大冒険 セントエルモスの奇跡(パイ)

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(c)PAI

発売:パイ(1996) 機種:セガサターン ジャンル:ロールプレイング
評価:★☆☆☆☆
 当時、セガサターンユーザーのアキレス腱であったロールプレイングゲームの少なさに一石を投じたら足をくじいてしまったかのような、それを体験する者に無意味に強烈なインパクトを残してしまった伝説の海洋冒険ものロールプレイングゲームです。モンスターを倒せる家系とかいうことで強引に海にこぎだす主人公リオン=アベンチューラと親友のトレビーユ。彼らは愛船パラーボ号を駆ってバルセロナを漕ぎ出すと、英題のグレート・アドベンチャーの名にふさわしい大冒険へと向かうことにしてください。

 ゲーム開始直後にうかぶ「これはひどい」のメッセージにふさわしい、ファミコン並みと評される雑な画面に気を抜かれながら町を散策すると、頻繁におとずれることになるであろう宿屋での挨拶が「いらしゃいませ」という脱字っぷり。そして金塊より高い革の鎧や木の盾の存在と、海洋交易を夢見るぼくのリオンを旅立つ前から不安いっぱいにしてくれます。海に出れば当時としては頑張っているかに見える3Dポリゴンアニメによる出港場面を経て海流も風も気にせず沿岸を行き、とりあえずと近くの港に入ってみれば誇張抜きで気が触れたモンスターたちがリオン一行をお出迎え。モンスターの前口上は「あの赤黒いあの草食べて・・・」とか「ぷちぷちってあり殺すのやめろよなぁ」とか「最近幼虫うまいんだ」とかいう気の触れたものばかりが揃っています。ランダム遭遇のないモンスターをすべて倒すとその港が解放されて、先に進めるというシステムになっていますが敵の強さとレベルアップによる能力上昇に異常な差があるために、実際にはほとんど一本道でしか攻略できません。必殺技が必殺技(1)とかいう名前だし、ここまで手を抜いてくれるともはやあっぱれに思えます。

 ただこのゲーム、やりかたさえ分かればテンポだけは良いのでストレスなく?あっさりクリアが可能なのは魅力です。海上で出会う海賊船は基本的に逃げるか一騎打ちで戦い、大海賊シルバーレイスとアンジェリカを仲間にできればあとは悩むところもなくクリアへの道を目指せるのではないでしょうか。ボス戦では多くの人々を震撼させた恐るべき物語が語られますが、登録名に「リオン」と入れていたので個人的にはかなり衝撃のクライマックスでした。

「お前の本当の名は・・・リオン!」
「うん、俺リオン」
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