デッドゾーン(サン電子)

deadzone
(c)SUN DENSHI

発売:サン電子(1986) 機種:ファミコンディスクシステム ジャンル:アドベンチャー
評価:★★★★☆
 家庭用ゲーム機として一時代を築いたファミリーコンピューターですが、コントローラーを使うことと何より容量に制限があることからアドベンチャーゲームが少ないのは仕方のないこととされていました。その状況に一石を投じたのがディスクシステムの存在で、フロッピーとは異なるQDを採用していたこともあってさほどの容量ではなかったものの、それまでのROMカートリッジに比べて大容量の作品を作る下地が整うことになりました。後、MSXから始まるメガROMが開発されるにいたって大容量記録媒体としてのディスクシステムはその短い役割を終えることになりますが、そのディスクシステムでのアドベンチャーゲームの黎明期に作られた作品のひとつとなります。

 ゲーム開始早々主人公カークがスペースコロニーの廃棄場で目を覚ますという、困難な場面から始まるオープニングがアドベンチャーゲームらしさを感じさせてくれます。その廃棄場でカークは自分が作ったロボットである「キャリー」を見つけて起動させると、婚約者のマリーと彼女が作ったコンピュータ「ライオネックス」のもとに急ぎます。
 ストーリーの展開はライオネックスが彼女に恋をしたことが発端となり、ライオネックスに閉じ込められていたマリーを助け出して脱出するというもの。とぼけた調子のキャリーとの掛け合いが絶妙で、単調に見えるコロニー内でエンディングまで飽きさせないつくりが随所に見られます。音声つきでしゃべるキャリーの台詞が入っていたり、途中で「いっき」のボーナスステージが遊べたりとお遊びもありますが、各フロアの攻略がわりと簡単で人によってはすぐにクリアしてしまいそうなのがちょっと物足りないかもしれません。それでもパズル的に謎を解いていく脱出の楽しみとライオネックスとキャリーの存在をカギにしたストーリーの展開が秀逸で、アドベンチャーゲーム本来の楽しさを充分に味わうことができるでしょう。色数の少なさを最大限に活用した画面も美しくて、ディスクシステムの名作に部類してよい作品ではないかと思います。
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