2009年01月26日


未来に行く方法(科学)

 かのアルバート・アインシュタインが登場するまで、時間というものはひとつだけしか存在しないと考えられていた。一本の時間というトンネルの中を過去現在未来に向かって空間が流れている、そんな感覚だ。ところが一般相対性理論では時間と空間は別のものではなく、時空と呼ばれる同じ概念に類するものだと唱えている。平面世界に高さがあるのが三次元の空間だが、この空間に過去や現在や未来といった時間が存在するのが時空という訳だ。
 いったい何が違うのだろうか?例えば果てしなく広がる平面に高さがあるとすればそれは場所によって高さが違う。同じように果てしなく広がる空間に時間があるとすれば、それは場所によって過去現在未来がずれることがある。つまりすべての存在には個別の時間が存在するのだ。中学生の数学の授業だったら空間の座標を(x,y,z)と書いたが時空の座標は(x,y,z,ct)と書けば自分のいる時間と場所が分かる。自分の時間が周囲の時間とずれることがありうる。

 ところで特殊相対性理論ではすごいスピード、光速に近いスピードで移動するほど物体の質量は双曲線軌道を描いて上昇する。そして高質量は時空を歪めるから、移動している自分の時間も曲げられてしまう。曲がった時間はまっすぐな時間よりも長くなってしまうから、結果として他に比べて時間が遅れて彼は未来に行くことができるのだ。
 これを実証するべく2004年にNASAがとても精巧な計測器を積んだ人工衛星を打ち上げて地球のまわりをぐるぐる回してみたところ、ほんの少しだけ時間が遅れていることを発見した。光の速さに近づけば質量はぐんと増すから、もっと効果が出るだろう。

 高質量が時空を歪めるといえばブラックホールである。そこに近づけば光だって呑み込まれてしまうくらいに時空が歪んでいる、ブラックホールの中心近くで時を過ごして帰ってくればまわりの時間は先に進んでいて未来に行くことができるだろう。とはいえブラックホールが実在することはすでに観測されているとはいえ、そこまで行ってしかも帰ってくるとなればこれは骨である。いまだ有人飛行で火星にたどりつけていない状況で、人類が未来に旅行をする時代はもうちょっとだけ先になりそうだ。

 だがもしもそんな宇宙船を日本で飛ばすとなれば、ぜひとも船の名前は「URASHIMA」でお願いしたいと思う。
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