2014年11月17日


日本バスケットボール協会(社会)

 スラムダンクやダッシュ勝平の影響でバスケットボールを始めたであろう全国のバスケットマンたちには気の毒な話だが、国際バスケットボール連盟FIBAによる日本への制裁がどうやら現実になりそうだ。もともとFIBAから指摘されていた要求は国内の協会であるJBAはきちんと統括すること、男子日本代表チームを強くすること、NBLとbjの2リーグが併存している状態を解消すること、などで今年の十月までになんとかしないと制裁するよというものだった。
 つまり期限はとっくに過ぎているというわけで、決まれば悪くて国際大会への出場禁止、男子も女子もオリンピックなど夢になる。東京五輪を控えてこのていたらくということで、JOCはもちろん文部科学省まで乗り出してくるとお前らは何をやっているんだと詰問したがこの期に及んでJBAは「スポーツに政治が介入することはFIBAが嫌っている」などとのたまっているから今のところ改善する望みは薄いだろう。

 そもそものきっかけはJリーグ開幕に遡る。サッカーに負けじとうちもプロ化すんべと考えた関係者だが、理想はあれど計画も成算もないとあっては如何ともしがたくプロ選手が生まれてプロチームが出来てもなおプロリーグはありませんという状況が十年以上も続いていた。とうとう業を煮やしたチーム側が協会を脱退すると新潟さいたまを中心にしてbjリーグが創設、これが2004年のことである。プロ化を渋る協会からプロリーグが離反したのだから自然な流れかもしれないが、おりしも二年後の2006年に世界選手権が予定されていたからタイミングとしては最悪だ。
 協会は彼らの脱退を認めず、世界選手権が終わったら今の社会人リーグをプロ化するよと回答。だがフタを開けてみればプロアマ混合のセミプロリーグとして2007年にJBLが設立して、記念すべきシーズン開幕直前に浜松が不参加を表明するとbjリーグへの移籍を表明したから混乱ここに極まれりだった。

 基本的にbj側は地域密着を目指すチームの集まりである。中でも新潟アルビレックスはその成功例とされていて、Jリーグのアルビレックス新潟を筆頭にして地域振興の要となっている。バブル崩壊時に多くの企業が撤退して数多のチームが消滅した、そんなことを繰り返されるのはごめんだった。オラが町のチームはオラが支えるというわけだ。
 一方でJBLは企業チームの意見が強いがこちらにももちろん主張がある。例えば社会人チームの選手は社員として会社から給料が出ているが、これがプロになれば契約金を払わないといけなくなる。仮に役員の年棒が一千万円、選手の年棒が一千万円だったら誰が納得するんだという話になるだろう。企業チームだったら社員への福利厚生にもなるし社会貢献にもなるし広告媒体にもなる、偉そうなことをいうなら何万人でも観客を呼んで金を稼いでからにすればいい。

 ようするに日本バスケットボール界は十年かけて分裂してから十年経っても何も解決できていないのだが、この間協会は何をしていたのかといえば先の世界選手権で大赤字を計上すると彼ら自身が内紛を起こしてJOCに処断されるという無能くんぶりを発揮していた。JBLとbjリーグの統合話はその後も続いていて、2010年にはbjの選手が協会に登録することができるようになったが逆にいえばそれまでbjの選手は日本代表になれなかったということである。ナショナルバスケットボールリーグNBLという新リーグの名前も決まったが、セミプロのままでbjから移籍したのも千葉だけだから実態はJBLが名札を替えただけだった。
 こんな状態で若いバスケットマンが集まるはずがない。特に男子は世界選手権まで開催しておきながら人気も実力も下降の一途、東京五輪も参加できないとなれば他の競技に鞍替えする選手も現れるだろう。しかも国内には別の問題もあって年代別の国際大会とインターハイの日程がかぶっているせいで、ユース代表に選ばれると全国大会に出場できなくなってしまう。スラムダンクの最終回で日本代表に選ばれていたルカワは翌年のインターハイに出られないかもしれないのだ。

 もちろんこれらは選手の責任ではないしbjリーグやNBL各チームのせいでもない。各々の事情や立場が違うなんて当たり前のことだから、それを調整するために協会があるのだがFIBAから日本のバスケットボール界は統治能力が欠如しているとまで言われても彼らは何一つ解決できないでいる。FIBAへの回答期限である十月末日を直前にして会長が辞任と称して逃亡、十一月中に後任を決めますとしたがそれすら無理という平昌五輪委員会よりもはるかにレベルの低いダンスを繰り返している。この間FIBAは無視され続けているのだから、これで甘い処分で済むよねなんて考えるほうがどうかしているだろう。

 あきらめたら?そこで試合終了だよ?
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