2009年08月10日


渋滞が起こる理由(科学)

 別に夏休みに限った話ではないが、交通渋滞が帰省時期の風物詩のようになっているのは今更だ。高速道路で何キロメートルの渋滞、といった話を聞けば気の毒に思うし当事者であれば残念にも思うだろう。渋滞があまり快いものでないのは仕方がないが、ではなぜ渋滞が起こるのだろうと考えれば例えば赤信号で車が止まっていれば渋滞が起こる。それは子供にも分かる。
 だがそこで不思議に思った。じゃあなんで信号機がない高速道路で渋滞が起こるのだろうか。料金所やインターチェンジがあるからそこで渋滞が起きても不思議じゃない、だがラジオの渋滞情報でも体感的にも、それだけが原因とはどうも思えないのだ。なにやらいつの間にか混んでいて、料金所やインターチェンジがないのに解消する例も珍しくはない。いったい渋滞の先頭はどこにあるんだろう。

 もちろん渋滞が起こる原因はいくつもある訳だが、ためしにすぐ思いつくところで整理してみよう。交差点で信号待ちをする場合や高速道路の料金所で待つ場合、それからインターチェンジやジャンクションといった場所で車が合流するときに混む場合。あとは当然、事故やその他で駐車してしればそこから渋滞することもあるだろう。二車線ある道路が一車線になれば、通ることができる車の数は半分になってしまう。

 ここまでは子供の頭でも理解できたが、あらためて見るとほとんど車が止まっていることによる渋滞ばかりである。だが車が止まらなくても渋滞は起きる、例えば大勢の人がゆっくり歩いたら混雑しやすくなるが、大勢の車がゆっくり走れば同じことが起こるだろうか。
 例えば大勢の車が高速道路を時速80キロで走っているとする。先頭の車が時速79キロ、78キロ、77キロ・・・と減速して60キロや50キロになれば後ろの車は混雑するだろう。車が止まっている状態というのは時速ゼロの状態だから、ようするに渋滞が起こる原因とは車が止まることではなく車がゆっくり走ることにある訳だ。時速79キロであれば他の車よりも1キロ、時速60キロなら20キロ、車が止まっていれば時速にして80キロ遅いことになる。

 ところで高速道路であれば坂道やカーブ、トンネルに入ったときにスピードが落ちてしまいがちになるという。例えば時速80キロが60キロになれば20キロ減速したことになるが、

 1時間で20キロメートル = 3600秒で20000メートル = 1秒で5.55・・・メートル

だからたった1秒で5メートル、10秒減速したら50メートルくらい後ろの車は待たされてしまう。そしてこの速度は他の車と比べた相対的なものだから、スピードを落とす必要がない場所では減速せず他の車と同じスピードを保ちましょうというのが渋滞解消の一つの方法になるということだ。

 つまり科学的には渋滞が起こる理由はスピードを落とすことである。だからといって「スピードの落としすぎに注意しましょう」といえばスピード違反を助長するようでいまいち使いづらい。結論として、渋滞が起こる理由は渋滞を緩和するための分かりやすい標語が作りにくいことにその原因があるといえるのである。
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