2008年12月11日


スパム(社会)

 迷惑メールやジャンクメールという呼び名で知られるスパムメールの語源になった「spam」。アメリカで売られている「SPAM」という商品が語源になっているというのは有名な話。このスパム、もとはスパイスド・ハムの略でアメリカの多くの食品の例に漏れず軍用食や配給のために作られた、あまり美味しいとはいえない塩味たっぷりの保存肉がもとになっている。

 イギリスの有名なコメディ番組「空飛ぶモンティ・パイソン」内でのスケッチ(日本でいうコントのこと)に、スパムばかりがメニューに出る食堂で給仕も客もスパムスパムと連呼してスパムはもうたくさんだと叫ぶというものがある。これが転じてもう飽き飽きな迷惑メールを指してスパムと称するようになったのだが、なぜこんなスケッチが作られたのだろうかという背景を考えるとこれもなかなか迷惑な話であった。

 国営放送BBC(日本でいうNHK)で放映されていたこの番組。その実態はコメディの表現はどこまで良識を外れることが許されるかという、その一線を更に少しだけ越えることを自らに課した狂人たちによる番組だった。食堂に並べられたメニューはエッグ&スパムやエッグ&スパム&スパムやエッグ&スパム&スパム&スパムというものばかりで、基本的にエッグとスパムはセットになっている。そして筋骨たくましいバイキングが唐突に現れるとスパームスパームと大声で叫び出す。

 日本語ではなにが面白いのかさっぱり分からないこのネタ、英語で聞くとスパムをことさらに叫ぶことでスパームと聞こえるようになっている(意味は辞書を引いてください)。筋骨たくましい男たちが国営放送でスパームスパームと連呼をしても許されるだろうか、ということを実験するためのスケッチだったのだ。

 なかなか迷惑な話であるが、より迷惑な話があるとすればセキュリティという題目に引かれてこんなくだらない話を読むハメになった方々であろう。
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