クレイジータクシー(セガ)

crazytaxi
(c)SEGA

発売:セガ(2000) 機種:ドリームキャスト ジャンル:アクション
評価:★★★★★
 これを指してレースゲームと呼んでいいのかドライブゲームと呼ぶべきかといえば、クレイジータクシーと呼ぶのが一番ふさわしく思えるゲームです。アーケードからの移植作品で、セガが出している他のレースゲームに比べると筐体がシートに座るタイプではなく立って操作するもので、ポリゴン表示のドライブゲームとしては視点変更も用意されておらず、自車を後ろから見下ろしたアクションゲーム風味の操作感覚になっているのが特徴です。
 ゲーム内容はタイトルそのままで、舞台はアメリカらしいですがタクシーを駆って町中を走り回り、客を乗せて時間内に目的地まで運びます。このタクシー、町の名物らしく1秒でも早くつくために交通法規はお構いなしで、道路の逆走はもちろん歩道や公園や線路の上、はては屋根の上から水の中まで走ります。ゴミ箱や電話ボックスをはねとばしても平然としているし、車や壁に激突してもびくともしません。屋根や坂を利用してジャンプ、ショートカットをして目的地につけば次の客を乗せて疾駆する様はクレイジーの名前に恥じません。

 景気のいい音楽に乗って、1秒でも早く目的地に到着することで残り時間が回復していきますが、間に合わなければ怒った客は飛び降りてどこかに行ってしまいます。乗客を喜ばせるために対向車すれすれに走ったり、派手なドリフトやジャンプをするとチップをはずんでくれますが、車をぶつけてしまうとスピードが落ちるのでチップも減ってしまいます。
 これだけふざけた設定を最大限に実現するゲームシステムはさすがセガというべきで、クレイジーダッシュやバックダッシュによる急発進と、クレイジードリフトによる急停車を使いこなすことで徐々に加速をするのではなく「停車」と「最高速」だけで走り回るという、常のドライブゲームやレースゲームではありえない感覚がたまりません。場所によっては目的地に急停車させるために、壁や柱に激突してもいいのです。

 町の人々はどれだけタクシーが走り回ろうとも必ず華麗な動きで避けてくれますので気にせず走り回ることができますが、タクシー待ちをしている人は目の前に停車しないと逃げ出してから乗ってくれるまでにタイムロスが出てしまうので注意が必要です。豪快さと精密さの双方で遊びながら、このふざけた町を楽しむことができる実にクレイジーなドライビングアクションゲームです。ドリームキャスト版はアーケードからの移植作品になりますが、専用コースその他が用意されているのでおすすめ。

 オープンカフェにお客を運び、立ち並ぶテーブルに突っ込んでもとオープンカフェにしてしまう壮快感がたまりません。はたして彼女はタクシーを降りて、カフェテリアでお茶を飲んだのでしょうか。
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