BUSIN(アトラス)
(c)ATLUS
発売:アトラス(2001) 機種:プレイステーション2 ジャンル:ロールプレイング
評価:★★★★☆
女王と彼女を守るクイーンガードに護られた聖都ドゥーハン。かつて繁栄を謳歌した都は天から落ちた閃光により、一瞬にして廃墟と化して城も街も、人々をも滅ぼしてしまいます。「閃光」が生み出した時空のゆがみは城の地下と魔物が巣くう巨大な迷宮とをつなぎ、やがてドゥーハンを絶望が支配することになりました。そしてある日、雪の降りしきるドゥーハンを訪れた一人の冒険者は、謎につつまれた白髪の剣士に出会います。剣士は冒険者に、アレイドと呼ばれる人の絆の力を教えました・・・。
サブタイトルに「Wizardry Alternative」と謳うウィザードリィシステムを踏襲した作品で、主人公である冒険者は滅びたドゥーハンの都を訪れると、死神が支配する迷宮の奥へと向かいます。寺田克也によるモンスターデザインと3D化された退廃的な迷宮で、数々の人や事件に出会いながら迷宮の最深部を目指すことになるダンジョン探索型のパーティ式ロールプレイングゲームです。
ゲームシステムはウィザードリィに準じていますが、特徴的なのがアレイドと呼ばれる特殊攻撃の存在。これまでのRPGに見られる個別のコマンド入力ではなく、信頼度の高い数人が連携することによって一人ではなし得ない様々な攻撃を行うことができるようになっています。呪文詠唱を遮るマジックキャンセル、一切の防御力を無視して全員にダメージを与えるラッシュ、一体を前衛三人が攻撃する集中攻撃など、これらを駆使しなければまともに戦うことすらできません。
ゲーム自体の難易度も高めで、うかつに背後から急襲されようものなら簡単に全滅させられますし、恐ろしい死神の存在によってウィザードリィ最大の恐怖である「ロスト」がかなり身近な存在になっています。ウィザードリィではよほどの条件が重ならなければありえなかったキャラクターの消失が、死神に憑かれた状態で死亡するとその場でロストするシステムになっているために終盤になっても緊張感を解くことができません。その他にも人々からの依頼を果たすことで報酬を得ることができるシステムが、そのままシナリオに深く関わっているつくりなどゲームと物語の融合は見事というほかありません。味方のアレイドが強力な一方で敵の強さや戦い方に限界があるため、序盤から中盤までの難易度の高さに比べて終盤やエクストラダンジョンでの難易度に多少物足りなさを感じてしまうのは欠点でしょうか。ドゥーハンを滅ぼした「閃光」の正体に近付くにつれて徐々に見えてくる、不条理なまでの哀しさとわずかな希望に引き込まれていく展開には引き込まれずにはいられないでしょう。もう一つのウィザードリィの名に恥じない、見事な作品に仕上がっていると思います。
オルフェさんはよい娘さんですね。
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