2009年03月23日


海面上昇(科学)

 昨今、猫も杓子も地球温暖化をというとそろそろしつこい書き出しだ。温暖化が進むと何が起こるのかという話は色々あって、中には終末思想に毒された楽しい意見もあるのだがわりとよく聞くものとしては海面上昇なんかが挙げられる。温暖化が進むと氷が溶けて海面の水位が上がり、南極の氷が溶けて地球が海に沈むというのだ。それは大げさとしても実際に水に埋没してしまった島だって存在する。

 だが風が吹けば桶屋が毛だらけというように、イマイチこの二つの関係がつながらない。例えば湖や海に浮いている氷は体積が増えて水を押しのけた分が水上に出ているだけで、ようするに水を張ったバケツに氷を浮かべて、氷が溶けても水はあふれない。こんなことは「裸でガンをぶらさげる男」アルキメデスが2000年以上も前に発見していることだ。
 では氷河やツンドラといった陸地の氷が溶けて流れたら海面は上昇するではないかという。これもそのとおりだろうが氷が溶けたら水になるだけではなく、水蒸気にもなるから地面を離れて雲になる。氷が溶けると海面を押し上げるのか、これではどうも疑わしい。

 ところで古代の海岸線と現在の海岸線は同じものではない。というかずいぶん違う。東京のように埋め立てによって海岸線が変わった例もあるが、大きな川の河口周辺はたいてい流れてきた土砂が積もって広くなる。こうした土砂は当然山の上から流れてきたのだが、もしかして山の上から流れてきた土砂が海に沈めば海面の水位が上がらないだろうか?
 当たり前のことだが陸地にある氷は純粋なH2Oの塊ではない。ツンドラは地面にある土が凍っているから永久凍土と呼ばれている。氷ではなくて地面が溶けて流れれば海面は上昇する、つまり海面上昇には水を防ぐための堤防を建設するよりも、地面が流れ出るのを防ぐ護岸工事をしたほうがいい。

 もう一つ、海面の高さというのは実ははっきりした基準はなくて陸地と比べた相対的な水位を出しているに過ぎない。これが汐の干満によって上下するし地域によっても異なるから、局地的に水没する陸地はもしかしたら海面上昇ではなくて単に地盤沈下が原因の例もある。水の都ヴェネツィアは地下水を汲み上げすぎて地面が沈んだ好例で、特に温暖化とは関係ない。
 ようするに地球温暖化は起こっているし海面上昇も見られるが、両者の決定的な関係は分からないというのが本音なのだ。でも困るからなんとかしようよということになって、海面上昇の原因っぽい地球温暖化の対策をしているのが人類の事情というやつである。ところが人類というのは近視眼的なものだから、地球温暖化の対処をしたら海面上昇の対策はなおざりにしてしまう傾向がある。

 そしてヴェネツィアは今も沈み続けている。
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