ダービースタリオンアドバンス(エンターブレイン)

derbystalliona
(c)ENTERBRAIN

発売:エンターブレイン(2002) 機種:ゲームボーイアドバンス ジャンル:シミュレーション
評価:★★★★☆
 競馬シミュレーションゲームの代表格ともいうべきダービースタリオンシリーズの、ゲームボーイアドバンスへの移植作品となります。ゲームシステムは基本的にファミコン版以来大きく変わるところはなく、牧場名と勝負服を選ぶと繁殖牝馬が一頭だけいる状態で牧場運営を開始、種付けをして育った仔馬を厩舎に預けてレースに出します。資金が尽きるとゲームオーバーになってしまいますが、危なくなると銀行から融資の話を受けることができるので最初の数年だけ乗り切ればあとはなんとなく続けていても重賞レースを幾つか勝てるようになってくると思います。調教やレースへの出走はお任せにすることもできれば自分で行うことも可能なので、初心者や難しい攻略が苦手な人はとりあえず藤枝厩舎に預けておけばある程度の勝ち星を上げてくれるので安心でしょう。
 移植作品としての魅力はダービースタリオンがそのまま携帯ゲーム機で遊べるという点そのもので、それこそファミコン版以来多少発展したとはいえ配合や調教、レース攻略のコツまでほとんどそのまま使えるようになっています。逆にいえば画像や音楽といった演出面と、カートリッジならではの遊びやすさを除けばほとんどゲームとして進歩していないのが欠点。シリーズならではのお手軽さが魅力の一方、攻略しようとするほど競馬ゲームとしての自然さが犠牲になること、名馬と駄馬の違いが究極的には運頼みになりやすいという特徴ももちろんそのまま引き継がれています。

 とはいえ多少の不自然さを承知すれば試行錯誤を繰り返しながら攻略法を探していく楽しみもあり、エンディングを気にせずひたすら続けることができる独特の中毒性はこのゲームならではの魅力でしょう。調教が早送りできるようになった点は魅力ですが、個人的には後述する理由で展開が同じくなりがちなレースシーンも早送りできる機能があれば、シリーズでも群を抜いて評価が高い作品になったと思います。

 ちなみにシリーズ共通とそうでない箇所を含み攻略例。産駒の能力はたいていの場合種牡馬の能力から受ける影響が大きいため、資金が足りない初期を除けば種付けする相手は値段の高い馬を選ぶのが無難です。トンビにタカを生ませるのではなく、タカにどんな種類のタカを生ませるかと考えればほぼ問題ないでしょう。資金や趣味の都合でそうもいかない場合は、すばらしいスピードを伝えるインブリードを狙うか安定度がCの種牡馬で大当たりを狙うといいと思います。運次第ではゲーム開始時に種付けした馬がGIを勝ちまくることもない訳ではありません。
 仔馬が育って一歳になると牧場でコメントが聞けるようになりますが、スピードがある場合の「きっと活躍できるよ」は走ってくれる可能性が高い仔馬なので特に大事にしたいところです。二歳になるといよいよ調教開始ですが、ここでポイントとなるのが誰に何と言われようが一月一週になったら厩舎に入れることと、その後引退までは二度と牧場に返さないこと。放牧をしても休み明けの気性が悪くなるだけで、調教する回数が減るだけ無駄というものです。

 そして調教の基本は芝か坂路を走るとスピードが上がり、スピードが限界に達するとスタミナが上がり、併せ調教をすると勝負根性が上がること。更に強め調教は体重が減るだけで効果は馬なりと変わりません。つまり入厩と同時に体重の変動を見ながら芝または坂路の調教を繰り返し、機会があれば併せ調教をさせることで効率よく鍛えることができます。レース体重の目安は体重超過のコメントが消えるより8kg下で、体調は毎週の体重増減への影響がほとんどなので必ずしもレース時に絶好調である必要はありません。レースや遠征、調教などで体重が落ちるのでとにかくベスト体重でレースを迎えるように調整してください。参考までに、藤枝厩舎に馬を預けて調教も出走もお任せで二割くらい勝てるとすれば、上記の注意だけで勝率三割は狙えるようになるかと思います。
 出走させるレース選びは好みも含めてある程度慣れるしかありませんが、特にアドバンス版での注意点は基本的に新馬戦を避けること。成長が不十分なこの時期にやたら強い馬とぶつかる例が多く、たいてい同週に用意されている未勝利戦をデビューに選んだほうが無難です。凱旋門賞出走馬がデビュー戦では敗れるくらい新馬戦は厳しいです。

 そしておそらくこのシリーズ最大の欠点である、レース展開に明らかな有利不利が存在する点。機種によって傾向が違いますがアドバンス版では基本的に逃げ先行、それもスピードのある逃げ馬が圧倒的に有利になっています。もちろん能力や勝負根性の高い馬であれば後ろから追いこんで勝つこともできますが、スタートから逃げて十馬身二十馬身(!)と離してそのままゴールした方が勝率が高く作戦指示も「逃げ」の一手にならざるを得ないでしょう。つまり自分の馬が出るレースはすべて同じ展開になりがちで、ただでさえ実況の種類がちょっと少ないアドバンス版ではどうしてもレースを早送りしたくなってしまうのです。
 こうした競馬としての不自然さに目をつぶりながら、ゲームとしての単純な面白さを楽しむことができるのであればダービースタリオンが携帯ゲーム機で遊べるという点で替えがたい作品ではないかと思います。逆にいえば、競馬としての不自然さが指摘されるという点こそこのシリーズがゲームとしてよくできているということかもしれません。ちなみに「競馬は追い込み馬こそ最高」という人にはこの作品は絶対におすすめできないので、そういう人は問答無用で追い込み有利なニンテンドーDS版を所望するとよいでしょう。
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