2009年05月26日
卵にまつわる話(科学)
大西洋を西に越えて新大陸を発見したと自称するコロンブス。誰でも西に行けばできることだと揶揄する人々に向けて腐った卵を投げつけたという、そんなエピソードは聞いたことがない。とはいえニュートンがリンゴをかじって歯ぐきをむき出したという逸話も、やはり聞いたことがないから別に構わないだろう。
ふつう卵といえばニワトリの卵を指している。食卓に上るもっとも身近な卵だけに卵にまつわるエピソードや雑学はけっこう色々あるのだが、カラを割らずに牛乳ビンに卵を入れる方法や、嫌いな政治家に卵を投げる活用法がわりと知られているだろうか。
そんな中で小さな子供にも有名なのが生卵とゆで卵の見分けかた。テーブルに卵を置いてくるくる回してみると、速く回るのがゆで卵でゆっくり回るのが生卵というあれだ。これも間違えてはいないのだが、卵によっては生でも速く回るものがあったりするのでうっかり割ると惨事になりかねない。生卵とゆで卵の二つがあって、どちらがどちらかを当てるだけならこの方法でも充分だが、一つしかない卵が生卵かゆで卵かを当てるには必ずしも適した方法ではないのだ。
ではどうするか、実にかんたんな方法があって卵をくるくると回した後いったん指で止めてから、すぐに指を放せばいい。生卵だったら中身がまだ回っているから指を放すともう一度回りはじめるし、ゆで卵ならそのまま止まってしまう。この方法なら卵の回転速度を計測する必要もなければ他の卵と比べる必要もない。原因を推理して有効な方法を導くこと、これも科学の基本である。
もう一つ、卵にまつわる話でテーブルの上に生卵を立てることができますかというものがある。もちろん割って立てるなんて方法では乱暴な上に卵の中身があふれてしまう。だがこれも答えは簡単で、新鮮な卵だったら卵のカラの表面に小さな突起がぷつぷつとあるから、これを使えばふつうに立てることができるのだ。卵は丸いから立てることができないという、固定観念に囚われずよく観察して実験してみようという科学の基本を教えてくれるエピソードだ。
よくよく観察すれば西インド諸島がインドではないことくらい分かりそうなものである。
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