ASTROBOY鉄腕アトム(トレジャー)
(c)TREASURE
発売:トレジャー(2003) 機種:ゲームボーイアドバンス ジャンル:アクション
評価:★★★★★
2Dゲームに必要以上に強いこだわりを持つ、トレジャーが出した名作アクションゲーム。手塚プロダクションからセガが取得したゲーム化のライセンス権を使って製作された作品で、タイトルにあるとおりアストロボーイ・鉄腕アトムをもとにしながらも全体のシナリオやストーリーは1980年代にTV放映された鉄腕アトムやマリンエクスプレスなどを主軸にしている点が好きな人には面白いところです。
ゲームシステムはかのガンスターヒーローズをイメージして作られたという横スクロール主体のアクションゲームで、人間のために戦うロボット、アトムがあちこちで起こる事件を解決しながら、様々な成長を遂げて世界に隠された謎を解いていくことになります。通常武器となるパンチにキックにビーム、ボム的な武器として用いるお尻マシンガンやアームキャノンを使いこなして「悪いロボット」たちを倒していきます。エイリアンソルジャーを思わせる無敵移動を活かした攻撃〜回避〜攻撃のテンポに爽快感があって、ゲームとしては難易度も適度に難しく、用意された敵の種類や多彩な攻撃パターンも千差万別で飽きさせません。
ですがやはりこのゲームの中心となるのは、アトムが多くの人やロボットと関わることで変化していく「アトムハート」と呼ばれる心の成長を示したシステムでしょう。生まれたばかりで自分の能力を制御できずにいるアトムがシナリオを進めて成長するに従って、アトムの能力自体がパワーアップしていくだけでなくアトムの言動やストーリーが変化をしていきます。一度のクリアでは決してエンディングにたどり着くことができないようになっていますが、その理由が分かったときアトムは更なる成長と世界の謎に挑戦していくことになるでしょう。
マリンエクスプレスやメトロポリスまで主軸にした物語は手塚作品というよりも、手塚作品を楽しんだ人が思うテーマが綴られており、作中の登場人物もシャラクくんから和登さんにブラックジャック先生にワンダー3からジェッターマルスまで続々出演するという豪華版。ゲームの難易度はトレジャーらしくかんたんモードとむずかしいモードの二つのみで、むずかしいモードはエイリアンソルジャーを髣髴とさせる、とても人間のやるもんじゃあない難しさですが、かんたんモードであれば魔人ガロンのべらぼうな強ささえ除けば感動のストーリーを心ゆくまで楽しむことができるでしょう。トレジャーファンであればエプシロンのレーザー攻撃やラスト1分間モードの音楽に酔い、マリンエクスプレスを知る人であれば絶妙なシナリオと配役に笑うでしょうが、そんな知識がなくても存分に感動することができる珠玉の作品だと思います。
エンディングの天馬博士がかっこうよすぎです。
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