2012年06月16日
家賃がもったいないにまつわる不謹慎な話
もう数年前のことになるが資産運用とか転貸とかさまざまな理由をつけてマンション購入が執拗に薦められていた時期がある。賃貸住宅に暮らしていると家賃がもったいないとまで言われたものだが、ではローンを組めば利息がもったいないではないかと言えば大抵の人は首を傾げてしまうらしい。別にむずかしい話ではなく、家を借りれば家賃を払うのは当たり前だが金を借りて利息を払うのはもったいないというだけだ。そもそも金を借りず現金で家を買えば利息を払わずに済むだろう。
と、言えば今度は現金で家を買うなんてできる訳がないだろうと言われてしまうのだがこれも奇妙な話である。ローンには利息があるから現金で買うよりも総支払額が増える道理で、であれば現金で買うことができないならローンで買うこともできない筈ではないか。もちろん購入後は賃貸住まいの家賃を払う必要がなくなるから、理屈でいえば利息や税金等等の合計が家賃に満たないならば支払う金額はこちらの方が少なくなるのも事実だろう。マンションであれば毎月の管理費修繕費が莫迦にならないが一軒家ならそれもない。資産運用や転貸で薦められるのがもっぱらマンションだという事情はこの際目をつぶっておこう。
だが一般的に金利は変動するし築年数が重なると管理費や修繕費は高額になるが家賃は逆に減額されていく傾向があることを思えば、これはもう厳密な計算は不可能ですべては仮定にならざるを得ない。結局は可能な限り頭金で支払い返済期間を短くすることが最も賢いマイホームの購入方法だということになるが、であれば頭金で100%を支払い返済期間をゼロにできる現金払いが最もお得という理屈に戻ることになる。単純化すると家を現金で購入できるならば最も得、ローンの支払いが長期になるほど損になるが、その間は得をする可能性もあれば損をする可能性もあるということだ。世の中には返済計画を考えてくれるファイナンシャルプランナーという、専門的な知識を有する方々もいるからお世話になるのもいいだろう。
とはいえこれを別の視点で単純化してみるとローンを組めば得をするかも損をするかもしれず、ローンを組まないなら得をするかもしれず損はしないということになる。家を現金で購入できるなら最も得で、家を購入できないなら家賃を使っただけ払うが少なくとも損はしない。もちろんこんなものは詭弁であり屁理屈にすぎないのだが、少なくとも35年間も給料をもらい続ける自信がない身としては家賃より利息がもったいないとは思うのである。
と、ここまでだらだらと書いた屁理屈はぜんぶ忘れてくれて構わない。例えば3500万円の家を35年返済にして1年に100万円支払ったと仮定する。最初の1年で残りは3400万円だから利息が2%なら68万円で3%なら102万円払ってねと言われる。利息というのは支払った金額ではなく残額にかかるものだと思うが、住宅ローンが払えませんという声を耳にするたびにところで家賃と利息はどちらがもったいないだろうか。
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