2011年02月23日


モンティ・ホールの問題(科学)

 数学というものは論理的な事実を導き出すことができるが、それが必ずしも人々が納得のできる答えになるとは限らない。その有名な例としてモンティ・ホールの問題というものが知られている。とあるアメリカのテレビ番組で、モンティ・ホールという人が司会を務めていたゲームで参加者が三つある扉の一つを選び、アタリが出たら景品の車がもらえるというものがあった。
 ところがこのゲーム、ちょっと変わった趣向が凝らされていて司会のモンティは車がどこに入っているかを知っている。三つの扉のうちアタリはもちろん一つだけで、参加者はABCの扉からどれか一つを選ぶのだがここでモンティはこう言うのだ。

「キミが選んだ扉はAだね?ちなみにBはハズレなんだけど、選ぶ扉を変えるかい?」

 この番組を見ていたコラムニストの女性がいたのだが、彼女が寄稿していた雑誌で読者からの質問に答えて、参加者は扉を変更すべきである。そうすればアタリが出る確率は二倍になると回答した。これを見てやっぱり女性は数字に弱い、数学に向いていないという意見が大量に寄せられて、一万通近い投書の中には学者や博士号を持つ人もたくさんいたということだが、それによれば確率ではどちらの扉を選んでも変わる筈がなく彼女の回答は間違えているという意見が大勢を占めていた。結局は二つの扉から一つの扉を選ぶのに、アタリかハズレか変わる訳がないではないかというのである。

 それでは検証してみよう。確率を考えるだけであればABCどの扉に車が入っていても結論は変わらないから、とりあえずAの扉がアタリだったと仮定する。そこで参加者がそれぞれの扉を選んだ場合にモンティは何と言うだろうか。

 Aを選ぶと「B(またはC)はハズレなんだけど、選ぶ扉を変えるかい?」
 →変えるとハズレ

 Bを選ぶと「Cはハズレなんだけど、選ぶ扉を変えるかい?」
 →変えるとアタリ

 Cを選ぶと「Bはハズレなんだけど、選ぶ扉を変えるかい?」
 →変えるとアタリ

 お分かりだろうか?つまり扉を変えると三回に二回は車が手に入るのだから、コラムニストの彼女の主張が正しいのである。モンティが教えてくれるハズレの扉が一つあり、残った扉のどちらかを選ぶだけなら確率は二分の一、これは間違いない。だが扉は三つあって、この場合最初に選んだ扉がアタリとなる確率は三分の一だが残る二つの扉がアタリの確率はそれぞれ三分の二と三分のゼロになる。そして「モンティが教えてくれた三分のゼロの扉」を選ぶ人なんていないから、扉を変えないと33%の確率でアタリだが扉を変えれば66%の確率でアタリとなる訳だ。つまりモンティの言葉に惑わされず、彼がハズレと言った扉も選ぶのであれば確率的には三分の一で変わらない。

 件の学者は公式に彼女への謝辞を表明したということである。ちなみにこの問題、少しでもルールが変わるだけでまったく異なる結果になるので注意。
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