第八回
☆ Act0.ぱんださんのむうみん講座
「こんにちは。田中薫です」
「こんにちは、カイル・グリングラスです」
はい。こんにちは。今回は日生美麻さんからお話のあったむうみんのお話からです。それでは姚風さんお願いします(註.当時そんな話題があったんです)。
「はい。こんにちは姚風です」
「あ。こんにちはぱんださん」
ではでは今回のテーマはむうみんの種族について。
「それじゃあ薫、姚風お願いね」
「うん。えーと、日生さんのご指摘どおりムーミン、スノーク、ミムラ、ヘムル、フィリフィヨンカなどは全て個人名じゃなくて種族名です」
「だからムーミン族の登場人物については、ムーミントロールやムーミンパパ、ムーミンママというのが個人名になる訳ですね」
「ちなみにスナフキンは名前で種族名はムムリクです。スニフは小さな動物で特に種族名はありません」
「それでTV版に出ているヒロイン役の女の子ですが…」
「原作では名前がないんですよね。ぱんださん」
「そうですね。原作では兄妹は、スノークのお兄さん、スノークのお嬢さん、と呼ばれています」
「TVでは名前がないとこまるからノンノンとかフローレンとか呼ばれているんです」
こんな所でしょうか。じゃあカイル、後お願いします。
「じゃあ今回はこのへんで。またやるかもしれないんで、その時は薫も姚風もお願いね」
「ぱんださんありがとうございました」
「いえいえ。それでは本編へどうぞ」
☆Act1.みんなでお買物
平成9年7月6日日曜日。聖林檎楽園学園もとい聖ルーメス学園。あっぷる・ぱらだいすは終了してしまいましたが、それでもこの書き出しはやめないんです。
ちなみにルーメス学園のあるあたりあたりはちょうど丘の上に建っていて、林に囲まれているかわりにあまり栄えている所じゃありません。学生たちが遊びに行くならたぶん多魔ニュータウンあたりまで行くんでしょう。私は学生の頃は多魔区立第一高校に通ってたんで、その沿線で遊んでたんですけどね。これでも地元だし。
多魔ニュータウンにあるとある小さなブティックにて。わいわいと洋服を選んでいるのはいつもの面々でした。
「ねーねー健ちゃん。これなんか似合うかなー?」
「…何でもいーから終わったらゲーセン行こーぜー」
嬉々として服を選んでいるフォートナム・メイソンに、頭の後ろに手を組んでその様子を見ている天野健一。ゲーム以外に興味の少ない健一。洋服を選ぶのくらいはちゃんと付き合えないと、女の子に苦労をかけることになりますよ。
「だーめだよ健ちゃん。今日はゲーセンは行かないんだから」
元気にこたえたのは明石カンナ。やっぱり楽しそうに服を選んでいます。実はこの子は意外にファッションセンスがいいんですよね。となりにいる速波水生といっしょに、レディスコーナーをあさっています。
「これなんかどうですか?」
「えー。みいちゃんたまにはこーいうの着てみない?けっこー似合うと思うよ」
「ちょっと派手じゃないですか?恥ずかしいな」
「こーいう格好したら健一もきっと気にいると思うよ。あいつあれで絶対すけべだから」
ひそひそと話しかけるカンナ。なにを根拠にそんなことを言ってるのかはわかりませんけど。
「えーでもそんなじゃあだけどそれにだってわたし…」
思わず頬を染める水生。そんな様子を見ていたのは田中薫とカイル・グリングラスでした。
「…なんだかカンナさん水生さんで遊んでるように見えるね」
「遊んでるんだろ。それより薫、こんなの似合うんじゃない?」
園芸が趣味の薫は普段からあまりファッションには気を使いません。だいたいカイルにまかせてることが多いようです。
「薫ちゃんならこれなんか似合いそーだよ」
「あ、フォートナムもそう思うだろ」
「えー、でもこれ動きにくそうだし…」
どうやらカイルとフォートナムの方は薫で遊んでるようです。ちょっとカヤの外の健一。さすがにつまらなくなってきたのか、そろそろとフォートナムたちの後ろに近づいていきます。
「あ、健ちゃん。ねえねえこの服薫ちゃんに似合うと思わない?」
「そーだなあ」
「えー」
しばらく水生と薫の二人はみんなのおもちゃにされていました。
◇
「あはは。けっこう買いこんじゃったかな、ずいぶん時間すぎちゃった」
「早く行かないとシーファリーたち怒って帰っちゃいますね」
カンナたちをせかすように水生が言います。今日の予定はみんなでお買物…ではなくて、実はもっと重大な用件で集まっているんです。みんなぞろぞろと待ち合わせの喫茶店に入ると、先に待っていた長髪の少女が声をかけてきました。
「遅―い!水生、なにやってたの」
「ごめんシーファリー。待たせちゃった?」
先に待ち合わせの喫茶店に来ていたのはシーファリー・ミックス、麻生いぶき、シャルロット・パステルの三人。みんな五月倶楽部の一年生たちです。おっとあと一人、キリーことキリカゼ・フィリーもいました…一人ですよね?一匹じゃなくて。
「あたりめーだろ!人をネズミと一緒にするんじゃねぇって何度言ったらわかるんだ」
これはすみませんでした。キリーはリトルスター族、外見はネズミですけど中身はネズミじゃないんです。で。この時期に同級生たちが集まる理由といえば、ひとつしかありませんね。
「はい、カンナさん。ノートのコピー持ってきました」
「ありがとーいぶきー。わざわざコピーまで取ってくれるなんて、やっぱ持つべきものは友だちよねー」
試験シーズンまっただなか。一部の学生をのぞいてとてもとても忙しい季節がやってきました。
「一部って?」
「決まってるじゃないかカンナ。僕みたいに頭がよくてちゃんと勉強もしてる生徒のことさ」
「カイル…あんたわざわざルーメスの文字でノートとらないでよ。コピーとれないでしょ」
「他人に頼っちゃいけないな。それに母国語でノートをとるなんてごくあたりまえのことじゃないか」
「カイルがやると悪意があるようにしか思えないよ」
あんたそのうち友だちなくすぞ。そう思いつつカンナはいぶきや健一や薫のノートをせっせとコピーしていました。
けっこういい性格をしてますよね。
☆Act2.ひきつづきおべんきょうのこと
場面は変わってルーメスの学生寮。喫茶店で落ち合ったみんなもお菓子や飲み物を持ち込んで長期戦のかまえです。
「だからここの読解はですね」
「ふんふん」
「あ。この漢字は覚えといたほうがいいですよ」
薫といぶきがカンナをはさみこむようにして勉強を見ています。誰かに教えたほうが自分でも理解できるっていうのはほんとですよね。一息ついたカンナが薫といぶきに言います。
「二人とも教えるのうまいよねえ。先生にでもならない?」
「あ…そうですか?」
「だめですよカンナさん。あとこの長文だけ終わったら休みましょ?」
「もー薫ったら固いんだから。そんなんじゃヒロちゃんみたいになっちゃうよ」
笑っているカンナの目の前で、必死そうにノートを取っていたキリーが頭上を見上げながら言います。
「おーいカンナ。手がじゃまでノートが見えないぞ」
「あ、ごめんキリー。でもネズミってのも難儀よねえ」
「ネズミじゃねぇって言ってんだろ!」
うーん。ほとんど息抜き用のアイテムと化してますね。
◇
「うーん。ちょっとまずいわねえ」
「え?ぼく紅茶へんないれかたしましたか」
「あ。ごめんそうじゃないよ薫」
ちょっと休憩中。薫に軽く手をふるカンナ。
ちなみにカンナのもくろみでは。薫といぶきに文系を見てもらって、歴史は健一と後で伊吹神楽部長にもフォローしてもらって、理系はカイルとシーファリーに見てもらう…完璧な計画のはずでした。しかし。
「はははっ。健一弱いなーこれで三連敗だぞ」
「くっそー、またカイルに負けたー」
「ねえ健ちゃんつぎ僕ー」
勉強しないですっかりゲームに興じている連中。
「だから水生、ここで化石から採取したDNAをクローンに注射してね…」
「だれもそんな事きいてなーいっ!」
どうやらシーファリーは「理系」の種類が違うみたいだし。このままじゃ特に理系は全滅になってしまいます。赤点になったらもちろん補習が待っているし、そうしたら貴重な夏休みがつぶされてしまう。
「ちょっとカイル。少しはこっちも手伝ってよっ」
「そんなに心配するなよカンナ。別にカンナ一人赤点とって補習になっても僕はぜんぜん困らないんだから」
「あたしは困るのっ!だいたい何でこんなお話で試験の事まで取り上げるのよ。TOSHIKIの陰謀としか思えないぞ」
それはやつあたりというものです。それに学生の本文は勉強でしょ?
「あたしは楽しいすくーるらいふが送れればいいのっ。だいたいTOSHIKIなんてヤン・ウェンリーみたいな日常生活してるくせにえらそうな事言わないでよ」
それこそ全然関係ないじゃありませんか。
そういう事を言うならこっちにも考えがありますからね。
「な、なによ…」
カンナはまだ課題がたくさん残っている事に気づきました。
カンナはまだ課題がたくさん残っている事に気づきました。
カンナはまだ課題がたくさん残っている事に気づきました。
カンナはまだ課題がたくさん残っている事に気づきました。
カンナはまだ課題がたくさん残っている事に気づきました。
「うわああああっ!!ゴメン、あたしが悪かったから許してー!!」
はっはっは。わかればいいんです。
「くそぉ…こうなったらカンニングでもしてやろーかな」
「「だめですっ!!」」
声をそろえる薫といぶき。いんちきはいけませんよ。
☆Act3.そんな訳で
一週間後。なんとか試験も終わったようです。
「時間とばせるんなら最初からとばしてくれればいいのに…ほんとにTOSHIKIのやつは」
なにか言いましたかカンナさん?
「何でもないよっ。それよりやっと夏休みだね、いぶき、少しは泳げるようになった?」
「はい。水生さんのおけげで何とか浮いていられるくらいは」
「よかったねー、ヒロちゃんなんか相変わらずみたいなのに立派立派」
「ありがとうございます…それより夏休みの予定って決まってるんですか?」
「ん?まあ8月に夏合宿が入るくらいで…暇だったら部室にくれば毎日だれかいるはずだよ」
五月倶楽部は年中無休です。いぶきとカンナのとなりで話を聞いていた薫が言いました。
「そういえば試験の方はどうだったんですか?カンナさん」
「あたしは過去の事は振り返らない主義なの」
「???」
「良くて赤点だけはまぬがれるかどうかって事だろ」
割って入ってきたのはカイル。怒ったようにカンナが言います。
「うっさいなあ。別にいいじゃない」
「みんなに世話になっておいてその言い方はないなあ」
「カイルには世話になってなんかないもんね」
「分かってないなあ。僕の存在がカンナのやる気を引き出したおかげで試験を乗り越える事ができたんだぞ」
「…カイルほんっといい性格してるよね」
わたしもそう思います。
☆Act4.みんなでお買い物
平成9年7月20日日曜日。聖林檎楽園学園もとい聖ルーメス学園も夏休みになりました。いよいよ学生の季節のはじまりです。
多魔ニュータウンにあるとある小さな喫茶店。いつもの面々がわいわいと涼んでいました。からからと扉を開けて、中に入ってきたのは薫と水生。
「ごめんなさーい、遅くなりましたあ」
「遅いじゃないか薫。何やってたんだ?」
「あー水生も一緒であやしーぞー」
カイルとカンナに迫られて赤くなる水生。
「そ…そんなんじゃないですよっ。家を出たら薫さんに会って、先に図書館によってきただけで」
「きゃーきゃー、薫が家の前で待ってたんだってえ」
「そうじゃないんですー」
からかわれやすい性格をしてる水生。たんなる寮住まいと自宅暮らしの違いだと思うんですけど、助け船を出すように手元のパンフレットを見ながらいぶきが言いました。
「それでですね、練馬区の遊園地のプールで新しいウォータースライダーが出来たそうですよ」
「えーほんとほんとー!?じゃあ来週行こ!」
「その名も『立ち乗り木造スクリュースライダー』…って大丈夫でしょうか?これ。やっぱり違うのにしませんか?」
「何言ってんのよいぶきっ。ウォータースライダーなんてそれくらいじゃないと」
元気いっぱいのカンナ。その隣に座ってアップルティーを注文した薫が言いました。
「それより明日の映画どうするんですか?『もののけロストワールド』でしたっけ?」
「明日8時に駅に集合だって。それより薫ちゃん、その洋服似合ってるじゃない」
にこにこしながらフォートナムが答えました。
「あ…こないだフォートナムさんとカイルに選んでもらったやつですね。ありがとーございます」
なぜか少し赤くなって薫。慣れないおしゃれをする時っていうのはこんなものでしょうか。何やらあやしげなパンフレットを見ながらシーファリーが言います。
「ねえねえ、それで今度のコミケは…」
行きません。
◇
そういう訳でいよいよ夏休み。
明石カンナの夏がやってきました。
おしまい
☆次回予告
♪ぱーぱぱんぱんぱんぱんぱーんぱぱぱぱーんぱんぱぱ…
「あれ?いつもの予告編の音楽じゃありませんね」
「ええ。今回はちゃんと次回予告するつもりだからね」
「あ。志麻さんこんにちは。でも次回って何やるんですか?」
「えーとね、次回はナオさんの『シマシマ大戦』に対抗して、『シマシマクエスト』をやるんだって(註.シマシマ大戦は当時別に掲載されていたプラリアです)」
「しましまくえすと…ですか?」
「そう。私も何を莫迦な事をって思ったんだけど、勇者志麻にお姫様真琴ちゃんで出したいからどうですかって言われてね。まだ真琴ちゃん出てきてないし、これは私もゆずってやらなきゃいけないでしょ?」
「どうしたんですか志麻さん。何だかにこにこしてますけど?」
「え?ああ別に…何でもないわよ、あははははは」
「そうですね。夏合宿本に使うぶん夏休みネタが少ないそうですし、ちょうどいいかもしれませんね」
「そうでしょ、そうよね、あははははは」
「じゃあ…えーと、次回はしましまくえすとという事で、志麻さん決め台詞はどうしましょうか?」
「決め台詞?」
「はい。あの大正桜にうんたらかんたらって」
「そうねえ。別にいつもどおりでもいいんじゃない?せっかく『サクラ大戦2』も発表された事だし」
「はい。それじゃあ次回も大正桜に浪漫の嵐!です」
「真琴ちゃーん待ってるからねー」
♪ぱーぱぱんぱんぱんぱんぱーぱぱぱーんぱーらぱーん…
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