時間は先に行ってしまうから未来に行くことができるようになる。或いは特殊相対性理論であれば、光に近いスピードで動く宇宙船は大質量を発生させて未来に行くことができるのだ。残念なことに人類はまだ宇宙船を光の速さで飛ばす技術を持っていないが、光に近い速さで飛ばした粒子を使ってこうした実験は行われている。

 ライト兄弟が初めて空を飛んだのが1903年、一般相対性理論が発表されたのは1916年で人類が初めて月面に降り立ったのが1969年である。そして2008年に稼働が始まったLHCではごく小さなブラックホールができるのではないかと、人類は期待している。
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